雇用保険の加入条件を解説!アルバイトやパートの場合はどうなる?

「雇用保険」は原則として会社が加入義務がある保険です。そのため会社と雇用契約が発生する場合には、基本的には雇用保険に加入する必要があります。一方、アルバイトやパートなどで、一定の条件に当てはまる場合には、加入しない場合も。今回は、どういう条件に当てはまると雇用保険に加入できるのかを紹介します。

雇用保険の加入条件とは?

雇用保険に加入できるかどうかを決めるのは、会社ではありません。法律で「雇用保険の加入条件」に該当している人は全員加入しなければならないと決まっています。ここでは、法律に書かれている「雇用保険の加入条件」を紹介します。

雇用保険の加入条件①「31日以上雇用の見込みがある」

雇用保険の加入条件は、31日以上雇用の見込みがあることです。31日間仕事をするのではなく、最初に仕事をした日から会社を辞める日までの期間が31日以上です。

例えば、4月1日から5月31日まで週に3日のアルバイトをした場合、仕事をする日数は27日程度になりますが、雇用期間は2ヶ月です。この場合は31日以上雇用の見込みがあります。

また、31日以上の「見込み」があればよいとされています。例えば、最初の1ヶ月が試用期間だったり、1ヶ月の契約期間で契約しているけれども更新の可能性がある場合は、31日以上雇用される「見込み」がありますので、雇用保険の加入条件に当てはまります。

雇用保険の加入条件②「週20時間以上働く」

雇用保険の加入条件は、週20時間以上働くことです。アルバイトやパートの場合、何曜日に何時間勤務できるのかなど、面接の段階で相談していることが多いですが、入社したら再度確認しておきましょう。

働き始めるときには、仕事をする曜日や時間を記載した「雇用契約書」や「労働条件通知書」などをもらうことができます。曜日や時間から週に何時間働くのかを計算し、20時間以上であれば、加入条件を満たしています。

加入条件は両方満たす必要がある

加入条件の「31日以上雇用の見込みがある」と「週20時間以上働く」の両方を満たしている場合には、基本的には雇用保険に加入しなければなりません。本人が入りたくない場合でも加入する義務があります。

逆に、加入条件のどちらかだけを満たしている場合は雇用保険に加入できませんので、加入したい場合は期間や時間を検討しなおしましょう。

雇用保険加入条件の注意点

欠勤や残業の場合の週20時間の考え方

雇用保険に加入するためには、週に20時間以上働く必要があります。しかし、体調不良などで欠勤し、20時間以上働かない週もあるでしょう。この場合でも雇用保険には加入しなければなりません。

雇用保険は「週に20時間以上働く」という「契約」を結んでいる人が加入します。「雇用契約書」や「労働条件通知書」が重要になりますので、間違いがないか必ず確認しましょう。

逆に、雇用契約書で週に20時間未満の勤務をしている人は雇用保険に加入できません。突発的な事情で残業し、週に20時間以上働いた週があっても、同じく加入できません。

しかし、契約上では週に20時間未満であったにもかかわらず、何ヶ月も毎週20時間以上働く状態が続いているというような場合には、雇用保険に加入しなければならないと判断されることもあります。実際に20時間以上働いている場合には、雇用保険に加入する手続きを忘れないようにしましょう。

学生は基本的には加入しない

雇用保険は、生活や雇用の安定のための保険制度ですので、学業をメインに生活している学生は、基本的には加入しません。ただし、以下の場合は例外で、学生でも雇用保険に加入しなければなりませんので注意しましょう。

  1. 卒業見込証明書があり、卒業後も引き続き雇用されることとなっている者
  2. 休学中の者
  3. 定時制の高校や夜間の大学、通信制の学校に在学する者

役員は雇用保険に加入できない

雇用保険は「雇用」されている人が加入する保険ですので、会社の役員は加入できません。例えば、雇用されていた社員が「取締役」などの役員になった場合には、雇用保険は脱退することになります。

派遣は雇用保険に加入できる

派遣社員でもパートやアルバイトと同じく、31日以上雇用される見込みがあり、週に20時間以上働く場合には、雇用保険に加入しなければなりません。雇用保険は派遣されている先の会社ではなく、派遣会社で加入します。派遣会社で手続きをしてもらいましょう。

年齢制限は法改正でなくなった

雇用保険は、平成28年まで65歳以上は加入できませんでした。しかし、法改正があり、平成29年1月1日以降は65歳以上でも加入できるようになりました。雇用保険の加入に年齢制限はありませんので、幅広い方が加入できます。

職場によっては加入できないこともあるので注意

ここまでは、雇用保険に加入できる「人」の条件について紹介しました。ここでは、雇用保険に加入できる「職場」について紹介します。まれにですが、勤め先によっては「31日以上雇用の見込みがある」と「週20時間以上働く」に該当していても雇用保険に加入できないことがあります。

雇用保険の加入義務がある「適用事業所」

雇用保険は、「事業所」ごとに加入します。「事業所」とは多くは会社のことを言います。会社が人を1人でも雇った場合には、社員を雇用保険に加入させる義務があります。加入させる義務のある事業所のことを「適用事業所」といいます。

法人はすべて「適用事業所」になります。「株式会社」や「有限会社」などはもちろんのこと、「一般社団法人」や「NPO法人」なども適用事業所です。以下で紹介する加入義務のない事業所以外はすべて適用事業所です。

加入義務がないのは一定の職種の個人経営の事業

農林水産業の個人経営の事業で、雇用している人が5人未満の場合は、基本的には雇用保険の加入義務がありません。つまり、31日以上雇用される見込みがあり、週に20時間以上働く場合でも、この職場では雇用保険に加入できません。

逆にいうと、「農林水産業の個人経営の事業で、雇用している人が5人未満」ではない勤め先の場合には、雇用保険に加入しなければなりません。ほとんどの職場は雇用保険に加入する義務があります。

まとめ

雇用保険の加入条件は、31日以上雇用される見込みがあることと、週に20時間以上働くことです。今回紹介したように例外もありますが、まずは原則を覚えておきましょう。もし働いている方で、該当しているのに雇用保険に加入していない場合には、会社に相談し、早めに手続きをしてもらいましょう。