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「過渡期」の意味とは?「黎明期」との違いや類語・英語も解説

会社や個人に対して「過渡期(かとき)」ということがありますが、「過渡期」とはどういった時期を表すのでしょう。また意味を混同しがちな「黎明期」とはどう違うのでしょうか?

この記事では、ビジネスでよく使われる「過渡期」の意味と使い方について解説します。類語や対義語、英語表現とあわせて参考にしてみてください。

「過渡期」の意味や読み方とは?

「過渡期」の意味は”新しい状態に変化していく時期”

「過渡期」の意味は、”ある状態から新しい状態に変化していく時期”です。これまでとは方向性を切り替える時期・方針や状態が移り変わっていく時期を「過渡期」といいます。

「過渡期」の読み方は”かとき”

「過渡期」の読み方は、”かとき”です。まれに「かどき」と読む人もいますが、濁らずに「かとき」と読むのが正解です。

訓読みでは、「過」は「すぎる」、「渡」は「わたる」と読みます。「過渡期」とすると、「過ぎて渡る時期」という意味になり、先述した「新しい状態に変化していく」「移り変わっていく」という意味合いになるのです。

「過渡期」の使い方とは?

「過渡期である」「過渡期にある」と使う

「過渡期」という言葉は、「過渡期である」や「過渡期にある」といった表現で使われるのが一般的です。

たとえば、「新体制への過渡期である」とすると、「新体制への移行時期」というニュアンスになります。「成長の過渡期にある」という表現もよく使いますが、この場合は成長途中、成長の真っただ中、というニュアンスです。

「過渡期を迎える」もよく使う表現

「過渡期」は「迎える」という動詞を用いることもあります。たとえば、「会社が過渡期を迎える」というと、「変化の時期がやってきた」という意味です。

「迎える」には、単に「来るものを受け入れる」というだけでなく、「準備して待つ」という意味もあります。そのため、「過渡期を迎える」という表現にも、「待ち望んだ変革の時期がやってきた」というニュアンスにもとることができます。

会社の急成長も「過渡期」のひとつ

「過渡期」が指す「変化」には、企業の成長も含まれます。たとえば、歴史の浅い企業が目覚ましい成長を遂げ、実績を残すにつれて「一企業」として認められるのはよくあることです。こうした成長の時期もまた、「過渡期」と表現されます。

また、「まだまだ成長し続ける」「成長途中である」という意味で、「当社はまだ過渡期にあります」という表現を使う企業も見られます。

宙ぶらりんな時期を「過渡期」ということも

企業だけでなく、人生に対して「過渡期」を使うこともあります。「人生の過渡期」と表現すると、必ずしも「成長真っただ中」という意味とは限りません。たとえば、無職で求職活動をしている時期のように、狭間の期間を指し「過渡期」とすることも多いものです。

これは、「この期間を経て成長する」「変化のために必要な時期」というニュアンスで使用されたもので、単に「つらい時期」「大変な時期」を指す意味とは少し異なります。

歴史では「時代の過渡期」という表現も

「過渡期」を歴史に使うと、時代が変わるような劇的な期間を指します。日本史では、ちょうど江戸から明治への転換期が「時代の過渡期」と称される時期です。ほかにも、急激に経済成長を遂げた時期などに対しても使うことがあります。

「過渡期の真っただ中」は変化の最中

「過渡期にあります」と使うだけでなく、「過渡期の真っただ中にあります」という場合、特に変化の最中であることを強調する意味で使われます。たとえば、「次世代エネルギーへの過渡期の真っただ中」と表現する際は、切り替え途中でまだ完全には切り替わっていないというニュアンスです。

「過渡期」の類語とは?

「過渡期」の類語は「転換期」「変革期」

「過渡期」は「転換期」と言い換えることがきます。「転換」とは、「物事の方針や方向性を変える」という意味の言葉です。そのため、「転換期」は変化していく時期の中でも、先があまり見えていない時期に使われることが多いことが特徴です。一方、「過渡期」は、時間は要するものの、おおよその見通しが立つ状態(時期)に対して使う点が異なります。

「過渡期」の類語には「変革期」という言葉もあります。「変革」とは、「変わり改まる」の意味で、新しいものに変わることを示す言葉です。「変革期」は、「過渡期」に比べより大きな変化を意味することが多いのが特徴で、ネクストステージ・レベルアップといった意味合いが強くなります。

「黎明期」は物事の始まり、類語ではない

ビジネスシーンで使われる言葉のひとつに「黎明期(れいめいき)」があります。「過渡期」の類語では?と推測する人もいますが、「過渡期」と「黎明期」の意味は全く異なります。

「黎明期」とは、「物事が形になっていく始まりの時期」という意味の言葉で、まったく新しい事柄が始まる際に使います。一方の「過渡期」は古い状態のものが新しく変わる時期・次の状態に移り変わる時期という意味です。

「過渡期」の対義語とは?

過渡期の対義語①「安定期」

変化や移り変わりの時期を表す「過渡期」の対義語は、変化のない安定した時期を指す「安定期」となります。「安定期」とは、物事が落ち着いた状態にあることを指す言葉です。

過渡期の対義語②「最盛期」

「安定期」だけでなく「最盛期」もまた、「過渡期」の対義語のひとつです。「最盛期」とは、「物事の勢いが最も盛んな時期」という意味があり、「全盛期」の類語でもあります。

「過渡期」が新しい物事に変化していくという意味であるのに対し、「最盛期」は変化を過ぎた状態・変化を終えた状態を指すことで対義語に当たります。

「過渡期」の英語表現とは?

過渡期は英語で「transition」

「過渡期」を英語にすると、「transition」となります。「期」という意味の単語を後ろにつけて、「transition period」ということもあります。

ほかにも、「過渡的な」という意味の「transitional」を使い、「transitional period」としたり、「a period of transition」としたりすることも可能です。

まとめ

物事が新しい状態へ変化する時期を意味する「過渡期」という言葉は、企業の成長や人としての成長を表現する際によく用いられる表現です。絶えず変化するビジネス界は「過渡期」の連続でもあります。柔軟な対応力はもちろん、「過渡期」にのまれない人材はビジネス界でも重宝されるといえるでしょう。