「じわる(ジワる)」は「ネット用語・若者言葉だから自分には無関係だ」と思っている人がいるかもしれません。しかし、「じわる」は死語になることなく、一般的な会話で使われることも増えつつあります。「じわる」の意味や使い方を確認しておきましょう。注意点や類語もあわせて紹介します。
「じわる」の意味とは?
「じわる」の意味とは「後から面白さ等がこみ上げてくる」
「じわる」の意味とは「一見しただけでは良さが分からないが、後から感情がこみ上げてくる」です。基本的には「面白さ」を意味する言葉ですが、感動などの別の感情を意味することもあります。元々はネット用語や若者言葉でしたが、現在では幅広い年代に知られている言葉です。
カタカナ交じりの「ジワる」と表記されることもあります。
「じわる」の語源は「じわじわくる」
「じわる」の語源は「じわじわくる」です。「じわじわくる」と同じ意味のまま、短く略した言葉が「じわる」です。「ジワジワくる」「じわじわ来る」のような別表記が使われることもあります。
「じわじわ」は俗語ではなく一般的な擬音です。ここでは「着実にゆっくりと進行する様子」という意味で使われています。
「じわる」が使われ始めたのは2014年頃
「じわる」が使われだしたのは2014年頃です。この頃はSNSやインターネット掲示板を中心に使われるネット用語でした。
「じわる」の使い方と例文
「じわる」は文面・口頭どちらでも使う
「じわる」は文面・口頭どちらでも使う言葉です。ネット用語はインターネット上の文面でしか使わないものが多いのですが、「じわる」は若者言葉になったことで口頭で使われるようになったと考えられます。
幅広いシーンで使われていますが、ビジネスシーンや目上の人との会話など、かしこまったやり取りには相応しくありません。
「じわる」の対象は限定されていない
「じわる」の対象は限定されていません。発言や作品、画像など、どんなものにも使える言葉です。
「じわ」「じわった」も同じ意味
「じわ」「じわった」も「じわる」と同じ意味です。「じわ」は「じわる」を更に省略した言葉になります。
「じわった」は「じわる」を過去形にしただけで、基本的な意味は変わりません。他にも、普通の動詞と同じ様に「じわっても」「じわっている」と変化させて使われています。
「じわる」の例文
- 「あの芸人のギャグ、じわるよね」「それな。すげーじわった」
- ペットの写真をSNSにアップロードしたところ、「じわる画像」として話題になった。
- 「どうしたの、急に笑って」「さっきの変顔が今さらじわってきたんだ」
「じわる」の注意点
「じわる」を「面白い」以外の意味で使う場合
「じわる」は「面白い」以外の意味でも使われる言葉です。感動などのポジティブな意味だけでなく、悲しさなどのネガティブな感情に用いることもあります。
ただし、「じわる」は「面白い」意味が一般的のため、相手にニュアンスが伝わらない可能性があります。「面白い」以外の意味で用いる場合は、文脈で伝わるようにしましょう。
例えば「あの映画、じわる」だけでは、面白い映画だと受け取られるかもしれません。「あの映画、泣けるよ。じわる」などに言い換えた方が良いでしょう。
「じわる」を作品の感想に使う場合
「じわる」を作品の感想に使う場合、配慮が必要です。「じわる」の「後から良さが分かる」という意味は、言い換えると「すぐには良さが分からない」になるためです。そのため「見てすぐに良さが分かる作品なのに」と違和感を持つ人がいる可能性があります。特に、作者に直接言うのは避けた方が無難かもしれません。
「じわる」の類語・言い換え語
「じわる」の類語は「するめのよう」
「じわる」の類語は「するめのよう」です。するめとは、イカの乾物です。「噛み続けると味が増す」性質があることから「後からじわじわと魅力や奥深さが分かること」の比喩表現として用いられます。
インターネット上の俗語としては「スルメ曲」が有名です。聞けば聞くほど良さが分かる楽曲を意味します。「何度も聞かないと良さが分からない」というニュアンスがあるため、「スルメ曲」を誉め言葉だと思わない人もいます。
笑えることに限定した類語は「草」
笑えることに限定した類語は「草」です。「草生える」と表記することもあります。笑えることを意味し、基本的には面白さから笑う場面で使うネットスラングです。皮肉や呆れた笑いに使う用法もあります。
「じわる」との違いは「後からじわじわと面白さが分かる」というニュアンスがないことです。見てすぐに面白さが分かる場合は「草」、後から笑えてくる場合は「じわる」と使い分けましょう。
感動する意味の類語は「エモい」
感動する意味の類語は「エモい」です。「エモい」は抽象的な感動・好感を表す若者言葉です。用法の中の1つに「しみじみと染み渡る感動を表す」があります。
「じわる」は「面白い」というニュアンスが強い言葉のため、感動した場合は「エモい」の方が伝わりやすいかもしれません。
まとめ
「じわる」とは、後から面白さ等の感情が込み上げてくることを意味します。文面でも口頭でも使う俗語で、基本的には褒め言葉です。しかし「すぐには良さが分からない」というネガティブなニュアンスもあるため、作品の感想に使う場合は配慮が必要でしょう。