テレビ番組で俳句の話題が出ることが増え、春夏秋冬の季語が載った「歳時記」に関心を持つ人もいるようです。ただし、ただ一覧になっているだけでは「歳時記」とは呼びません。また、俳句に関係しない使い方をすることもあります。「歳時記」の意味や、本とアプリの違いと初心者におすすめの選び方をご紹介します。
「歳時記」の意味とは?
「歳時記」の意味とは”季節ごとの生活を記した本”
「歳時記(さいじき)」の意味は“季節ごとの行事や食事・薬の注意など、1年の生活についてまとめた本”のことです。生活に関する百科事典のような本につけられる名前でした。「歳時(さいじ)」だけでも「四季おりおり」や「年と季節」という意味で使われます。
なお、「歳事記」と書くこともあります。
俳句用語の意味は「季語を集め分類・解説する本」
俳句用語としての「歳時記」とは”季語を集め分類し、解説する本”です。季語(きご)を部門別に分類し、解説や例句を掲載しています。季語とは、季節を表すと決められている言葉のことです。例えば、春なら「桜・レタス・入学式」などが季語になります。
現代では、季語を一覧にしただけのものは「歳時記」とは呼ばれないことが多くなっています。
「歳時記」の由来は”荊楚歳時記”
「歳時記」の由来は”荊楚歳時記(けいそさいじき)”だと言われています。奈良時代に日本に伝わった書物で、中国の年中行事や習慣が記されています。
これを参考に、日本でも行事や習慣についてまとめた「日本歳時記」が作られました。季語をまとめた本に「歳時記」が使われるようになったのは、江戸時代以降だとされています。
「歳時記」現代の使い方とは?
現在では俳句用語として使われることが多い
現在では「歳時記」は俳句用語として使われることが一般的です。テレビ番組で俳句が取り上げられることが増えたことから、俳句を考えるのに必要な「歳時記」の注目度も上がっています。
「季寄」は解説のない簡易的な歳時記
「季寄(きよせ)」とは、解説がなく、季語を分類しただけの本のことです。「季寄本」とも呼びます。歳時記の小型・簡易版であると言えるでしょう。
「歳時記」と「季寄」を区別するようになったのは最近のことだと言われています。
「歳時記」の種類とは?
「合冊」とは”1冊で四季をカバーする歳時記”
「歳時記」のうち、1冊に四季すべての季語がまとめられているものを「合冊」と呼びます。「合本」と呼ぶこともあります。
1冊買えば全ての季節で使用できるのが利点です。ただしページ数が多く、携帯に不便になりがちです。ページ数を抑えると、解説や例句が減り、あまり参考にならないものになってしまいます。
「分冊」とは”春夏秋冬で分かれる歳時記”
「分冊」とは、1冊に1つ(あるいは2つ)の季節の季語だけまとめた歳時記です。春夏秋冬と新年の5つに分けられることが一般的。収録する季語が減るためページ数が少なく、携帯しやすいというメリットがあります。
ただし、四季を揃える場合は複数買う必要があるため、合計の値段が高くなりやすいのが難点です。
「歳時記」本・アプリの特徴と選び方とは?
アプリの歳時記は「検索しやすい」
歳時記には、「スマートフォンアプリ」や「電子辞書」のタイプもあります。季語の検索がしやすく、軽量で持ち運びやすいことがメリット。外出先でも気軽に利用したい場合に便利です。
デメリットとしては、画面が小さく一覧で見れないことやアプリによって有料の場合があること。特に、電子辞書は小さなディスプレイしかないことが多いため見づらいと感じる人が多いでしょう。アプリを利用する際は、まず無料版を試してから課金や有料版にするという方法がおすすめです。
本の歳時記は「一覧で見やすい」
「本の歳時記」のメリットは、広い紙面をいかし一覧で見やすいことです。スマートフォンの小さい画面では何度もスクロールしなければいけない情報も、紙面なら見開きで一度に確認できます。また、電源不要なため「充電を忘れて外出先で使えなかった」というトラブルがないことも本の魅力です。
荷物をできるだけ少なくしたい、気になったときにすぐ調べたいという場合は不向きと言えます。
初心者におすすめの選び方
初心者が「歳時記」を選ぶ場合、「どこで俳句を作りたいか」を最初に考えると選びやすいでしょう。外出先で自然に触れながら作りたいなら、持ち運びやすい電子辞書・スマートフォンアプリや分冊版が向いています。自宅でじっくり考えたい場合は、大きな紙面で読みやすい合冊版がよいでしょう。
まとめ
歳時記には2つの意味があります。「1年の生活をまとめた本」と「季語を集め分類、解説する本」です。現代では後者の意味で使われることが多くあります。最近はテレビ番組で俳句が話題になることが増えているため「歳時記」も一般的な用語になりつつあります。意味をしっかり把握しておきましょう。