「溜飲が下がる」とは「不満や不安がなくなり気が晴れること」という意味ですが、「留飲を下げる」とも言いますよね。どちらかが間違った表現なのでしょうか。
この記事では、「溜飲が下がる」と「留飲を下げる」の違いのほかに、「留飲を下げる」の意味や使い方、類語や対義語などを解説します。
「溜飲が下がる」の意味とは?
「溜飲が下がる」とは「気が晴れること」
「溜飲が下がる」とは「りゅういんがさがる」と読み、その意味は「不満や不安がなくなり、気が晴れること」です。わだかまりがなくなり、スッキリとした気分でせいせいする状態を表しています。
「溜飲が下がる」の語源は「胃酸が感じられなくなりスッキリすること」
「溜飲が下がる」は、「胃液がスッキリすること」から生まれた慣用句です。「溜飲」とは消化不良になった胃から湧き上がってくる胃酸のことで、「溜飲が下がる」とは、胃酸がなくなり胸やけもなくなってすっきりすることを言い表しています。
この胃酸を不快なことの比喩としてとらえて、「溜飲が下がる」は「不満や不安がなくなり気が晴れること」という意味になりました。
「溜飲が下がる」を使った例文
- 合格通知をもらって溜飲が下がった
- これだけ言いたいことを言ったのだから、彼女の留飲も下がるはずだ
- ほっとした表情から、母の溜飲が下がったのがわかった
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」の違いとは?
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」の違いは能動的かどうかの違い
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」の違いは、不満や不安がなくすために能動的に行動をしたかどうかの違いがあります。
「溜飲が下がる」は、「不満や不安がなくなり気が晴れている状態」を表しています。一方「溜飲を下げる」は「不満や不安を自ら解消するように努めて、その結果として気が晴れること」という意味で、気が晴れるために能動的に振舞っています。
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」は、どちらも気が晴れているのですが、「溜飲が下がる」では、不満や不安をなくすために行動をしたかどうかが重視されていません。それに対して「溜飲を下げる」では、不満や不安をなくすためになにかを行ったことにも重点が置かれています。
「溜飲を下げる」とは「気を晴らすこと」
「溜飲を下げる」とは「りゅういんをさげる」と読み、「不満や不安をなくして、気を晴らすこと」という意味です。自ら不満や不安をなくすために何かを行い、その結果、気が晴れていることを指しています。
「溜飲を下げる」の例文
- 借金を返し終えた叔父は留飲を下げた
- 上司への不満を吐き出せたら、留飲を下げられるだろう
「溜飲が下がる」の使い方とは?
「溜飲が下がる」は不満や不安がなくなってすっきりした時に使う
「溜飲が下がる」は不満や不安がなくなり気持ちが晴れてすっきりしたときに使われます。すっきりとしたという気持ちになることが大切ですので、その不満や不安は比較的大きな場合に「溜飲が下がる」がよく用いられます。不満や不安が心のしこりとなってイライラしていたけれど、それがなくなって良かったという状況で使われます。
「溜飲が晴れる」などの間違った言い回しに注意
「溜飲が下がる」は間違った言い回しがされることの多い慣用句なので、注意が必要です。例えば、「溜飲が晴れる」や「溜飲を晴らす」などが着られることがありますが、間違った言い回しです。「溜飲が下がる」が正しい言い回しですので、間違えずに覚えておきましょう。
「溜飲が下がる」の類語と対義語とは?
「溜飲が下がる」の類語は「カタルシスを得る」
「カタルシスを得る」とは「浄化されてスッキリすること」という意味の慣用句です。「カタルシス」はギリシア語を語源とした言葉で「浄化」や「排せつ」という意味があります。
「カタルシスを得る」は不快なものが取り除けられてスッキリするという意味のため「溜飲が下がる」の類語表現ですが、「カタルシスを得る」は文学的な表現のため、あまり聞かれない表現かもしれません。
納得できていなかった彼の行動をとことん話し合うことで、カタルシスを得た
「安堵する」や「納得する」は「溜飲が下がる」の言い換え表現
「溜飲が下がる」の「気が晴れること」という意味から、次のような表現で置き換え変えられることもあります。それぞれの意味を理解して、言い換え表現として使ってみましょう。
- 「安堵する」:安心すること
- 「気が晴れる」:不快な気持ちがなくなりさわやかな気持ちになること
- 「納得する」:考えや行動を受け入れて、理解すること
- 「満足する」:不平や不満がなくなり、希望に満ち足りること
似たことわざは「胸の支えが取れる」や「胸を撫で下ろす」
「胸の支えが取れる(むねのつかえがとれる)」とは「問題が解決して不満や不安がなくなること」という意味です。「溜飲が下がる」のように「気が晴れること」という意味合いも含まれています。
「胸を撫で下ろす(むねをなでおろす)」は「安心すること」という意味で、不満や不安などの落ち着かなかったことがなくなりほっとした状態を表しています。「胸を撫で下ろす」は「溜飲が下がる」よりも日常的によく使われる表現です。
「溜飲が下がる」の対義語は「鬱憤が溜まる」
「鬱憤が溜まる(うっぷんがたまる)」とは「心のうちに抑え込んでいた恨みや怒りが積もること」という意味の慣用句です。「溜飲が下がる」の対義語は不満や不安が解消されない状態を指しているので、「鬱憤が溜まる」は「溜飲が下がる」の対義語と言えるでしょう。
自由に外出できない彼は、鬱憤が溜まっていた
「溜飲が下がる」の英語表現
「溜飲が下がる」は英語で「to feel satisfied」
「溜飲が下がる」は英語で「to feel satisfied」になります。「満足する」という意味の英語表現ですが、「溜飲が下がる」の意味が「不満や不安がなくなり気が晴れる」ということなので、「to feel satisfied」が使えます。
「溜飲が下がる」の文字通りに直訳しても通じませんので、「溜飲が下がる」の意味から英訳してみましょう。
「溜飲が下がる」の英語例文
- “I was satisfied after the stressful work.”
「ストレスの多い仕事を終えて溜飲が下がった」 - “I was satisfied with winning the game.”
「試合に勝って溜飲が下がった」
まとめ
「溜飲が下がる」とは「不満や不安がなくなり気分が晴れること」という意味の慣用句です。「留飲を下げる」とは違い、不満などがなくなり気分が晴れた状態を指して使われます。「溜飲が晴れる」のような間違った言い回しに気をつけましょう。
ずっと思い悩んでいた退職届を提出したとき、私の溜飲が下がった