「自縄自縛」とは、自分自身の言動によって身動きができず困ったり苦しんだりするという意味の四字熟語。読み方は「じじょうじばく」です。
この記事は「自縄自縛」の意味や語源をはじめ、使い方と例文についての解説。類義語である「自業自得」や「因果応報」などとの違いや英語表現についても紹介します。
「自縄自縛」の意味・読み方・語源とは?
「自縄自縛」の意味は”自分の言動で身動きできないこと”
「自縄自縛」の意味は、“自分の言動によって自分自身の身動きができなくなること”です。自分の発言や行動が足かせとなって、自分自身の動きがとれなくなり困ったり苦しんだりすることを表現します。
「自縄自縛」の読み方は”じじょうじばく”
「自縄自縛」の読み方は“じじょうじばく”です。四字熟語は基本的に音読みで読むものが多く、「自縄自縛」も全ての漢字を音読みで読みます。
「自縄自縛」の語源は”自分の縄で自分を縛ること”
「自縄自縛」の語源は、自分が用意した縄で自分自身を縛ることです。「自縄」は自分の縄(なわ)という意味で、「自縛」は自分で縛る(しばる)という意味の言葉。そこから、自分の発した言葉や行った行為により、自分自身の動きができなくなり困ってしまうという意味につながっています。
「自縄自縛」の使い方と例文とは?
「自縄自縛」の”自分の言動で動きが取れず困ったとき”の使い方
「自縄自縛」は、自分の言動で動きが取れなくなり困ったということを、自分で表現するときに使います。
たとえば、普段からどんな理由であろうと部下の遅刻について厳しくとがめていたら、自分が遅刻をせざるを得ない理由ができても遅刻するわけにいかなくなります。このようなときに「部下に厳しくしていたら、自縄自縛に陥ってしまった」などと表現します。
「自縄自縛」の”相手への注意や戒めとして”の使い方
「自縄自縛」は、相手への注意や戒めの言葉としても使えます。
たとえば、普段からルールや規律に厳しい人に対して「そんなに厳しく言っていたら、自縄自縛に陥りますよ」などと言い回します。周囲に対してあまりに厳しい態度をしていると、自分が同じ立場になったときに身動きが取れなくなりますよ、という戒めの言葉です。
「自縄自縛」を使った例文
「自縄自縛」を使った例文をご紹介しましょう。
- 部下に厳しく注意した手前、自分がミスするわけにいかず、自縄自縛の状態で大変だ。
- 周囲に厳しすぎるといつか自縄自縛に陥りますよ。
- 絶対にウソはつかないという心がけはよいが、自縄自縛にならないようにね。
「自縄自縛」の類義語と、その違いとは?
「自縄自縛」の類義語は”自業自得”
「自業自得(じごうじとく)」とは、自分が行った行動の報いを自分の身で受けること。仏教の教えが由来の四字熟語です。自分が行ったことは、善いことも悪いことも自分に戻ってくるという意味で、全てのことは自分が以前に行ったことによるという、戒めの言葉でもあります。
自分の言動によって苦しんだり困ったりするという「自縄自縛」に対し、「事業自得」は自分の行動の報いが返ってくるというニュアンスです。
- 授業中にいつも居眠りをしていたんだから、テストが赤点なのは自業自得だ。
- 人の悪口ばかり言っていたらみんなから嫌われても、自業自得だと思うよ。
「因果応報」も仏教に由来する”自縄自縛”の類義語
「因果応報(いんがおうほう)」とは、自分の過去に行ったことが自分に返ってくるという意味の言葉です。「因」は原因のことで「果」は結果のこと。善いことも悪いことも原因となり結果がついてくるという意味で、仏教の教えが由来の四字熟語です。
「自縄自縛」は自分の言動によって苦しんだり困ったりするという意味ですが、「因果応報」は、自分の過去の行為が原因となり結果が返ってくるという意味。ニュアンスが少し違っています。
- 女性をだましてばかりいた彼が結婚詐欺にあったのは、因果応報でしかないよね。
- 人に親切にしていればやがて自分にもかえってくるよ。因果応報ってやつだ。
「自縄自縛」の類義語には”身から出た錆”も
「身から出た錆(みからでたさび)」とは、自分の行った悪い行為に対して悪い結果が戻ってくるという意味。もともとは刀についての言葉です。手入れをしない刀は錆びてしまうことから、自分の悪い行いによって自分自身が困るという意味につながっています。
「自縄自縛」は自分の言動によって自分自身が困るという意味ですが、「身から出た錆」は自分の悪い行いが悪い結果になるというニュアンスです。
- 奥さんに離婚と言われたのは何度も浮気をしていたからなんだし、身から出た錆だね。
- あれだけ暴飲暴食していれば体重も増えるよ、身から出た錆だ。
「自縄自縛」の英語表現とは?
「自縄自縛」は英語で”be caught in one’s own trap”
「自縄自縛」の英語で表現するには“be caught in one’s own trap”が当てはまります。「自分で仕掛けたわなに自分がかかる」というニュアンスで、「自縄自縛」の英語表現として使えるフレーズです。
まとめ
「自縄自縛」は”じじょうじばく”と読みます。自分の縄で自分を縛るという語源から、自分の言動で身動きが取れなくなり困り苦しむという意味につながっています。
自分の言動で自分自身の身動きが取れなくなってしまったときに「自縄自縛に陥る」と表現します。また、周囲に厳しい態度の人に自分が同じミスをしたときに困りますよという、注意や戒めとしても使える言葉です。
類義語の「自業自得」や「因果応報」などとは多少ニュアンスが違うため、言い換えとして使うときには注意が必要です。