パーチメントとはどんな色?カラーコードやアイボリーとの違いも

「パーチメント」は、黄みと緑みがかかった薄い灰色です。前2世紀に始まったとされる羊や山羊などの皮をなめして作った羊皮紙の色で、似た色にはアイボリーがあります。この記事では、「パーチメント」とはどんな色なのかをはじめ、アイボリーとの違いやカラーコード、由来や雑学なども一緒にご紹介します。

「パーチメント」とはどんな色?

「パーチメント」とは薄い黄緑色がかった灰色

「パーチメント(parchment)」は、やや黄みと緑みを帯びた、白に近いくらいに薄い灰色です。羊皮紙の色とも言われ、系統色名は「y-g-plGy」で、「黄みの緑みの薄い灰色」と定義されています。「パーチメント」には、和名や別名はありません。

「パーチメント」のカラーコードは「#E2E3CB」

「パーチメント」のカラーコード(webcolor)は、「#E2E3CB」です。光の三原色RGB(赤・緑・青)では、「226、227、203」で、88.63%の赤、89.02%の緑、79.61%の青でできています。

「色相(Hue)・彩度(Saturation)・輝度(Lightness)」の3つの要素で色を表すHSL色空間では、「#E2E3CB」は色調62度、彩度30%、明るさ84%で、色の波長は約569.88nmです。

「パーチメント」の補色は黒系の色

補色とは、色相環(しきそうかん:色相を環状に配置した、色を体系化する時に使う方法の1つ)で正反対に位置する関係にある色の組合せのことをいいます。「パーチメント」と遠縁関係にある補色は黒系統の色です。

色の名前では、「漆黒(しっこく)#0A0017」や「ブラック#000000/#000」、「ブラックJIS#0D0116」、「紫黒色(しこくしょく)#14001A」「烏羽根色(からすばいろ)#180614」などです。

「パーチメント」と似た色との違い

「アイボリー」は象牙の色

「パーチメント」とよく似た色に「アイボリー(ivory)」があります。「アイボリー」には「象牙」という意味があり、カラーコードは「#F8F4E6」で、系統色名は「y-plGy」。「黄みの薄い灰色」と定義されています。

「黄みの薄い灰色」と定義はされていますが、実際の色味は象牙のように黄色みを帯びた白色で、「パーチメント」との違いは緑みが感じられないところにあります。

「オイスターホワイト」は牡蠣の身のような白色

「オイスターホワイト(oyster white)」も「パーチメント」に近い色です。「オイスターホワイト」は「かきいろ」「なまがきいろ」とも言われます。

その名の通り「牡蠣の身のような色」と定義されており、とても明るい黄緑色です。カラーコードは一般的に「#F8F5E3」や「#EAE8E1」です。系統色名は「plGy (白)」となっています。

「オイスター」は淡い橙色

「オイスター(oyster)」も「パーチメント」に似た色です。「淡い橙」と定義される「オイスター」は、黄色のとても明るい色合い。一般的にカラーコードは「#DDCEBD」や「#EAE1CF」です。

カラーコード「#DDCEBD」の場合、光の三原色RGBでは「221、206、189」となります。「#EAE1CF」のカラーコードでは、RGBは「234、225、207」で、赤色91.76%、緑色88.24%、青色81.18%です。

「パーチメント」の由来と雑学

「パーチメント」は羊皮紙の色

「パーチメント」は「羊皮紙」という意味を持つ言葉です。このことからもわかるように、「パーチメント」は羊や山羊、子牛などの皮を乾燥させ、その後漂白して石で磨き、つやを出した「羊皮紙」の色を表しています。羊皮紙は耐久性が高く柔軟性もあったため、重要な書類を書写するために重用されました。

羊皮紙の起源は、前2世紀、トルコの西端、エーゲ海に面したミュシア地方の古代都市ペルガモン(Pergamum)とされ、「パーチメント」はこのペルガモンの名前を取ったものとされています。

「パーチメント紙」は羊皮紙を模した紙

半透明の薄い紙「硫酸紙」を「パーチメント紙」といいますが、これは「パーチメント(羊皮紙)」を模した紙であり、パーチメントではありません。

1853年にイギリスのグレーンによって発明されたパーチメント紙は、無味無臭で耐油、耐水性があるため、バターやチーズ、肉類などの包装に使われています。

「パーチメント」はコーヒーの内果皮も指す

コーヒーの実の種子である「コーヒー豆」を包む薄茶色の皮も「パーチメント」といいます。このパーチメントは「内果皮(ないかひ)」とも呼ばれます。

コーヒーの実はチェリーのように赤く熟すことから「コーヒーチェリー」とも呼ばれ、コーヒーチェリーの構造は外側から「外皮」「果肉」「内果皮」「銀皮(シルバースキン)」「種子」となっており、種子の外側を取り除いたものがコーヒーの生豆となります。

「パーチメントクラフト」というペーパーアートも

「パーチメントクラフト」というペーパーアートもあります。「パーチメントクラフト」は、厚手のトレーシングペーパーのような「パーチメントペーパー」と呼ばれる専用の紙に、エンボス(浮彫り)やパーフォレイティング(穴開け)を施した、まるでレースのようなペーパーアート。

もともと羊皮紙を使った聖書の写本や書類の表紙に浮き彫り模様を入れていたことから、スペインやフランスの修道院でこのクラフトが発祥したとされています。

まとめ

「パーチメント」は、「羊皮紙の色」と言われる黄みと緑みがかかった薄い灰色です。似た色も知っておくと役立ちます。「パーチメント」の色の由来となった羊皮紙は羊や山羊などの皮をなめして作ったもので、その耐久性の高さと柔軟性から、重要な書類の書写に重用されました。