「回答」という言葉を敬語として利用する場合、「ご回答」と「ご」をつけて利用することになります。このように、動詞の頭に「御(ご・お)」をつけることで敬語として利用できる言葉は多くありますが、実は「ご回答」という言葉の使い方は意外と難しく、気が付かずに間違って使っているという人も多く見かけます。今回は、ご回答という言葉の使い方と注意点を紹介いたします。
「ご回答」の意味は?
「ご回答」は「回答」の丁寧な表現
「ご回答」の意味は、「回答」に「ご(御)」がついた丁寧な表現です。「ご回答ください」と使うと「回答してほしい」旨を丁寧に伝えることができます。
動詞の前に「御(ご・お)」をつけることで丁寧な表現に
敬語にはいくつかの種類のものがありますが、そのうちのひとつが、動詞の前に「ご」や「お」を付ける言いまわし。「ご回答」以外にも「ご返事」「ご説明」などの言葉でも成り立ちます。ただし、この言葉だけでは、一般生活の中で使用できる敬語として成り立つわけではありませんので、使い方には注意が必要です。
自分のおこなう動詞の前に「ご」をつけることは正しい
自分が回答をするという場合、自分のおこなう動作の前に「ご」をつけることは、まるで自分自身を敬うというイメージをもってしまうため、敬語として使い方が間違っていると感じる人もいるかもしれませんが、実はこれは正しい使い方です。
通常、名詞に「ご」や「お」をつけることは、尊敬語や丁寧語の意味となります。しかし動詞に「ご」や「お」をつける場合、その後に続く言葉次第で尊敬語にも謙譲語にもなりますので、自分のおこなう動詞の前に「ご」をつけるという使い方は間違っていないと言えるのです。
「ご回答」の類義語は?
「ご回答」の類義語は「ご返答」など
ご回答の類義語としては、「ご返答」などが挙げられます。ご回答とご返答は意味自体は変わりませんが、ご回答とは質問や要求に対して答えること、ご返答とは聞かれたことや誘いに対して返事をすることを意味するため、ビジネスシーンで利用する場合は、「ご回答」を使用することになります。
「回答」と「解答」の違い
質問などに答えるという意味を持ち、読み方も同じ「回答」と「解答」という言葉ですが、その意味はまったく違います。回答とは前述の通り、質問や要求に対して答えること。解答とは問題の答えを解くことや問題そのものの答えのことを指します。そのため、文面やメールなどで書き間違いをしないように気を付けましょう。
「ご回答」の使い方は?
自分で「回答」をする場合の使い方
回答のように動詞に「ご」をつけて使う場合、その後に続く言葉次第では言葉の立ち位置が変わるため、ご回答の後に続く言葉にこそ注意しなければいけません。ご回答の後に続く言葉として正しい言葉は、「申し上げます」になります。それ以外の言葉でもご回答自体が敬語にあたるため、一見間違っていないと感じてしまいますが、「ご回答申し上げます」という言い回しがもっとも正しい使い方になります。
相手に「回答」を求めるときの使い方
自分が回答する場合ではなく、相手に回答を求める場合のご回答の使い方は、「ご回答をお願いします」になります。また、より相手に敬意を示す場合は、「ご回答をお願いいたします」や「ご回答をお願い申し上げます」といった使い方がよいでしょう。このように、相手になにかしらの行動を求める場合、後に続く言葉に「お願い」という言葉をつけるのが適切です。
「ご回答」を使うときの注意点
「ご回答」の後に続く言葉が重要
ご回答を敬語として使う場合の注意点は後ろに続く言葉によっては、敬語として認められていないものが多いということです。そのため、ご回答を敬語として利用する場合、いかにその後に続く言葉をよく考えて使うかということが重要だと言えます。「ご回答申し上げます」以外の言葉でも、言葉のニュアンス的には間違っていないように感じますが、その他の表現は一般的には正しいとは言えないでしょう。
「ご回答致します」は間違い
それでは「ご回答致します」という言葉はどうでしょう?一見、これもただしい敬語の使い方だと感じる人もいるかもしれませんが、「回答」という名詞にたいして「致します」という尊敬語を使うのは正しくはありません。
「ご回答ください」も使い方に注意
相手に回答を求める場合、「お願い」という言葉を使わずに、「ご回答ください」という言葉を使ってしまうと、相手が目上の方や立場が上の方の場合、敬意を示している言葉だと受け取ってもらえない可能性がでてきます。言葉のニュアンス的にも「ご回答ください」だと、相手に言葉を突きつけているような印象があるため、決して気持ちの良い言葉とも言えません。そのため、やはり回答を相手に求める敬語として使う場合は、「ご回答お願いいたします」とするのがよいでしょう。
まとめ
「ご回答」を敬語として使う場合、「ご回答申し上げます」というのが正しい使い方です。また、相手に回答を求める場合は「ご回答お願いいたします」というのがよいでしょう。このような言葉はビジネスシーンの中でも使用することが多い言葉のひとつですので、ぜひ頭の中に入れておき、正しい使い方を心掛けるようにしましょう。