「猪突猛進」の意味とは?正しい使い方や類語・対義語と英語も解説

「猪突猛進」という四字熟語の意味を正しく知っていますか?「猪突猛進」を付したユニークなタイトルの楽曲もあるようですが、そもそも「猪突猛進」にはどのような意味があるのでしょう。「猪突猛進」の良い意味・悪い意味の両方の解釈を添えながら、類語や対義語、英語表現についても解説します。年賀状に使いたい人も必見です。

「猪突猛進」の意味や読み方とは?

「猪突猛進」の意味は”ひとつのことに猛烈な勢いで突き進むこと”

四字熟語「猪突猛進」の意味は、“ひとつのことに猛烈な勢いで突き進むこと・先のことや将来を考えずに、向こう見ずに行動すること”です。「後先を考えずに」「向こう見ずな」というニュアンスを含むのが特徴で、ネガティブな意味合いを持ちます。

「猪突猛進」の読み方は”ちょとつもうしん”

「猪突猛進」の読み方は、“ちょとつもうしん”です。直線的に猛烈なスピードで走る「猪」の生態・様子を由来とした表現です。

「猪突猛進」はこの「猪」を「ちょ」と読むのがポイントです。日本酒を飲むときに使う「おちょこ」も、この「猪」を使い「お猪口」と書きます。「猪」の読みをしっかりと覚えておきましょう。

「猪突猛進」の使い方とは?

「猪突猛進」は性格を表す表現として使える

「猪突猛進」は「ひとつの事柄に猛烈な勢いで突っ込むこと」「後先を考えずに取り組むこと」といった意味があり、主に人の性質・性格を表す言葉として使用されています。たとえば、「彼のやる気は評価するが、猪突猛進なところが気がかりだ」や「若さゆえに猪突猛進なところは否めない」などといった使用が可能です。いずれも、「向こう見ずに突っ走ってしまう点が心配材料だ」というようなニュアンスで使用されています。

ほかにも、「彼はすぐに猪突猛進になり周りが見えなくなる」といった使い方もできます。

勢いのある様を示す表現としても使える

「猪突猛進」という言葉は、「後先を考えない」「周囲を顧みない」といったネガティブな意味合いを含む表現ですが、場合によっては好意的な意味合いで使われることがあります。というのも、「猪突猛進」の持つ「猛烈に突っ走る」という勢いを、エネルギッシュ・一直線・熱心という意味合いで使用することがあるのです。

「猪突猛進」の本来の意味とは異なりますが、近年では「行動力」「実行力」を評価する際に「猪突猛進」という言い方をすることがあります。たとえば、「彼の猪突猛進な姿勢が業績にプラスに働いている」「猪突猛進、顧客満足度向上のために頑張ろう!」といった表現も可能です。この場合、「目標に向かって一直線に突っ走ろう」という意味で使用されています。

とはいえ、本来は「向こう見ず」という意味を含む表現ですので、自己紹介で「猪突猛進なところが長所です」というような表現は避けた方が無難です。

年賀状では良い意味で使用される

「猪突猛進」は、「猪」の漢字を含むことから、猪年の年賀状でも好んで使われる表現です。「今年も猪突猛進の勢いで頑張ります!」という記述を見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。

とりわけ年賀状においては、「一生懸命頑張ります」「高みを目指して頑張ります」という「今年の抱負」として使用されるのが特徴です。本来は「向こう見ず」というニュアンスを含むものの、年賀状では、使う方はもちろん、もらう方も細かいことは抜きにして受け取ります。「猪年」にかけた、言葉遊びのひとつとして定着しているようです。

「猪突猛進」の類語とは?

「猪突猛進」の類語は”暴虎馮河”や”直往邁進”など

「猪突猛進」の類語には、「暴虎馮河」や「直往邁進」などといった四字熟語があります。

「暴虎馮河(ぼうこひょうが)」とは、「一時の気分にまかせて、向こう見ずなことをすること」という意味です。「猪突猛進」同様に、ややネガティブなニュアンスを含むのが特徴です。

「直往邁進(ちょくおうまいしん)」には、「恐れや迷いを持たずにまっすぐ突き進むこと」という意味があり、「猪突猛進」の類語といえるでしょう。また、「直往邁進」と似た表現には、「勇往邁進(ゆうおうまいしん」もあります。こちらは、「目標に向かって勇ましく、脇目を振らずに進むこと」という意味で、好意的なニュアンスが特徴です。

良い意味では、「一意専心」「一心不乱」なども似た意味の表現

「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」のように、「猪突猛進」の「物事に一直線に突き進む」という良い側面を切り取ったような四字熟語はほかにもあります。たとえば、「他のことは考えず、そのことだけに意識を集中させる」という意味の「一意専心」や、「ひとつのことに集中し、他に心を奪われずに行動する」という意味の「一心不乱」なども「猪突猛進」の類語です。

「猪突猛進」の対義語とは?

「猪突猛進」の対義語は”深慮遠謀”

「猪突猛進」の対義語はいくつかありますが、そのひとつが「深慮遠謀」です。「深慮遠謀(しんりょえんぼう)」とは、「遠い先のことまで深く考えて計画されたこと」を指します。「向こう見ずにひとつの事柄に突っ走る」という意味の「猪突猛進」とは違い、先を見据えて熟考している点が対義と言えるでしょう。

他にも、「十分に考えたうえで行動に移す」という意味の「熟慮断行(じゅくりょだんこう)」や、「何度も考える」という意味の「千思万考(せんしばんこう)」、黙ったまま深く物事を考える様を表す「沈思黙考(ちんしもっこう)」などが「猪突猛進」の対義語としてよく挙げられます。

「猪突猛進」の英語表現とは?

英語では「無謀」「向こう見ず」を使って表す

英語で「猪突猛進」という場合には、「無謀」「向こう見ず」という単語を使って表現します。たとえば、「rush recklessly(無謀に突っ走る)」や「make a headlong rush(向こう見ずに突進する」といった表現が、日本語で言うところの「猪突猛進」に相当する表現です。他にも、「無鉄砲な」という意味の「foolhardy」という単語を使うこともあるようです。

まとめ

「猪突猛進」は「ひとつの事柄に猛烈な勢いで突っ走る様」を表す四字熟語で、しばしば「向こう見ず」「後先を考えない」などといったネガティブな意味合いを含むのが特徴です。ただし、年賀状をはじめ、その行動力や熱意を表す場合にも「猪突猛進」と言う例もあり、使用シーンでニュアンスの違いを読み取ることが求められます。一方で、自らが使用する場合は、解釈の誤解を生まないよう従来の意味合いであるネガティブなニュアンスにとどめた方が無難です。