「青天の霹靂」は思いもよらない出来事に驚くという意味のことわざで、古代中国の書物が由来の故事成語です。難しい漢字ですが、映画のタイトルやお米の名前など実は身近なところでも使われています。
ここでは「青天の霹靂」の意味や使い方について例文を使って解説します。また、類語と対義語、英語表現についても紹介しましょう。
「青天の霹靂」の意味や由来とは?
「青天の霹靂」とは思いもよらないことが起きること
「青天の霹靂」の読み方は「せいてんのへきれき」で、思いもよらないことが突然起きるという意味です。
「青天」には「晴れわたる空」や「晴れ」という意味があり、「霹靂」は「激しい雷の音」や「落雷」を表しています。空が晴れ渡っているのに突然雷が鳴ることが「青天の霹靂」であり、転じて予想もしていないことが起きて驚くという意味につながっています。
「青天の霹靂」の由来は古代中国「故事成語」
「青天の霹靂」は、古代中国の書物などを元としてできた教訓や戒めの言葉である故事成語(こじせいご)のひとつです。中国を代表する詩人「陸悠(りくゆう)」が書いた詩「九月四日雞未鳴起作」の一節にある「晴天に霹靂を飛ばす」という記述が由来といわれています。
「晴天に霹靂を飛ばす」とは、病気で寝ていた陸游が突然起き上がって勢いよく筆を走らせたようすを雷にたとえたものです。もともと「青天の霹靂」という言葉は文字を書く勢いの凄まじさをさした言葉でした。そこから転じて、現在の思いもよらない出来事が突然起きるという意味につながっています。
「青天の霹靂」に「晴天」を使うのは誤用
「青天」という言葉が「晴れた空」や「晴れた天候」を意味することから「晴天の霹靂」と漢字表記をされることがありますが、これは誤用です。読み方も同じであり意味も通じますが、よくある勘違いのひとつといえます。
「青天の霹靂」の使い方と例文
「青天の霹靂」は予想外のことが起きたときに使う
「青天の霹靂」という言葉は、予想もしていなかったようなことや思ってもいなかった大きな出来事が起きて驚いたときに使う言葉です。
たとえば、事前の内示などもなくある日突然海外への転勤を命じられたときに「まさか海外へ転勤を命じられるなんて、青天の霹靂だ」などと表現します。全く予想していなかったばかりか自分にとって大きな出来事が突然起こり、とても驚いたことが端的に伝わる言い回しです。
「青天の霹靂」は良いことと悪いこと両方に使う
「青天の霹靂」は、大きな出来事に驚いたという意味合いからネガティブなことに対して使うことも多いですが、実はポジティブな出来事にも使える表現です。どちらの場合でも、その出来事に驚いたというニュアンスの言い回しになります。
「青天の霹靂」は映画やお米の名前にも使われている
「青天の霹靂」は、予想していなかったことが起きて驚くという意味合いや文字の見た目のインパクトが強く目をひく言葉です。そのためか、映画のタイトルや本の題名にもなっています。
他にも、お米や日本酒の名前など、身近なところでも使われている言葉です。
「青天の霹靂」を使った例文
- この年齢で海外勤務の辞令とは、まさに青天の霹靂です
- 長年勤めてきた会社が倒産するなんて青天の霹靂だ
- 大げさかもしれないけれど、私にとっては青天の霹靂と言える出来事です
「青天の霹靂」の類語とは?
類語「寝耳に水」はほぼ同じ意味のことわざ
「寝耳に水(ねみみにみず)」とは、突然の出来事に驚くという意味です。
「寝耳」とは寝ているときの耳のこと。寝ているとき、耳に水が入ってきたら誰もが驚くでしょう。そこから、思いがけない突然の出来事に驚くという意味に繋がります。「青天の霹靂」とほぼ同じ意味と言えます。
「藪から棒」は類語として言い換え可能
「藪から棒(やぶからぼう)」とは、唐突な言動に驚くことです。
何もないと思っていた藪からいきなり棒が突き出されると驚くように、前後の脈略と関係のない話を突然されたときなど「藪から棒な話ですね」といった言い回しで使います。
また、唐突に話題を変えるときに「藪から棒ですが~」などと枕詞として使うことで、まったく違う話をしますがという意味が伝わります。
ことわざ「足下から鳥が立つ」も類語として使える
「足下から鳥が立つ」とは、意外なことが身近で起きて驚くという意味のことわざです。
足下から急に鳥が飛び立てば誰しも驚くように、思いもよらないことが身近で起きたときに「足下から鳥が立つようだ」などと表現します。また、慌てて物事を行う様子もさしており、急に決まった出張のために慌てて準備をする人に対して「足下から鳥が立つようだね」などと表現します。
ニュアンスが多少違いますが「青天の霹靂」の急な出来事に驚くという意味とよく似た意味のことわざであり、類語として使えます。
「青天の霹靂」の対義語とは?
「青天の霹靂」の対義語は「日常茶飯事」
「日常茶飯事(にちじょうさはんじ)」とは、毎日変わらないありふれた日常をさす言葉です。いつも通りの食事という意味から、いつも通りで特に変わらないという意味があります。「彼が忘れ物をするのは日常茶飯事だよ」というような言い回しで使います。
予想もしない突然の出来事をさす「青天の霹靂」に対し、日々変わらないいつも通りをさす「日常茶飯事」は対義語といえるでしょう。
「予定調和」も対義語として使える
「予定調和(よていちょうわ)」とは、物事が予想した通りの流れで進んでいくことを意味します。もともとは哲学用語であり、世の中の秩序が保たれている状態をさす言葉です。
予想した通りに進むことや思っていたままの結果になることに対して、「これは予定調和ですね」のように使います。
「青天の霹靂」の英語表現とは?
「青天の霹靂」は英語で「a bolt from the blue」
「青天の霹靂」は英語では「a bolt from the blue」と表現します。「a bolt from the blue」は、イギリスの評論家であり歴史家でもあるトーマス・カーライスの著書にある一節が由来のフレーズです。
「the blue」は「青空」を意味し、「bolt」には工具のひとつであるボルト以外に「稲妻」という意味もあります。「a bolt from the blue」をそのまま訳すと「青空からの稲妻」という意味になり、一般的には「青天の霹靂」や「寝耳に水」と訳されています。
また、似た表現で「突然の」や「思いがけない」というニュアンスの「out of the blue」というフレーズも英語表現として使えます。
「all of a sudden」という英語フレーズも
「青天の霹靂」は「all of a sudden」というフレーズでも表現できます。
「sudden」とは「突然」や「思いがけない」という意味の単語です。「all of a sudden」は「突然に」や「前触れもなく」といったニュアンスなので、「青天の霹靂」の意味を表現するのに適しています。
まとめ
「青天の霹靂」は晴れているのに突然雷がなることであり、転じて思いもよらない突然の出来事という意味の故事成語です。突然起きた出来事に驚いたときに「その知らせは青天の霹靂です」などと表現することで、突然のことに驚いたことが伝わります。
類語には「寝耳に水」や「藪から棒」ということわざがあり、ほぼ同じ意味のため言い換え表現にも使えます。
<ポジティブな出来事>
仕事ばかりしていた彼から突然結婚の知らせをもらった。まさに青天の霹靂だ。
<ネガティブな出来事>
長年続けていたバイトを会社の都合でやめることになるなんて、青天の霹靂です。