「ジェネラリスト」とはどういった人を指すのでしょう。本来「博学な人」という意味の言葉ですが、日本では業種によって様々なニュアンスを含みます。エンジニアや医師、人事用語としての「ジェネラリスト」まで、ビジネスでの使用例について幅広く解説します。
「ジェネラリスト」の意味と語源とは?
日本語でいう「ジェネラリスト」の意味は”幅広い知識・技能・経験を備えた人”
「ジェネラリスト」の意味は、”幅広い知識・技能・経験を備えた人”です。また、状況の変化に柔軟に対応できる人、臨機応変に対応できる人を指して、「ジェネラリスト」ということもあります。
「ジェネラリスト」は、その素質や対応力の高さから、転勤や部署異動の多い大企業の人事や新卒採用などで話題になることのあるワードです。
英語「generalist」が語源
日本語でも「ジェネラリスト」という言葉が定着してきていますが、この「ジェネラリスト」は英語のgeneralistが語源です。そもそも、英語では、多方面の知識を持つ博学な人、という意味の言葉です。
様々なことを知っている・精通している、という意味では「万能家」という風に和訳されることもあります。
「ジェネラリスト」「ゼネラリスト」どっちでもOK
英語の「generalist」の意味では、「ジェネラリスト」以外にも「ゼネラリスト」という言葉が使われることがあります。英語の発音を日本語表記にする際におきたズレが原因で、どちらでも問題ありません。ただし、「ジェネラリスト」という言葉の方が一般には広く使われて要るようです。
ビジネスにおける「ジェネラリスト」の使用例とは?
「ジェネラリスト」という言葉は、実際のビジネスシーンではどのような使われ方をしているのでしょう。例を紹介します。
エンジニアでは統括力も含む
エンジニア職で「ジェネラリスト」というと、豊富な技術知識をもとに、様々な業務に対応できる人を指します。さらに、エンジニアの分野では、プロジェクトを統括しうる人材に対して使うことが多いのが特徴です。
「ジェネラリスト検定」はディープランニングの検定
同じく技術の分野に関する使用例では「ジェネラリスト検定」というものがあります。「ジェネラリスト検定」は、人工知能の根幹技術である「ディープランニング」に関する検定です。ディープランニングに関する知識を持ち、事業に活用する人材を「ジェネラリスト」と位置付けています。
「ジェネラリスト」は転職に不利?
幅広い知識・経験を備えた「ジェネラリスト」は、様々な部門を抱える大企業では異動の融通が利くだけでなく、多角的な視点を持つ管理職候補としても有力視されることがあります。その一方で、転職市場では不利にはたらくこともあるようです。
転職時に幅広い経験をアピールするには、「ジェネラリスト」と呼べるだけの根拠を示す必要があります。単に広く浅い経験がある、と思われる懸念があるからです。客観的な成果を見せることができれば、「ジェネラリスト」として欲しいと思わえる人材となることができます。
「ジェネラリスト」の対義語は「スペシャリスト」
「ジェネラリスト」と似た語感の言葉に「スペシャリスト」があります。ここでは、その意味と「ジェネラリスト」と「スペシャリスト」の違いを紹介します。
「スペシャリスト」は特定の分野に秀でた人
「スペシャリスト」とは、特定の分野を専門としている人・特別な技能を持っている人、つまり専門家という意味の言葉です。弁護士・医師などといった専門職の他、高いスキルを持つエンジニアや世界的に評価されるデザイナーなども「スペシャリスト」と呼ばれます。
また、ビジネスにおいては、「営業職」と呼ばれる一般的な職種であっても、秀でた結果・能力・経験がある人は「営業のスペシャリスト」と称されることもあります。
領域の広さが一番の違い
「ジェネラリスト」と「スペシャリスト」の一番の違いは領域の広さです。「スペシャリスト」が特定の分野に関する知識・技能であるのに対し、「ジェネラリスト」は幅広い分野に関して精通している点で異なります。
幅広い分野の知識や技能を習得するには、当然ながら相応の年月がかかるものです。そのため、一極集中型でスキルアップができる「スペシャリスト」を目指した方が近道という意見もあります。
医療における「ジェネラリスト」とは?
医師や看護師という仕事は専門性が高く、一般的に見ると「スペシャリスト」に該当する仕事です。その一方で、医療においても「ジェネラリスト」という言葉は使われています。医療分野における「ジェネラリスト」の例を紹介しましょう。
看護では状況を問わず最適な行動がとれる人材
看護における「ジェネラリスト」とは、症状を問わず状況に応じた適切なケアが行える人材を指します。看護師に関しては、とりわけ「ジェネラルナース」という呼び名があるほど、看護の分野における「ジェネラリスト」は高いスキルを持った人材として認識されています。
看護の「ジェネラリスト」には、「病気や患者の状態だけでなく、子どもから高齢者までといった患者の年齢に応じた知識・対応力も必要です。「ジェネラリスト」を名乗るには知識・経験ともに必要ですが、活躍できる場も増えるというメリットがあります。
医師に使うと「総合診療医」
医師の「ジェネラリスト」は、別名「総合診療医」と呼ばれます。「総合診療医」は単に幅広い知識を持ち合わせているだけでなく、患者の症状から特定の臓器に限らず、様々な臓器による影響を総合し推論する、高い診断力を持つ医師を言います。
また、ほかの診療科との連携や他院への紹介などといった次なる段階へのコーディネート力も「ジェネラリスト」としては必要です。「ジェネラリスト」という呼び名が使用されてはいますが、「総合診療医」はひとりの「スペシャリスト」としての呼び声も高い職種です。
注目の「ジェネラリスト・ソーシャルワーク」
医療界では、近年、「ジェネラリスト・ソーシャルワーク」が広がっています。「ソーシャルワーク」とは、医療や介護と言った社会福祉サービスの提供における援助のことで、一般には「ソーシャルワーカー」と呼ばれる人たちがその役割を担います。
ソーシャルワーカーには専門的な知識はもちろん、利用者(対象者)やその家族の多様な価値観・環境に応じた対応が求められることは言うまでもありません。こうした総合的・包括的なニーズを受け、ソーシャルワークに対しても幅広い知識・経験が必要という意味で「ジェネラリスト・ソーシャルワーク」という言葉が使われているようです。
まとめ
「ジェネラリスト」は、幅広い分野の知識や経験、技能を備えた人材という意味で使われる言葉です。「スペシャリスト」の対義語として紹介されることも多く、専門性が低いと誤認されることもありますが、「ジェネラリスト」はその幅広さが大きな特徴です。「ジェネラリスト」としての活躍の場は限りがないのも大きな特徴と言えるでしょう。