「信賞必罰」の意味とは?語源や類語・対義語と英語表現も解説

企業の体制について「信賞必罰」などと言うことがありますが、どういう意味か知っていますか?中国に語源を持つ「信賞必罰」は、現代でも人に対する姿勢や人事制度を表す表現として使われています。「信賞必罰」の詳しい意味と使い方をはじめ、類語・対義語(反対語)などの関連用語と英語表現をまとめて解説します。



「信賞必罰」とは

「信賞必罰」は次のような意味を持つ四字熟語です。その由来と合わせて見ていきましょう。

「信賞必罰」は賞・罰を厳正に行うこと

「信賞必罰」とは、優れた功績をあげた人には必ず「賞」を与え、罪や過失を犯した人に対しては、必ず「罰」を与えるという意味の表現です。簡単に言うと、「事実に基づいて、賞罰を正しく行う」という意味があります。私情を挟むのは「信賞必罰」には値せず、「基準を守り公正に賞罰を与える」のが「信賞必罰」の重要なポイントです。

なお、「賞」とは、必ずしも「賞金」などお金ではなく、褒め称えるというニュアンスも含みます。

「信賞必罰」の語源は中国、複数の書物に由来あり

「信賞必罰」という四字熟語は中国から来たものです。『漢書』『唐書』『韓非子』など、複数の書物に「信賞必罰」という言葉が記載されているようです。中でもその語源として挙げられるのが『韓非子』で、「刑罰を厳正に行うのが、政治の基礎である」という考えが説かれたこの書物が「信賞必罰」という考え方の由来となっています。

「信賞必罰」の使い方と例文

中国の古い書物に由来する「信賞必罰」という四字熟語ですが、現代の日本で使う場合にはどういった使い方ができるのでしょう。具体的な例文とともに紹介します。

「信賞必罰の方針」とよく使われる

「功績をあげたものには褒美を与え、罪を犯したものを罰する」という意味の「信賞必罰」は、上に立つ者の心得・考え方として語られることの多い表現です。

たとえば、上司の部下に対するスタンスや企業の人事方針などについて、「信賞必罰」という表現がよく使われます。そこから、「信賞必罰の方針」という言い方がよく使われているようです。以下に例文を記載しましょう。

  • 部長は「信賞必罰の方針」を明言している
  • うちの会社は明確な「信賞必罰の方針」で業界内では有名だ

「信賞必罰の方針」としない場合でも、「そういった考え(方針)の持ち主」という意味で使うことも可能です。例えば、「信賞必罰は厳しいという意見もあるが、わかりやすくてよい」などと表現することもできます。

「信賞必罰を徹底する」という表現も

教育的考え方や企業の人事方針を指して使われることの多い「信賞必罰」は、「徹底する」という動詞を使うこともあります。例えば、

  • 新しい部長は「信賞必罰を徹底する」考えだ

という使い方もできます。ほかにも、「信賞必罰を採用する」「信賞必罰には賛成だ」という風に、方針・制度の一種として扱うと、文章でも使いやすくなります。

「信賞必罰は世の常」?

「信賞必罰」は中国の古い書物に由来があることは先述しましたが、日本でも現代に限らず、古くから経営者たちの間で「当然」とされていた考え方です。功績のあるもの(業績の良いもの)を評価し褒美を与えること、一方で罪や過失に対しては規則に従い罰するというのは、いつの世にも欠かせない、いわば「世の常」でもあるのです。

もちろん、時代によって、功績・褒美・罪・罰の内容は変わりますが、「信賞必罰」の考え方はどの時代にも共通するものがあるといえるでしょう。

「信賞必罰」の類義語は?

「信賞必罰」をほかの言葉に言い換えるとしたら、どういった四字熟語があるのでしょう。似た意味の表現をいくつか紹介します。

「勧善懲悪」「論功行賞」などが「信賞必罰」の類義語

「信賞必罰」の類語には、「勧善懲悪」「論功行賞」「恩威平行」などの四字熟語が挙げられます。

「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)」とは、「善い行いを推奨し、悪い行いは戒める」という意味の四字熟語です。「物事の良い・悪いに対して厳正に対応する」という意味で「信賞必罰」に通じるものがあります。また、「論功行賞(ろんこうこうしょう)」は、「功績を調べ論じ、それに見合う賞を与える」という意味があり、「賞」の考えに関しては「信賞必罰」の類語といえるでしょう。

「恩威平行(おんいへいこう)」も「信賞必罰」の類語で、「恩賞」と「刑罰」を並行して行うことを意味します。また、行いの良しあしに関わらず、「相応のものが自分にいずれ返ってくる」という意味の「自動自得」「因果応報」なども、「信賞必罰の」の類語として紹介されることがあります。

「信賞必罰」の対義語

一方、「信賞必罰」と反対の意味の四字熟語にはどのようなものがあるのでしょう。

対義語は「不正不公」「僭賞濫刑」「専断偏頗」など

「信賞必罰」と反対の意味を持つ四字熟語のひとつが、「不正不公(ふせいふこう)」です。「不正不公」とは、文字通り、正しくないこと・不公平な様を表します。「信賞必罰」が事実に基づいて正当に評価・処罰するという意味ですので、真逆の意味といえるでしょう。

「僭賞濫刑(せんしょうらんけい)」もまた、「信賞必罰」の類語です。「僭賞濫刑」とは、「行いに見合っていない、程度のふさわしくない褒美や罰」という意味の四字熟語で、過剰な褒美やむやみに厳刑を与えるようなことを言います。似た表現には、「僭賞濫罰(せんしょうらんばつ)」もあります。

最後に紹介する対義語が、「専断偏頗(せんだんへんぱ)」で、自分一人の意見・偏った考え方で物事を決めるという意味の表現です。事実を客観的に見るのではなく、個人の偏った考えで判断する点が「信賞必罰」の対義語といえます。

「信賞必罰」を英語にすると?

最後に、「信賞必罰」の英語表現を紹介します。英語圏には実力主義といわれる国もありますが、「信賞必罰」はどのように表現されるのでしょう。

英語でも「信賞必罰」に相当する定型句がある

英語で「信賞必罰」という場合には、「on the principle that good work will be rewarded and bad work punished」という表現を用いります。日本語にすると、「善い行いは褒美を与え、悪い行いは罰する」となり、まさに「信賞必罰」の意味になります。

もう少し簡単に、単に「reward(s) and punishment(s)」や「the mixture of punishment and incentive(罰と褒賞の混合)」とすることもあるようです。

まとめ

「信賞必罰」は、「良い行いには褒美を与え、罪や過失は罰する」という意味の四字熟語です。私的な視点ではなく、公平に、かつ厳正に判断されるものを「信賞必罰」と表現します。中国に歴史を持つ言葉ですが、日本でも古くから上に立つ人(経営者・上司など)のあるべき姿として語られてきた言葉です。温情を挟まない様子は時にシビアかもしれませんが、公正で平等な判断である点が特徴です。