「感銘(かんめい)」とは「心に深く感じること」を意味する言葉です。「感銘を受ける」のように使われますが、「感動」との違いが分からない方もいるでしょう。
この記事では「感銘」の使い方や例文、類語(類義語)について解説します。くわえて「感銘」の対義語や英語表現も解説しましょう。
「感銘」の意味と例文
「感銘」の意味は「深く感じること」
「感銘(かんめい)」とは「忘れられないほど、心に深く感じること」や「心に刻んで忘れないようにすること」を意味する言葉です。「感」が「深く心が動いている様子」を、「銘」が「深く心に刻むこと」をそれぞれ意味します。
「感銘」は漢字で「肝銘」とも表す
「感銘」は漢字で「肝銘」とも表します。読み方や意味に違いはなく、忘れられほど深く感じる状況で使われます。「肝銘」の場合「肝」は内臓の大切な部分である「肝臓」を意味しており、転じて「大切なところに深く刻むこと」を表すとして「肝銘」が使われるようになりました。
「感銘」を使った例文
- 彼の生命力あふれる作品に感銘を受け、自分も再び筆をとった。
- 多くの人に感銘を与えるような、そんな女優になりたいのだ。
- 先生の講義に感銘を覚え、哲学について学ぶことにした。
「感銘」の使い方とは?
「感銘」は強く心が動く状況で使う
「感銘」は心が強く動かされる状況で使いましょう。そのため、単に感動しただけや、小さく心が揺さぶられただけでは「感銘」と言いません。たとえば「先生の言葉に感銘いたしました」という使い方の場合、先生の言葉に忘れられないほど心が動かされたことを表します。
また、さらに大きく心を動かされた場合は、「深い感銘を」や「強く感銘する」のように表しましょう。
「感銘を受ける」とは自分の心に深く感じること
「感銘」のよくある使い方に「感銘を受ける」があります。「感銘を受ける」とは「忘れられないような深い感情を心に抱くこと」を意味する表現です。相手の言葉や行動が心に深くささり、価値観やその後の行動に影響を与えるような場面で使用しましょう。
「感銘を与える」とは相手の心を動かすこと
「感銘を与える」とは「忘れられないような感情を抱かせること」を意味する表現です。「感銘を受ける」は自分の心が動かされることを表しますが、「感銘を与える」は相手の心を動かすことを表します。
「感銘を覚える」や「感銘する」のように表す
「感銘」は「感銘を覚える」や「感銘する」のようにも使われます。「感銘を覚える」と「感銘する」はどちらも「忘れられほど心に深く感じること」を意味します。「一生懸命な姿に感銘を覚えた」や「いたく感銘した」のように使いましょう。
「感銘」を使うときの注意点とは?
「感銘」の多用は安っぽい印象を与える
「感銘」の多用は安っぽい印象を与えるため、注意しましょう。とくに面接シーンや履歴書などで多く見かけますが、多用することで簡単に心が動くような軽い人柄だと捉えられることがあります。
単に「御社の理念に感銘を受けました」と表すのではなく「理念のどこに心を動かされたのか」や、「感銘を受けた結果、どんな変化があったのか」などを具体的に伝えることが重要です。曖昧な返答を避けることで自分の考えが明確に伝わり、相手に興味をもってもらいやすくなります。
目上のみに使うというルールはない
「感銘」は目上に対してのみ使える表現だと言われることがあります。目上の人が目下に対して使うのは誤用だという記述が見られますが、そのようなルールはありません。序列に関係なく心が動かされる状況を表すため、部下の言葉や行動に対しても使用できます。
「感銘」と「感動」の違いと類語(類義語)
「感銘」と「感動」の違いは「心が動く程度」
「感銘」と「感動」は似た意味をもちますが、どれほど心が動かされるのかが異なります。「感動」は「心が強く動かされること」を意味しますが、「感銘」はさらに強く「忘れられないほど心に感じること」を意味します。
「上司の言葉に感動した」と「上司の言葉に感銘を受けた」の2つで例えてみましょう。前者は上司の言葉により悲しさや嬉しさを感じ、心が動くことを表します。一方で「感銘」は上司の言葉により湧きでた感情が心に刻まれ、生涯忘れられないような状況を表します。そのため「感銘」の方がその後の人生にも影響を与えるような、大きな心の動きを表せるのです。
- 感銘…忘れられないほど、心に深く感じること。一生涯続くような感情をさす。
- 感動…心が強く動かされること。そのとき限りの感情をさす。
類語1【感激】気持ちが高ぶること
「感銘」の類語には「感激」が当てはまります。「感激」とは「強い感情を抱き、気持ちが高ぶること」を意味する言葉です。「感銘」と「感激」は「心が深く動かされる」という意味が共通しているため、類語として言い換えられます。
ただ、「感激」は「感銘」と比べて、個人的な気持ちの高ぶりに多く使用されます。「久々の再会に感激する」や「素晴らしいできに感激した」のように、個人的な物事に触れて感情が表にでる場面で使用しましょう。
類語2【感心】技量に心が動くこと
「感心」も「感銘」の類語に当てはまります。「感心」とは「行為や技術に触れて、心を動かされること」を意味する単語です。どちらも心が動くことを意味しますが、「感心」は「立派」や「素晴らしい」など、相手を評価するニュアンスを含みます。
上から目線で失礼だと捉えられることもあるため、目上の相手への使用は控えましょう。
「感銘」の対義語とは?
対義語1【無感動】心が動かないこと
「感銘」と反対の意味をもつ言葉(対義語)には「無感動」が当てはまります。「無感動」とは「心が動いていない様子」を意味する言葉です。「感銘」の忘れられないほど心に感じる様子と反対に、「無感動」は心に何も感じない様子を表します。
対義語2【冷淡】熱意がないこと
「冷淡(れいたん)」も「感銘」と反対の意味をもつ言葉(対義語)に当てはまります。「冷淡」とは「物事への関心や興味、熱意がないこと」や「同情や親切心など、思いやりの心がないこと」を意味する単語です。
「感銘」の心が動かされる様子とは異なり、「冷淡」は何にも興味をもたずに心が動いていない様子を表します。
「感銘」の英語表現とは?
「感銘」は英語で「Impression」
「感銘」の英語表現には「Impression」が適しています。「Impression」とは「印象」や「感銘」を意味する表現です。「Leave an impression on~」と使うことで「○○に感銘を与える」を表せます。
「感銘を受ける」の英語訳は「Get inspiration」
「感銘を受ける」は英語で「Get inspiration」と表します。「Get」が「得る」を、「Inspiration」が「刺激」や「奮い立たせること」を意味しており、「Get inspiration」と使うことで刺激を受けたり感動させられたりすることを表せます。
また、感銘の英語表現として紹介した「Impression」を使うことも可能です。「Impression」を使う場合は「Impressed by ~(○○に感銘を受けた)」のように使いましょう。
まとめ
「感銘」とは「忘れられないほど、心に深く感じること」や「心に刻んで忘れないようにすること」を意味します。「感銘を受ける」や「感銘を与える」の形で使用されますが、多用すると軽い印象を与えるため注意が必要です。「感銘」以外の表現を使いたい場合は、類語の「感激」や「感心」へと言い換えてみましょう。