「始める」と「初める」は「まだ行われていないことを行う」という意味ですが、漢字が違うのでその意味は違うでしょうか。また「初める」ですが、「初めて」を「はじめて」と読むように「はじめる」と読んでいいのでしょうか。
この記事では、「始める」と「初める」の意味や読み方、使い方などをわかりやすく解説します。
「始める」と「初める」の違いとは?
「始める」は「はじめる」、「初める」は「そめる」と読む
「始める」の読み方は「はじめる」ですが、「初める」は「そめる」と読みます。
「初」という字は「初めて」という副詞でよく使われて「はじめて」と読みますが、動詞で「初める」と使われた時には「はじめる」とは読みません。つい「初める」を「はじめる」と読みたくなってしまうかもしれませんが、正しい読み方である「そめる」だと覚えておきましょう。
「初める」は必ずほかの動詞の後につく
「始める」は単独で動詞として使われる以外に、「食べ始める」のようにほかの動詞の連用形につくこともあります。しかし「初める」は単独で使われることはなく、必ずほかの動詞の連用形の後につき「食べ初める」のように使います。「食事を始める」とは言えますが、「食事を初める」とは言えないので注意しましょう。
「始める」と「初める」の意味とは?
「始める」と「初める」の意味は「開始する」
「始める」と「初める」の意味に違いはなく、その意味は「物事がまだ行われていない状態から、行い出すこと」という意味です。「今までやっていなかったことを新しく行う」という意味でも使われますし、「すでに行ったことでも、例えば今日はまだ行っていないことを行う」という意味でも使われます。
「始める」と「初める」の意味に違いはなし
「初める」の「初」という漢字に「最初」という意味があるため、「初めて」のように副詞で使われた時には、「最初」という意味の経験に伴う意味で使われます。一方、「始めて」は「行動を行う」「開始」という意味で使われて、「初めて」と「始めて」が使い分けられることがあります。しかし「始める」また「初める」という動詞で使った場合にはどちらも同じ意味で使われます。
「始める」の使い方と例文
「始める」は新しく物事を行うときに使う
「始める」という言葉は、新しく物事を行うときに使います。今までしたことない勉強や事業など、まだ経験としてやったことのないことを行うときに「始める」を使います。
- フランス語の勉強を始めた
- 新しい事業を始めることにした
「始める」はやめていたことを行うときに使う
また「始める」は、やめていたことを行うときに使います。一度休んでいた仕事を再開するときなど、既に行ったことのある行為ももう一度行うときに「始める」が使われます。
- 子どもの頃に習っていたことを思い出して、ピアノのレッスンを始めようと思う
- 書き終わっていなかったレポートをまた書き始めた
「初める」の使い方と例文
「初める」は長く続くことがはじまるときに使われる
「初める」は、ある程度長く続くと思われる動作や事柄が始まるときに使われる表現です。例えば、「桜の花が咲き初める」という文章では、「桜の花が咲き始める」という意味ですが、この桜の花が咲いている期間はしばらく続くことから、「咲き初める」と言い表せます。一瞬で咲き散るような花に「咲き初める」という表現は使えません。
- 暗かった夜が明け初めたとき、心も晴れ晴れとしていくようだった
- 殴られた時から少年は父親を憎み初めた
「見初める」とは「恋心を抱くこと」
「見初める(みそめる)」とは「恋心を抱くこと」という意味で、特に相手に恋をしたときを指して使われる表現です。また「見初める」には「初めて会う」という意味や、「初めて性行為を行う」という意味もあります。
カフェで偶然目が合った女性を見初めた
「始める」と「初める」の英語表現
「始める」と「初める」は英語で「begin」または「start」
「始める」と「初める」は英語で「begin」または「start」で表現します。「begin」は口語だけでなく書き言葉によく使われる動詞ですが、「start」は口語でよく使われる動詞です。「start」の方が「begin」よりもカジュアルな表現だと覚えておくといいでしょう。
「begin」と「start」のどちらも「始める」または「初める」という意味ですが、ただ機械が動き出すという意味では「start」を、またビジネスに関する事柄を始めるという意味では「begin」ではなく「start」を使うことが多いので注意しましょう。
「始める」と「初める」の英語例文
- “He begins to learn programming.”
「彼はプログラミングを学び始める」 - “It’s 8.00 am, so let’s start the meeting.”
「8時になったので、ミーティングを始めよう」 - “Cherry blossoms begin to bloom.”
「桜が咲き初める」
まとめ
「始める」と「初める」はどちらも「開始する」「まだ行われていないことが行われる」という意味ですが、「始める」は「はじめる」と読み、「初める」は「そめる」と読みます。また、「初める」は「咲き初める」のように必ずほかの動詞の後について使われるという特徴があります。