「起死回生」とはだめになりそうな状態から立て直すことを意味する四字熟語です。もともとは「死にそうな人を生き返らせる」意味を持つ熟語から生まれました。
この「起死回生」とは何か、意味や使い方について紹介します。言い換えにふさわしい類語や英語表現など、関連用語もおさえながら読み進めてみてください。
「起死回生」の意味とは
「起死回生」の意味は「だめになりそうな状態を立て直すこと」
「起死回生」の読み方は「きしかいせい」です。本来は「死にそうな人を生き返らせる」「死にかかった人が劇的に回復する」という意味があります。そこから、「危機的状況から一気に良い方向に向かうこと」「絶望的な状態を立て直すこと」という意味で使われる四字熟語です。
「起死回生」の由来は「同じ意味の言葉を重ねて使うようになったこと」
「起死回生」は、「起死」と「回生」という二つの言葉から成り立っています。「起死」「回生」のいずれも、「死にそうな人を生き返らせる」という意味があります。どちらも中国の古い書物に語源があり、優秀な医師を表す言葉としても使われていたようです。
「起死回生」のように似た意味のことば言葉を二つ並べて使うのは、四字熟語としてはよくある例で、それぞれの意味を強調して使うようになったものと考えられています。なお、「起死回生」がよく用いられてはいますが、「回生起死」という表現もあります。
「起死回生」の使い方と例文
「起死回生を図る」「起死回生の策を講じる」などと使う
「起死回生」は悪い状況から勢いを取り戻そうとする際によく用いられる表現です。そのため、「計画する」「そうなるよう努力する」というような意味を持つ「図る」という動詞がよく使用されます。
スポーツでは「起死回生のホームラン」「起死回生の一発」という表現も
スポーツシーンでも「起死回生」という表現はよく使われます。もう少しで負けが確定してしまいそうなシーンからの「逆転劇」を指す表現です。
たとえば、9回の裏で放たれた逆転ホームランは「起死回生のホームラン」などと言われます。ほかにも、種目を問わず「起死回生の一発」ということもあります。
「起死回生」を使った例文
- 営業成績回復のために、部長が起死回生の策を講じた
- 手遅れになる前に起死回生を図るつもりである
- 昨日の試合では、最終セットでコートに入った選手が起死回生の一発を決めた
「起死回生」の類語
同じ意味の類語は「再建を図る」「立て直しを図る」
「起死回生」を別の言葉で表現するのであれば、「再建を図る」や「立て直しを図る」といった表現が挙げられます。いずれも、「悪い状態から再び勢いを取り戻す」「よい状態に持っていく」という意味の表現です。
他にも、「失敗などによる悔しさを晴らす」というニュアンスを持つ「再起を図る」という表現も類語といえるでしょう。
四字熟語では「捲土重来」「一発逆転」が類語
「起死回生」と同じ意味の四字熟語となると「捲土重来」や「一発逆転」があります。
「捲土重来(けんどちょうらい)」とは、「一度失敗した人が劇的な勢いで盛り返す」という意味の表現です。「一発逆転」とは、「劣勢を一気に覆す様」を表します。「一発逆転」はスポーツなど一般的にも広く使われていますが、「捲土重来」の使用頻度はそう高いものではありません。伝わりやすさから言うと、「一発逆転」の方が使いやすい類語といえるでしょう。
「起死回生」を英語にすると?
「起死回生」を直訳すると「resuscitation」
「死にそうな人を生き返らせる」という本来の意味では、「蘇生」「生き返り」という意味を持つ「resuscitation」という英単語が挙げられます。また、「死からの再生(復活)」を意味する「Revival from the dead」と表現されることもあるようです。
とはいえ、「起死回生」を使うシーンがまさに「死からの再生」であることは、あまりありません。そのため、英語で表現する際には直訳するのではなく、他の日本語を当てはめるのが一般的です。
英語で「起死回生」は「崖っぷちからの」という表現を使うことも
英語では「崖っぷちからの」という表現が、しばしば「起死回生」の意味でつかわれます。たとえばスポーツでは、「a goal from the brink(崖っぷちからのゴール)」という風に使うことができます。
また、「どん底から這い上がる」という意味で「get up from the bottom rung」ということもあります。ここで使われている「bottom rung」とは、「最下層」という意味です。
まとめ
「起死回生」は元々は「死にそうな人を生き返らせる」という意味のことばですが、現代では「危機的状況から一気に良い方向へ向かう」「絶望的な状況を一気に立て直す」という意味で使用されています。健康状態はもちろん、困難を極めるビジネスシーンからスポーツまで幅広く使える表現です。その劇的な様子を伝えたい場合に重宝します。