リスペクトとは「尊敬すること」を意味するカタカナ語です。しかし、尊敬とはややニュアンスが違うため、意味だけを覚えていては間違った使い方をする可能性があります。リスペクトの気持ちを正しく伝えるためにも、意味や使い方を確認しましょう。反対語の「ディスリスペクト」も紹介します。
「リスペクト」の意味や語源とは
リスペクトとは簡単に言うと「尊敬する」の意味
リスペクトとは「尊敬すること」「敬意をはらうこと」を意味するカタカナ語です。人や言動、作品などに対して敬意を表したり、「優れている」と認めて心服する際に使用します。
「リスペクト」の語源は英語「respect」
「リスペクト」の語源は英語「respect」です。「respect」には「尊敬」「尊敬する」という意味があるため、この意味のままカタカナ語になりました。
ただし、「respect」の意味は「尊敬」だけではありません。「respect」には優劣関係なく「存在自体に価値がある」として大切にする「尊重」の意味もあります。海外では「尊重」の意味で使う国が多いため、英語圏の人とのやり取りでは注意が必要です。
「respect」には「重視」「配慮」「観点」などの意味もあります。どれもカタカナ語の「リスペクト」にはない意味です。
「リスペクト」と「尊敬」の違い
「リスペクト」と「尊敬」はほぼ同じ意味ですが、違う点もあるため常に言い換えられるとは限りません。まずは「使う対象」です。「尊敬」は原則として人に対して使用しますが、「リスペクト」は人以外にも使用できます。
もう1つの違いは「相手との関係性」です。「リスペクト」は、対等または目下の相手にしか使わないという説があります。相手がこの説を信じている可能性もあるため、目上の人との会話では「尊敬」を使うほうが無難かもしれません。
「リスペクト」の使い方と例文
「相手をリスペクトする」「リスペクトの気持ち」
「リスペクト」は「相手をリスペクトする」という表現でよく使われます。「相手を尊敬する」という意味です。人だけでなく、作品や言動を対象にすることもあります。
他にも「リスペクトの気持ち」や「リスペクトを込める」と名詞として使うことも可能です。カジュアルな会話では、「〇〇をリスペクト」「まじリスペクト」のように使うこともあります。
「リスペクト」は作品に影響を受けた際も使える
楽曲や文芸、美術作品などでは「リスペクト」を「作品に影響を受けた」という意味で使うこともあります。「対象を尊敬している」「同じものではなく、オリジナリティがある」のが前提になる用法です。それらがない場合は「模倣」、悪質な場合は「盗作」「贋作」になります。
「リスペクト」はビジネスシーンに向かない
「リスペクト」にはカジュアルな印象があるため、ビジネスシーンにはあまり向かない言葉です。
ただし、「年齢が近くプライベートでも親しい先輩」「直属の上司で『尊敬』では大げさ過ぎる」という場合は、「リスペクト」でもよいでしょう。使う相手やシーンにあわせて判断が必要です。
「リスペクト」を使った例文
- 「対戦相手をリスペクトすることが大事」だと、監督は選手に言い聞かせた
- この曲は、A氏へのリスペクトの気持ちを込めて作曲しています
- 本家へのリスペクトが感じられない作品だったため、「盗作」「パクリだ」と批判が殺到した
「リスペクト」の反対語とは
「リスペクト」の反対語は「ディスリスペクト」
「リスペクト」の反対語(対義語)は「ディスリスペクト」です。「否定すること」「貶すこと」を意味します。
主にヒップホップの分野で使われています。社会・権力やライバルのアーティストを批判することを「ディスリスペクト」と呼びます。
「ディスる」は「ディスリスペクト」から生まれた
「ディスる」とは「ディスリスペクト」を短縮した言葉で、「否定する」「けなす」ことを意味します。「ディスってる」の形で使うこともあります。
当初はヒップホップ分野のスラングでしたが、インターネットやテレビを介して徐々に浸透しました。現在では、分野を問わず使用するカジュアルな若者語として定着しています。意味も変化し、けなす相手を限定せず使う言葉になりました。
「リスペクト」の類語とは
「リスペクト(尊敬)」の類語は「一目おく」
尊敬の意味で使う「リスペクト」の類語は「一目おく」です。相手が自分よりも優れていると認めることを意味します。目上の人には使えませんが、リスペクトと違いビジネスシーンでも使える表現です。
影響を受ける意味の類語は「オマージュ」
影響を受ける場合の「リスペクト」の類語は「オマージュ」です。「尊敬する作品から影響を受けること」として使われています。リスペクトと同じく、盗作ではないことが前提です。語源は「尊敬」を意味するフランス語ですが、カタカナ語のオマージュは「尊敬」の意味では用いられません。
たまたま内容が似た作品や、揶揄するために似せた作品も「〇〇のオマージュ作品」と表現されることがあります。ただし、語源が「尊敬」を意味するため、厳密には間違った使い方だと言えます。
まとめ
リスペクトとは、簡単に言うと「尊敬すること」です。「尊敬」とは違ってカジュアルな印象があるため、ビジネスシーンにはあまり向かない表現でしょう。語源になった英語「respect」とは意味の違いがあるため、「リスペクト」自体の意味を把握しておきましょう。