「当意即妙」の意味とは?使い方や類語・英語を解説!例文あり

「当意即妙」は数ある四字熟語の中でも、褒め言葉として使われる四字熟語のひとつです。この「当意即妙」の由来や意味、実際の使い方について解説します。類語「臨機応変」との違いや英語表現にも触れていますので、参考にしてみてください。

「当意即妙」の意味や由来とは?

「当意即妙」の意味は”気が利いてる様”

四字熟語「当意即妙」の意味は、“気が利いている様”です。読み方は、「とういそくみょう」です。

「当意」には、”工夫して適切な対応をする”という意味があり、「即妙」には”すぐに思いつく・機転”という意味があります。そこから、「当意即妙」は”素早く機転を利かせる・その場に応じてすぐさま気を利かせる”という意味になります。

「当意即妙」は仏教に由来する四字熟語

「当意即妙」は、仏教用語である「当位即妙(とういそくみょう)」が語源とされています。

仏教用語の「当位即妙」には、「何事もそのありのままの状態で(仏の)真理にかなっている」という意味があり、そこから「誰もが悟りを開くことができる」「どんな人でも成仏できる」という意味で使われているようです。

この仏教用語としての「当位即妙」が一般にも広く浸透していく中で、「当意即妙」という現在の漢字に変わっていったと考えられています。

「当意即妙」の使い方と例文とは?

「当意即妙」は、気の利いた様子を表しますが、具体的にはどう使われるのでしょう。「当意即妙」の使い方と例文を紹介します。

「当意即妙な返答」などと使う

「当意即妙」は、「状況に見合う気の利いた応対」を指す表現です。たとえば、

  • 彼女の当意即妙な返答のおかげで、事なきを得た
  • 彼はまだ若いがその当意即妙な受け答えで信頼を得ている

といった使い方ができます。ほかにも、次のような使い方も可能です。

  • 先方の無理難題に対する部長の切り返しは当意即妙だった
  • 営業では当意即妙に意見を述べることが求められる

「当意即妙」は言葉や心の動きに対して使うのがポイント

「その場その場の状況に応じ機転を利かせる」という意味の「当意即妙」は、主に心理描写や会話描写に使う表現です。気の利いた言葉やタイミングの良い返答、機転を利かせたその心の動きを指して「当意即妙」といいます。

一方で、体の動き・行動に関しては「当意即妙」という言い方はしません。そのため、「当意即妙に行動する」という使い方はしないのが大きな特徴です。同様の理由で「当意即妙に対応する」という表現も不釣り合いですが、「当意即妙な応対(返答)」であれば問題ありません。

「当意即妙」は和歌を褒めたたえる言葉としての背景も

機転の利いた返答に対して使う「当意即妙」は、その昔、和歌を褒めたたえる表現として使われていました。

百人一首に代表されるような和歌は、簡単に言葉を交わすことのできない時代では、今でいうメールのように思いを伝える連絡手段のひとつでした。限られた文字数・きまりに則り、即座に和歌を詠んだり、返歌(返事となる和歌)を詠んだりするには、まさに機転を利かせた「当意即妙」な表現力が必要だったのです。

今なお、上手な和歌に対しては「当意即妙」がほめ言葉として使用されているようです。

「当意即妙」の類語とは?

気の利いた様をあらわす「当意即妙」にはどういった類語があるのでしょう。言い換えにも使える表現をいくつか紹介します。

「当意即妙」の代表的な類語は”臨機応変”

「当意即妙」の類語は、「臨機応変」です。

「臨機応変(りんきおうへん)」は、「その場に応じて適切な行動をとる」「状況に応じて行動を変える」という意味があります。「当意即妙」が言葉や心の動きに対して使う言葉なら、「臨機応変」は行動に関して使う表現です。そのため、言い換え・置き換え表現としてではなく、「当意即妙」と上手く使い分ける必要があります。

“空気を読む”も「当意即妙」に似た意味の表現

「素早く機転を利かせる」という意味を持つ「当意即妙」は、フランクな言い方をすると「空気を読む」という表現にも換えられます。

「空気を読む」とは、その場の状況を感じ、読み取るという意味の表現で、その読み取った「空気」にあわせた返答・対応が求められるのが現代社会の常です。状況に合わせた応対をするという点では、まさに「当意即妙」の類語といえるでしょう。

他にも、「当意即妙」は、「頭の柔らかい」「柔軟思考の」「即座に」などと言い換えることができます。文脈や状況に応じて、使い分けてみてください。

「当意即妙」の英語表現とは?

「当意即妙」の英訳を紹介します。

英語では「ready wit」を使って表現する

英語で「当意即妙」と言う場合には、「ready wit」や「readiness of wit」という表現が用いられます。

日本語でも「ウィットに富んだ」などと言うことがありますが、「wit」には、「機知」「機転」「とんち」などといった意味があります。「機知」とは、「状況に応じてとっさに適切な応対ができる才知」という意味で、まさに「当意即妙」を表す言葉です。

この「wit」と、「準備」という意味の「readiness」「ready」を組み合わせて「当意即妙」の意味で使います。また、「当意即妙に返答する」という場合には、「quickly make a wit answer(a witty reply)」ということもあります。

まとめ

「当意即妙」は「気の利いた様」「状況にあわせて機転を利かせた様」という意味の四字熟語で、主に、応対・返答に対して使う表現です。状況を見て素早く返答する様子や、難しい局面での気の利いた切り返しは、まさに「当意即妙」にあたります。褒め言葉としてつかえる表現ですので、ぜひ覚えておきましょう。