「全然大丈夫」とは「少しも問題がない」という意味です。友達や家族に何かを訪ねられた際に「全然大丈夫だよ」と返す人もいるでしょう。しかし、この表現に違和感がある人も多いようです。どのような心理が理由で違和感を感じるのか、また敬語への言い換え表現も説明します。
「全然大丈夫」の意味
「全然大丈夫」の意味は「少しも問題がない」
「全然大丈夫」の意味とは「少しも問題がない」です。「全然」は「全く」や「すっかり」という意味です。「大丈夫」は、ここでは相手の問いに「問題がない」と返す言葉として用いられています。
「大丈夫」は「安心できる様子」「間違いなく確かな様子」を意味する言葉です。しかし、最近は「問題がない」や「必要がない」と答える用法が増えています。
「全然大丈夫」の表現に違和感がある理由
「全然大丈夫」は違和感を持たれやすい言葉です。誤用や俗語のように扱われる場面も多くあります。理由は「『全然』は後ろに打消し・否定的な表現を続ける用法しかない」という印象が広まっているためです。
本来、「全然」には肯定的な表現を続けて「すっかり〇〇だ」とする用法があります。しかし、第二次世界大戦終戦後あたりからこの用法を掲載しない辞書が増え、学校教育でも誤用とされるようになりました。そのため、現在でも誤用という印象を持たれやすくなっています。
ちなみに、「全然大丈夫」の実際の意味は「少しも問題が『ない』」ため、意味の上では打ち消し表現で誤用としない説もあります。
「全然大丈夫」の英語表現は「No problem at all」
「全然大丈夫」の英語表現は「No problem at all」です。「No problem」は問題がないことを表します。「at all」は「全く~ない」と強調する意味で用いられています。
「全然大丈夫」の使い方と例文
「全然大丈夫」は日常会話でよく使われる
「全然大丈夫」や友達や家族など、親しい相手との日常会話で使用します。誤用の印象がある言葉ですが、カジュアルな場面なら受け入れられることが一般的です。
職場で使う場合は、相手との関係に注意しましょう。目上の人や取引先など、かしこまったマナーが必要な相手には使わない方が無難です。文法の問題だけでなく、「敬語表現として不適切なこと」が理由になります。後に紹介する敬語表現に言い換えるとよいでしょう。
「全然大丈夫」は質問や依頼の返事に使う
「全然大丈夫」は何かを訪ねられたり、依頼された際に返事として使う表現です。他にも、謝罪に対して「気にしていませんよ」と伝える場合も使用されます。
ただ「大丈夫」と受け入れるだけではなく「全然」と強調することで、質問や依頼に対するポジティブな姿勢を伝えることが可能です。また、会話だけでなくメールやSNSの返信にも使えます。
「全然大丈夫」を使った返信例
- 「たまには2人で出かけたいな。12日は空いてる?」「全然大丈夫だよ」
- 「新入部員への説明、お願いしていい?」「全然大丈夫ですよ」
- 「今日から復帰しました。休んでいる間、迷惑かけてしまってすみません」「全然大丈夫ですよ」
「全然大丈夫」の類語を使った言い換え
「全然大丈夫」の言い換えは「全く問題ない」
「全然大丈夫」の言い換えに向いているのは「全く問題ない」です。「全く」は「全然」、「問題ない」は「大丈夫」の類語になります。
「問題ない」は打消し・否定表現のため、「全然問題ない」と言い換えても正しい表現になります。
敬語の言い換えは「差し支えございません」
敬語の言い換えに向いているのは「差し支えございません」や「差し支えありません」です。自分にとって不都合がないことを意味し、目上の人にも使えます。親しい上司とのやり取りなどで、丁寧すぎると感じた場合は「問題ございません」を使うとよいでしょう。
「気にしない、不都合ではない」ことを意味する「構いません」も丁寧な表現で、意味としては「全然大丈夫」の言い換えになります。ただし「自分の都合で、相手に許可を与える」という印象を持たれやすいため、目上の人には避けた方が無難です。
「承りました」「お気になさらないでください」
依頼に対する返答の場合は「承りました」も言い換えに向いています。相手の依頼を理解し、引き受けることを意味する言葉です。依頼に対して「問題がない」ことだけでなく、引き受けることを明確に伝えることが可能です。
他にも、謝罪に対する返答の場合は「お気になさらないでください」が向いています。
「全然大丈夫」の敬語の言い換え例
- 「次回のミーティングは12日でいいですか?」「問題ありません」
- 「新入社員の指導は、君に担当してほしい」「はい、承りました」
- 「今日から復帰しました。休んでいる間、迷惑かけてしまってすみません」「お気になさらないでください」
まとめ
「全然大丈夫」という表現は、現在では誤用や俗語として扱われることが一般的です。ビジネスシーンやマナーが必要な場面で、「問題がない」ということを伝えたい場合は、敬語表現の「差し支えございません」や「お気になさらないでください」に言い換えるとよいでしょう。