医療保険とは、保険の加入者が保険料を定期的に納めて、ケガや病気などで医療費がかかった時にお互いに支えあう制度です。国民健康保険は、公的医療保険の中でも代表格の保険です。その国民健康保険に加入しなくてはならない人とは誰なのかを明確にして、加入手続きに必要な資料や期間など加入手続きの方法について解説します。
国民健康保険の加入手続き方法
国民健康保険の加入手続きは市区町村の役所窓口
国民健康保険の加入手続きは、居住の市区町村の役場窓口で行ないます。
加入手続きに必要書類
国保の加入手続きに必要な書類は、加入申請者の理由によって違いがありますが、どの場合でも必須とされる持ち物は下記のとおりです。
- 世帯主の印鑑
- 個人番号カードや通知カードなどのマイナンバーが分かる書類
- 運転免許証やパスポートなどの個人確認ができる書類
上記の書類に加えて、各加入申請者の必要になるものは次のようになります。
手続きが必要なケース | 手続きに必要なもの |
退職したとき | 健康保険の資格喪失証明書 (退職した会社か地域の年金事務所で発行) |
各医療保険から脱退した場合 | 脱退連絡票 |
他の市区町村から転入してきた場合 | 転出証明書 |
子供が生まれた場合 | 母子健康手帳 世帯主の振込口座がわかるもの |
生活保護が終了した場合 | 生活保護廃止通知書 |
郵送での加入手続きは自治体によっては可能
国保の加入手続きは役場の窓口で直接行うところがほとんどですが、郵送で受けている自治体もあります。例えば東京都練馬区では、退職などで職場の社会保険を脱退し場合のみ郵送での申請を受け付けています。
各自治体によって異なりますので、郵送を希望される方は問い合わせてください。
代理人申請も可能
国保加入の申請手続きは、世帯主が行いますが、同世帯内の家族でも申請はできます。
同世帯外の代理人でも委任状と本人の身元確認ができる書類を提示すれば、申請は可能です。ただし代理人申請の場合、国民健康保険証は世帯主あてに簡易書留で郵送される場合がほとんどです。
国民健康保険(国保)に加入すべき人とは?
他の保険に加入していない人は全員加入
日本では必ずなんらかの健康保険に加入しなくてはならない義務があります。健康保険の中でも国民健康保険は、公的医療保険で、各市区町村が運営しています。主な加入者は、自自営業などの他の医療保険に加入できない人が対象です。
具体的に国保で加入手続きを行うケース
それでは具体的に国民健康保険、略称「国保」に加入しなくてはならない場合をご紹介します。
- 会社を退職して、社会保険の任意継続をしないか、その契約が終了した場合
- 社会保険や船員保険、国民健康保険組合を脱退した後、扶養家族の保険に被扶養者として加入できない場合
- 自営業者で社会保険や船員保険、国民健康保険組合に属していない場合
- 75歳以上の後期高齢者になった場合
- 1週間の労働時間が30時間未満の場合
- 他の市区町村から転入してきたとき
- 子供が生まれたとき
- 生活保護を受けなくなったとき
また、在住歴が1年以上となると決定した外国籍の方で何らかの医療保険に入っていない場合は、国保に加入する義務があります。
加入手続きはいつ行う?遅れたらどうする?
国保の加入手続き期限は14日以内
国保の加入手続きは、どのケースにおいても14日以内に加入手続きを行うのが原則です。
退職者の場合は、退職日から14日以内に国保への加入手続きを行います。加入手続きが遅れると、退職後からかかった医療費は全額自己負担になるので注意しましょう。
転入してきた場合は、引っ越しをしたその日から14日以内で、転入届を提出してから国保加入の手続きを行います。子供が生まれた場合は、出生日を含めた14日以内で、出生届を提出してから国保の加入手続きを行います。
また生活保護が終了した場合も、終了したその日から14日以内に手続きを完了します。
加入が遅れると、医療費は全額負担だが、保険料はすべて請求
保険加入が国民の義務である日本では、国民健康保険の加入手続きが遅れても、過去に遡って保険料が計算されるため、未払い分の保険料もすべてに請求されます。また健康保険に未加入で無保険の期間は、医療費は全額自己負担になることから、国保への加入手続きは速やかに行うのがいいでしょう。
国民健康保険証はいつ届く?
原則は加入手続きをしたその日に発行
ほとんどの場合、加入手続きをしたその日のうちに、窓口で国民健康保険証が手渡されます。
自治体によっては後日郵送の場合も
しかし一部の自治体では国民健康保険証が後日郵送されることもありますので、早期に保険証を受け取りたい場合は、事前に自治体に問い合わせておきましょう。
国民健康保険料はいくら?加入すべき?
各自治体によって異なる保険料
保険料は、「世帯の所得金額」と「その世帯の扶養家族の数」、「40歳~64歳の人の数」によって計算されます。また保険料の上限金額は決まっているものの、各自治体によっても保険料率は変わります。納付期間や回数も自治体によって異なりますので、保険料がいくらになるかは各自治体にお問い合わせください。
社会保険の任意継続や配偶者の扶養に入ることも検討を
国民健康保険は、1人ずつが加入する保険であるため、他の保険に比べると、保険料が割高になりがちです。もし退職後で、在職中に社会保険に入っていた場合には「社会保険の任意継続」を行うことで、保険料を抑えられる可能性があります。また配偶者などが社会保険に加入している場合には、その扶養になることで保険料を抑えることができる可能性があるため、検討してみるとよいでしょう。
まとめ
国民健康保険の加入手続きは、お住いの市区町村の役場窓口で行ないます。世帯主が手続きを行うのが基本ですが、その家族や代理人でも可能です。気を付けたいことは、加入手続きはどのケースでも14日以内に済ませることです。保険加入の手続きを後回しにして忘れることのないように気を付けましょう。