「杓子定規」の意味とは?類語と対義語・英語も解説(例文あり)

「杓子定規な人」というとどんな人を思い浮かべますか?悪いニュアンスで使用されることの多い「杓子定規」の詳しい意味について、類語や対義語を交え、分かりやすく解説します。例文も記載しますので、この機会に使い方までマスターしましょう。

「杓子定規」とは?

「杓子定規」の意味は”融通の効かないこと”

「杓子定規」の意味は、”誤った基準で物事をはかろうとすること・融通の効かないこと”です。

「曲がった杓子の柄を定規にする」ことから生まれた「杓子定規」という四字熟語は、「杓子の柄」という”ひとつの基準をもってすべてを決めようとする”あるいは”一定の基準をすべてに当てはめる”という意味もあります。そこから、決まった考えにとらわれている様・形式にとらわれ応用や融通が効かない様にも「杓子定規」という言葉は使用されます。

文字通り「杓子を定規にする」が由来

「杓子定規」は”しゃくしじょうぎ”と読みます。「杓子(しゃくし)」とは、いわゆるおたまやしゃもじのことで、「杓子定規」はその杓子の「柄」を定規としたことが由来です。

転じて、「正しくはない定規ではかること」を指して”杓子定規”と言います。

「杓子定規」の使い方と例文とは?

「杓子定規」はどう使うのが正しいのでしょう。例文とともに、使用例を紹介します。

「杓子定規な人」は融通が効かない人

「杓子定規」はよく、人の性質を表す際に使用されます。たとえば、「杓子定規な人」というと、「融通が効かない人」という意味です。ほかにも、柔軟さがない・頑固者という意味でも使用可能です。たとえば、「彼は優秀だが杓子定規なところがある」というと、優秀だけど柔軟さのない頑固者、という否定的なニュアンスになります。

また、まじめすぎる人を揶揄する意味でも「杓子定規な人」という表現は使われることがあります。

「杓子定規な回答」は形式的でマニュアル通り

「杓子定規な回答」という場合には、「形式的」というニュアンスが濃くなり、「形式的でマニュアル通りの回答」といった意味合いになります。たとえば、「今後の対応について問い合わせてみたものの、杓子定規な回答しか得られなかった」という使い方をします。「杓子定規な回答」は、あたかもマニュアルを抜き出したような返答であったり、型にはまったそっけない物言いであったりする場合に使う表現です。

また、同様のニュアンスでは「杓子定規な対応」も挙げられます。

「杓子定規に扱う」という表現も

「型にはまった対応」というニュアンスでは、「杓子定規に扱う」という表現もあります。たとえば、「お客様の問合せを杓子定規に扱うのは良くない」というと、「マニュアルありきで対応するのは良くない」となり、「柔軟に対応するべきだ」というニュアンスです。

「杓子定規」は仕事には必要?

「杓子定規」という四字熟語は、「正しくない定規を使う」という由来から、決まった考えにとらわれている・融通が効かない、という良くないニュアンスで使われます。そのため、先に紹介した表現も好意的な意味合いで使用されることはまずないといえるでしょう。

一方で、中にはマニュアル通りに運用することが重要なケースもあります。たとえば、役所の仕事は規則や基準に則ることは大切なことです。「杓子定規」と揶揄されがちなお役所仕事も、実際には必要不可欠な例もあるものです。

「杓子定規」の類語とは?

「杓子定規」と似た意味の言葉は、いくつかあります。まずは類似の四字熟語から紹介しましょう。

四字熟語では「四角四面」が類語

「杓子定規」と似た意味の四字熟語には「四角四面」があります。「四角四面」とは、まじめで堅苦しい様・礼儀正しい様に使う言葉です。「杓子定規」が否定的なニュアンスで使用されるのに対し、「四角四面」は好意的な表現としても使えるのが特徴です。

「頑固」「教科書通り」なども類似表現

「杓子定規」と似た意味の言葉は他にも、「頑固」「堅物」「柔軟性がない」などがあります。また、「決まった考えにとらわれている」という意味では、「マニュアル人間」「教科書通り」という表現も、「杓子定規」の類語です。

「杓子定規」の対義語(反対語)とは?

「杓子定規」の対義語としてはどういった言葉があるのでしょう。

四字熟語では「融通無碍」が対義語

「杓子定規」と反対の意味の四字熟語には、「融通無碍(ゆうづうむげ)」があります。「無碍(むげ)」とは、「邪魔するものがないこと」という意味の言葉で、「融通無碍」で「考え・行動が何にも邪魔されないこと」「自由闊達なこと」という意味になります。「融通が効かない」という意味の「杓子定規」とはまさに反対の意味を持つ四字熟語です。

「臨機応変」も対義語のひとつ

「杓子定規」の対義語には、ほかにも「臨機応変」があります。決まりきった考えである「杓子定規」に対し、その場に応じた処置を施すという意味の「臨機応変」は対義語に当たります。

また、「(原則を定めずに)その場に応じた行動をとる」という意味のカタカナ語「ケースバイケース」も対義語のひとつです。

「杓子定規」の英語表現とは?

「杓子定規」の英語表現を紹介します。英語では以下のような表現方法があります。

英語では「規則通り」という表現を使う

「杓子定規」を英語で表現する際には、「規則通り」を意味する「go by the book」や「go by the rules」といったフレーズを使います。たとえば、「They always go by the book./They always go by the rules」などといった使用が可能です。また、「杓子定規」という意味で、「He is a person who always stick to rules (いつもルールに従う人)」という表現を使うこともあります。

「融通が効かない」「頑固である」という意味では、「inflexible」や「stubborn」も使用可能です。「stubborn」のほうが、自分の態度を曲げない、ややネガティブなニュアンスが入ります。

まとめ

「杓子定規」は、「すべての事をひとつの基準に当てはめて対応する様」「形式にとらわれる様」を指し、そこから、「融通がきかない」という意味でよく使用される四字熟語です。型通り・規則通りにやることが必ずしも悪いわけではありませんが、「杓子定規」という表現そのものはネガティブなニュアンスで使用されます。褒め言葉としては使用できない点にも注意して使ってみてください。