「オールラウンダー」の意味を解説!類語・対義語など言い換えも

スポーツやビジネスで「オールラウンダー」という表現を使うことがあります。この「オールラウンダー」とはどういった人を指すのでしょう。使用シーンや分野別に「オールラウンダー」の意味と使い方を解説します。また、日本語への言い換えに使える類語・対義語も合わせて紹介しましょう。

「オールラウンダー」とは?

オールラウンダーの意味は「多領域で有能な人」

「オールラウンダー」の意味は、”多領域で有能な人”です。他にも、「様々な分野で有能な人・なんでもできる人・万能選手」という意味で使用されています。

ただし、カタカナ語として定着する中で、分野や領域によってニュアンスに微妙な違いがあります。次に詳しく解説しましょう。

英語「All-Rounder」に由来

日本語で使われている「オールラウンダー」という言葉は、英語の「All-Rounder」に由来します。「All-Rounder」とは、「なんでもできる人」「万能選手」という意味で使用される言葉です。「万能な」「多芸な」という意味の「All-Round」に「er」をつけ、「~する人」の意味となっています。

「オールラウンダー」の使い方とは?

「オールラウンダー」という言葉は、幅広い分野で使用されています。分野別に使い方を紹介します。

野球・サッカーではポジションを問わない選手

野球やサッカーなど、主に球技において「オールラウンダー」というと、ポジションを問わずに活躍できる選手を指します。たとえば、野球ではどの位置でも守備ができる人を指して、「オールラウンダー」ということがあります。テニスでは、前衛も後衛もどちらも得意とする人が「オールラウンダー」です。

また、スポーツにおいては、「選手」という意味の「プレイヤー」という単語を用いて、「オールラウンドプレイヤー」ということもあります。「オールラウンダー」と意味は同じです。

バスケではスキルの高さを指すことも

同じ球技でも、バスケットボールで「オールラウンダー」というと、とりわけ技能面を重視した表現になります。「ポジションを問わず活躍する人」という意味でも使いますが、3ポイントシュート・ゴール下の競り合い・ボール運びなど、「すべての局面におけるスキルが高い人」「どの局面をも得意とする選手」を「オールラウンダー」というのが特徴です。

自転車競技ではどの分野でも高いレベルの選手を指す

「オールラウンダー」は自転車競技でも使用されます。自転車のロードレースにおいては、「上り・平地のいずれも高い技術でこなす選手」また「タイムトライアルでも高いレベルをおさめるような選手」を「オールラウンダー」と言います。

将棋では戦法を使いこなす人の事

将棋界でも「オールラウンダー」という表現が用いられることがあります。将棋では特に、「矢倉」「角換わり」「振り飛車」など、戦法の中でもメジャーなものを使いこなす棋士を指す言葉として使われています。

将棋には様々な戦法があるため、メジャーな戦法といっても、そのすべて指しこなす棋士というのはそう多いものではありません。そのため、「オールラウンダー」は技術の高い棋士を指す言葉なのです。

ビジネスにおいては「なんでもそつなくこなす人」

ビジネスシーンで「オールラウンダー」というと、「どんな業務もそつなくこなす人」という意味で使用されます。たとえば、総務・人事・経理の経験があったり、営業と事務の両方の経験があったり、という風に、部署をまたいだ業務経験のある人は「オールラウンダー」の代表的な例です。

「万能選手」という好意的なニュアンスの一方で、ビジネスでは「なんでもこなせるけど、これといった秀でた能力はない」というネガティブなニュアンスにもなる言葉です。そのため、キャリアに不利にはたらくという見方もあるようです。

「オールラウンダー」の類語とは?

「オールラウンダー」は「あらゆる分野で能力の高い人」という意味の言葉ですが、その類語にはどういった言葉があるのでしょう。類語をいくつか紹介します。

オールラウンダーの類語は「オールマイティ」

「オールラウンダー」の類語は、「オールマイティ」です。「オールマイティ(almighty)」とは「、全能」「なんでも完全にできること(人)」という意味の言葉で、「オールラウンダー」の言い換えとしても使うことができます。

なお、「オールマイティ」には「トランプで一番強い札」「切り札」という意味もあり、スペードのA指すこともあります。

スポーツでの類語は「ユーティリティプレイヤー」

スポーツ使われる「オールラウンダー」の類語には、「ユーティリティプレイヤー」があります。「ユーティリティプレイヤー」は、特に球技において、複数のポジションをこなせる選手を指す言葉です。

ここで使われている「ユーティリティ(Utility)」という言葉は、「役に立つもの」という意味を持ちます。

ビジネスシーンでの類語は「ゼネラリスト」

「ゼネラリスト」とは、「広い範囲の知識や能力を持つ人」という意味の言葉で、「オールラウンダー」の類語表現です。「ゼネラリスト」は特に、ビジネスシーンで使われることが多く、しばしば「スペシャリスト」の対義語としても用いられます。

一般に、「ゼネラリスト」は転勤や部署異動が想定される大企業に適した素質とされていて、視野が広く全体を見渡せる人材・様々な業務を経験することで幅広い対応ができる人材となることが期待されています。

「マルチ人間」「多才な人」も類語

「オールラウンダー」は、「マルチな人間」「多彩な人」という言葉への言い換えも可能です。いずれも、「なんでもできる人」というニュアンスの言葉です。また、「様々な才能や芸を持っている」という意味の「多芸多才」もまた、類語のひとつに挙げられます。

ネガティブな表現では「器用貧乏」も類語

「なんでもそつなくこなす人」という意味では同じでも、否定的なニュアンスの言葉もあります。それが「器用貧乏」です。「器用貧乏」とは、なんでもこなせる器用さはあるものの、それがあだとなり、なかなか大成しないことを言います。たとえば、器用なあまりに手を広げ過ぎてどれも中途半端である・周りの人に良いように使われる、というような人は「器用貧乏」と言えるでしょう。

ただし、「器用貧乏」はその器用さを否定するようなニュアンスを持つため、褒め言葉としては使用しません。

「オールラウンダー」の対義語とは?

「オールラウンダー」の対義語を紹介します。

対義語は「スペシャリスト」

なんでもこなす人・万能選手という意味の「オールラウンダー」の対義語は非常に難しいのですが、その中でも「スペシャリスト」が対義語と言えるでしょう。

「スペシャリスト」とは「専門家」という意味ですが、特定の分野に関して深い知識を持つ人や特殊な技能を持つ人を指します。「オールラウンダー」は分野を問わず活躍する人・幅広い分野で活躍する人をさすという点で、対義語となります。

まとめ

「オールラウンダー」とは、「なんでもそつなくこなす人」「万能選手」という意味で、ビジネスからスポーツまで幅広く使えるのが特徴です。「オールラウンダー」は重宝される一方で、ビジネスでは「何でも屋」で終わってしまう懸念もあります。「オールラウンダ―」として認められるには、それぞれの質・能力を高めておくことが大切です。