「痛み入る」は相手に恐縮しつつ感謝を伝える表現で、「傷み入ります」という言い回しでビジネスシーンでよく聞かれます。そもそもこの「傷み入る」とはどんな意味で、何が語源なのでしょうか。この記事では、「痛み入る」の意味や語源、使い方のほかに、「痛み入ります」の使い方と返し方も紹介します。
「痛み入る」の意味と語源とは?
「痛み入る」とは「相手の配慮や好意に恐縮すること」
「痛み入る」とは「相手の配慮や好意に恐縮すること」という意味です。相手が自分のためにしてくれたことやその気づかいや思いに対して、ありがたいと感謝する気持ちです。また感謝ではなく、相手に申し訳ないと思ったり、気恥ずかしくなったりするという意味もあります。
「痛み入る」は「傷」を使って「傷み入る」と書き表すこともできます。どちらも正しい表記の仕方ですが、「痛み入る」と表記されることの方が多いでしょう。
「痛み入る」の読み方は「いたみいる」
「痛み入る」は「いたみいる」と読みます。「入る」を「はいる」とは読まずに、「いる」と読むことに注意しましょう。
「痛み入る」の語源は「相手に深い思い入れる感情」
「痛み入る」とは「痛む」と「入る」から成り立っています。「痛む」とは肉体的な苦痛を感じることという意味もあるのですが、「悲しく感じたり心配したりして精神的に苦しむこと」という意味があります。「傷み入る」の「痛む」とは、精神的な苦痛を意味しています。また「入る」は「さらにその状態に入り込むこと」を意味しています。
したがって、相手の気持ちに深く入り込むことという意味の言葉を語源にして、「傷み入る」という言葉ができました。
「痛み入る」の使い方と類語表現
「痛み入る」は相手に恐縮するときに使う
「傷み入る」とは相手の配慮などに恐縮するときに使います。相手の自分への行為に対して感謝したり、申し訳ないと思ったりした時に使う表現です。
「傷み入る」の類語は「ありがたい」「嬉しい」「もったいない」
「傷み入る」の類語には「ありがたい」「嬉しい」「もったいない」などが挙げられるでしょう。
相手の気遣いに対して感謝の気持ちが勝るときには「ありがたい」、相手の配慮や好意に対して満足して喜ばしいと思えば「嬉しい」を使います。また相手の配慮などに申し訳なさを感じる場合には「もったいない」という表現を使うといいでしょう。
- お心遣いをありがたく存じます
- 親切にしてくださって嬉しかったです
- もったいないお言葉で、恐縮してしまいます
「痛み入ります」の使い方と返し方
ビジネスシーンで相手に恐縮して感謝するときに使う
「痛み入ります」は相手に恐縮して感謝する言い回しで、ビジネスシーンでよく使われます。目上の人や取引先に対して、相手の気づかいや好意を思い入れて、心から「ありがとう」という気持ちになった時に使われます。相手によくしてもらい、とても助かった、嬉しかったと思えた時に「痛み入ります」を使うといいでしょう。
- お心遣い痛み入ります
(意味:気を遣ってくださってありがとうございます) - ご親切に傷み入ります
- 先日はお忙しい中、親切に相談に乗ってくださって、まことに痛み入ります
- お褒めにあずかり痛み入ります
「痛み入ります」は深く感謝したい目上の人に使う
「痛み入ります」は心から感謝の気持ちを伝えたい目上の人に使います。ちょっとしたお礼のつもりで「痛み入ります」を使うと大げさになりますし、多少古い言い回しでもあるので多用はしないほうが無難です。同年齢や目下の人にも使わないほうがいいでしょう。
「痛み入ります」と言われたら感謝の表現で返す
もしも相手に「痛み入ります」と言われたら、感謝の表現で返すのがいいでしょう。相手は感謝の気持ちを伝えてきているのですから、その気持ちを素直に受け止めて、感謝の言葉で返します。お互いに気を遣いあえて、よい関係を築くことができるでしょう。
また相手の感謝が十分すぎると思えるときには、「とんでもありません」のような謙遜した表現で返してもいいでしょう。
- ありがとうございます。こちらこそお役に立てて嬉しいです
- こちらこそお気遣いいただきありがとうございます
- (恐縮して)とんでもありません。ご丁寧にありがとうございます。
- お礼を言われてはかえって痛み入ります
「痛み入る」の英語表現とは?
「痛み入る」は英語で「be obliged」
「痛み入る」は英語で「be obliged」と言い表します。「oblige」には「恩恵を施す」という意味があり、「be obliged」のように受け身にすることで相手に感謝を伝えるあらたまった表現になります。より深く感謝の気持ちを伝えたいときには、「be greatly obliged」のように副詞を付け加えるといいでしょう。
「痛み入る」の英語例文
- “I’m obliged to you.”
「痛み入ります」 - “I am greatly obliged for your help.”
「助けて下さったことに大変痛み入ります」
まとめ
「痛み入る」とは「相手の配慮や好意に恐縮すること」という意味です。「痛み入ります」という言い回しで、ビジネスシーンなどで相手に感謝するときや申し訳なく思うときによく使われます。 かしこまった表現ですから、目上の人や取引先などに使うといいでしょう。
先輩の気遣いに傷み入る