ビジネスシーンでよく登場する言葉に「折を見て」があります。メールや手紙、電話などで使われますが、語源や類語などについては普段から意識することは少ないと思います。
ここでは「折を見て」の語源と意味をはじめ、使い方や類語、英語表現などをまとめています。「機会を見て」「折に触れて」との使い分けと併せて紹介しましょう。
「折を見て」とは?
さっそく「折に触れて」の語源と意味について、読み方と併せてみてみましょう。
「折を見て」の意味は「都合の良い時」
「折を見て」の意味は、「都合の良い時」です。「今はハッキリと言えないが、先々で都合の良い時」「確定はできないが、のちに都合がついた時に」などようになります。
「都合がよければ」「もしも都合があったら」という意味合いになるため、ものごとを確約する表現ではありません。「折(おり)」は自分にとっての「折」、また相手にとっての「折」と両方の将来における見えない都合について話をしているため、やや不透明な状況で約束事を交わしているような雰囲気があります。
「折を見て」の読み方は「おりをみて」
「折を見て」の読み方は「おりをみて」です。会話で使う時はあまり意識をしませんが、文章で書いたり読んだりする際に、別の漢字と思い違いをしないように気を付けて下さい。
語源は「折り紙」の「折り線」
「折を見て」の語源は、「折り紙」の「折り線」を「区切られた時」と解釈したところから来ていると言われています。折り紙を折ると、そこにはくっきりとした「線」が現れますが、この線を「時期」「機会」になぞらえ「時期や機会を見る」、つまり「よい時を見計らって」となり「折を見て」という表現が生まれたとされているのです。
「折を見て」の使い方の注意点と例文
続いて「折を見て」の使い方にについて注意点と例文を紹介します。
相手に失礼にあたることも
「折を見て」は未来において不確かな日、つまり「日にちははっきり言えないが、都合がつけば」というようなニュアンスがあります。使い手にとっては都合がよく便利な言葉ですが、話の受け手は「一体、いつなのだろう?」と疑問に思ってしまう可能性もあるでしょう。
スケジュールに追われるビジネスシーンでは、取引先やクライアントに約束の日にちや時間を知らせることはとても重要なことです。そのような状況で「折を見て」を使ってしまうと、ビジネスに対しての心構えや意気込みが中途半端であると、相手に間違った印象を与えてしまうかもしれません。
また、相手にとっても行動をひたすら待つしかない状況になるため、ビジネスパーソンとしては相応しくないマナーとなってしまいます。
目上の人には適切ではない
前述した通り、「折を見て」は取引先やクライアントに使うには不適切だと言えますが、同様に会社の上司や重役などに使うのも適切だとは言えません。むしろ、上司や重役など立場の高い人たちからすれば「私たちのポジションを理解していない」と不快な感情を抱いてしまうことにもなりかねません。
言葉の言い回しや敬語の使い方で上役の機嫌を損ねてしまうほど、恥ずかしいことはないでしょう。ぜひ、時間の約束をする時は、はっきりした日時を伝えることができるように心がけて下さい。
「折を見て」の敬語はない!使い方を工夫する
「折を見て」の敬語表現(尊敬語・謙譲語)はありません。「折をご覧になって」「折を拝見して」とは使いません。
上述の通り、相手に使うことは失礼になる場合があるため、「折を見て」を使いたい場合には、「できり早く」「ご都合のよろしいときに」など他の言葉を使うほうがよいでしょう。
確約を避けたい時に上手に使う
「折を見て」は、使う相手に気を付けて上手に活用すれば、とても便利な言葉でもあります。たとえば、ビジネスにによっては「訪問の日時をいつにするのか」という話以前に「本当に行うのか」という次元で気が進まない時もあるでしょう。そのような場合、「いいえ」という言葉を使わずに上手に返事を濁したい時に、「折を見て」を使うとやんわりと場を切り抜けることができます。
もちろん、「折を見て」は確約した応え方ではありませんが、相手にストレートに「わかりません」「無理です」と直球で返事をして不快な気持ちにさせることもありません。曖昧に「都合がついた時に」というニュアンスをもって会話を終わらせることができるため、繊細なビジネスシーンで役に立つ言葉だとも言えるでしょう。
「折を見て」を使った例文
「折を見て」を使った例文をいくつか挙げてみます。
- ミーティングの日程については、折を見てご連絡させていたします。
- 折を見て、御社へ訪問する予定です。
- 引継ぎの紹介は、折を見ながらさせていただければと思います。
- 折を見ると言っても、いつまで待てば良いのだろうか?
- 来年の予定については、繁忙期が過ぎたら折を見てゆっくり話しましょう。
「折を見て」の類語と英語は?
最後に「折を見て」の類語と英語について触れてみましょう。
類語は「機会を見て」
「折を見て」の類語には「機会を見て」「時期を見つけて」などになります。状況に応じて適切な表現と言い換えをしても良いでしょう。
「折に触れて」とは頻度が違う
「折を見て」と似た言葉に「折に触れて」がありますが、意味においては異なる点があります。「折に触れて」は「折がある度に」「機会がある時はいつも」という意味になるため、「折を見て=都合がよい時に」とは意味合いはもちろん「頻度」が違ってきます。
英語は「find the right time」
「折を見て」の英語表現は「finding the right time」が最も適切な表現でしょう。今はわからないが、先々「正しいと思われる時間=the right time」を見つけて、という意図を持って広く使われています。
まとめ
「折に見て」は「都合の良い時」「もし都合が良ければ」「都合があったら」という意味のある言葉です。予定や日時を確約できない表現であるため、取引先や目上の人に使うのは適切ではありません。しかし、相手や複雑な状況においては、返事を濁すという効力を利用すれば便利な言葉だともいえるでしょう。