「衷心」の意味とは?「衷心より」の使い方例文や類語・英語を解説

「衷心」という語は普段は耳にすることがほとんどないため、意味や読み方がよく分からない方も多いのではないでしょうか。「衷心」は専ら書き言葉で用いる語です。

日常生活で使う機会は余りありませんが、お詫び文や弔電などの場面で効果的に使うことができる語なので、ぜひこの機会に使い方をマスターしておきましょう。

「衷心」の意味とは?

「衷心」の意味は「まごころの奥底」

「衷心」の意味は、「まごころの奥底」「心の真ん中」です。嘘偽りのない真実の心を意味する語であり、大変重い意味を持っています。「衷」という漢字は「真ん中」を意味します。

「衷心」の読み方は「ちゅうしん」

「衷心」は「ちゅうしん」と読みます。「衷心」の「衷」はやや難しい漢字のため、読めなかった方もいるかもしれません。「衷」という字は普段は余り使う機会がありませんが、「和洋折衷(わようせっちゅう)」の「衷」と言われればすんなりと頭に入ってくるのではないでしょうか。

「衷心より」にはどんな意味がある?

「衷心より~」で格調高い表現になる

「衷心」は「衷心より~」というフレーズで用いる場合がほとんどです。「衷心より~」は後に続く文の意味を強める働きがあります。また、「衷心より~」を付けた文は礼儀正しく格調高い響きを持つようになります。

「衷心より~」の後には「お詫び申し上げます」「お祝い申し上げます」「感謝申し上げます」「お願い申し上げます」など様々な表現をつけることができます。

「衷心より~」ではなく「衷心から~」と表現することもありますが、「から」よりも「より」の方が改まった文体であるため、フォーマルな場面では「衷心より」を用いることをお勧めします。

「衷心」の使い方と例文

話し言葉ではなく書き言葉として使う

「衷心」は主に書き言葉として用いる言葉です。このため、お葬式で遺族の人に向かって「衷心よりお悔み申し上げます」などと発言するのはやや不自然に聞こえてしまいます。このような場面では「心からお悔み申し上げます」などと柔らかめの表現を用いるようにしましょう。

弔電、メールなどで使うことが多い

「衷心」を用いることが多い場面の一つに弔電(葬儀のときに遺族に送るお悔やみを表す電報)があります。「衷心より哀悼の意を表します」「衷心よりお悔み申し上げます」などと表現することで字数制限のある電報の中で的確に相手に対する気遣いを表すことができます。また、「衷心」は弔電以外にも挨拶状やメールなどで用いることもあります。

ビジネスでは取引先の人や自分より立場が上の人に特別な出来事があった場合などに用いるのがふさわしい言葉です。

不幸やお詫び以外でも使える

「衷心」という言葉は不幸やお詫びなどに用いることも多いですがそれ以外の場面でも用いることができます。例えば、心の底から相手を祝福したり喜びを現したりする場合にも「衷心より」という表現を用いることができます。「衷心」という語はどうしてもお葬式などを想像しがちですが、おめでたい場面でも使えることはしっかりと覚えておきましょう。

「衷心」を使った例文4パターン

  • この度の○○様の訃報について衷心よりお悔やみ申し上げます
  • 長年に渡って当社をご愛顧いただいたことに衷心より感謝を申し上げます
  • この度貴社が無事海外進出を果たされたことに衷心よりお慶び申し上げます
  • 被害を受けた方々が1日でも早く平穏な日々を取り戻されることを衷心よりお祈り申し上げます

「衷心」の類語

「衷心より」の類語は「心より」

「衷心より」の最も一般的な類語は「心より」です。「衷心より」から「衷」を除いた「心より」の方が日常的には馴染み深い語であるといえます。

ただし、「心より」は話し言葉としても用いることができて相手に意味も伝わりやすい言葉ですが、「衷心より」と比べるとやや重みには欠ける言葉となります。

「衷心」の類語は「誠に」「心底」「切に」

「衷心」の類語は「心より」以外にも、「心から」「心の底から」「心底」「誠に」「切に」「切実に」など数多くあります。いずれもビジネスシーンで多用する言葉なので併せて覚えておくと良いでしょう。

「衷心」を使った英語表現

「衷心より」の英語は「heart」で表現する

「衷心より」の英語は「心」に相当するheartを用いて以下のように表現することができます。この辺りの発想は日本語も英語も共通しているので分かり易いのではないでしょうか。

  • heartily
  • with all my heart
  • from the heart
  • from my heart
  • from the bottom of my heart

まとめ

「衷心より」は特別な場面で用いる書き言葉であるため、日常的にはそれほど使う機会が多くはありませんが、社会人としては是非とも押さえておきたい言葉であるといえます。いざという場面でスムーズに活用できるようにするためにも、今のうちにしっかりと正しい使い方を身に着けておいてください。