「辟易」の意味と語源とは?正しい使い方や類語も例文で解説

「辟易している」とはどういった状況なのでしょう。「辟易」という言葉の正しい意味と「辟易している」などの使い方について、例文を交えながら詳しく解説します。類語や英訳についても、解説していきます。

「辟易」の意味と読み方とは?

「辟易」の意味は”うんざりすること・嫌になること”

「辟易」の意味は、“うんざりすること・嫌になること”です。たとえば、迷惑に感じてうんざりしたり、嫌気がさしたりすることが「辟易」です。

また、相手の勢いに圧倒されるなどしてしりごみしたり、気後れしてためらったりすること、たじろぐことも「辟易」ということがあります。

「辟易」の読み方は”へきえき”

「辟易」の読み方は、“へきえき”です。「へきへき」や「へきいき」などと言われることもありますが、正しい読みは「へきえき」です。「易」は、「易者(えきしゃ:占い師のこと)」という単語にもあるように「えき」と読みます。

「辟易」は話し言葉としてもよく使われるため、聞き間違い・言い間違いに気を付けたい単語のひとつです。これを機に、「辟易」は「へきえき」と読む、としっかりと覚えておきましょう。

「辟易」の使い方と例文とは?

「辟易する」「辟易している」が一般的

「うんざりした気持ち」や「嫌気がさしていること」を表す際に、「辟易する」「辟易した」と使うのが一般的です。また、「辟易している」や「辟易させられた」ということもあります。

「辟易」を使った例文

  • 社内の噂話にはいつも辟易している
  • 部長の長いお説教には、その場にいた全員が辟易させられた
  • 後輩の熱意に辟易し、後ずさりをする

「辟易」には、「うんざりする」「たじろぐ」という意味はありますが、「怒る」「悩む」といったニュアンスはありません。単に「うんざりした気持ち」「嫌気」「ためらい」「気後れする心情」などといった意味として使う言葉です。

「辟易とする」という表現は誤用

「辟易する」という表現はよく使いますが、一方で「辟易とする」という使い方は誤りです。

「~とする」は、判断を意味する表現です。「辟易」は気持ち・心情を表す言葉であるため、「辟易とする=辟易と判断する」という表現は不適切なのです。

「辟易」を使う場合は、「辟易する(した)」や「辟易している」などを使うと覚えておきましょう。

「辟易」の類語とは?

「辟易」の類語は”うんざり・嫌気がさす・憂鬱”など

「辟易」の類語は、その意味としても紹介した「うんざり」「嫌気がさす」などの表現が挙げられます。他にも、気分が晴れないことを意味する「憂鬱(ゆううつ)」という表現も、「辟易」の類語として使用可能です。

また、迷惑に感じる・言葉に詰まるという意味を持つ「閉口する」も、言い換え表現として使える場合があります。

「足がすくむ」も「辟易」の類語のひとつ

「辟易」には「うんざりすること」という意味のほかに、「相手の勢いに圧倒されてしりごみする」という意味もあります。その意味では、「足がすくむ」もまた「辟易」の類語です。

「足がすくむ(竦む)」とは、「恐怖や緊張などで、足が思うように動かなくなること」という意味の表現です。似た意味の言葉には、「身がすくむ」という表現もあります。また、「ひるむ」「たじろぐ」なども類似の意味を持つ言葉です。

「辟易」の語源とは?

「辟易」の語源は中国、漢字の意味がポイントに

「辟易」という単語は、中国の歴史書で使われていたという背景があります。「辟」は、「避ける」という意味があり、「易」には「変わる・変える」の意味があります。つまり、「辟易」とは、直訳すると「避けるために道を変える」という意味で、そこから「相手を恐れ逃げる」「たじろぐ」という意味でつかわれるようになったそうです。

さらに、「避けて通りたい(道を変えたい)」という意味から派生して、「うんざりする」「嫌気がする」などの意味でも使われるようになったとされています。

「辟易」の英語表現とは?

「辟易」は英語で”be fed up with”

英語で「辟易」という場合には、「うんざりする」という意味の“be fed up with”を使います。たとえば、「I am fed up with your complaining(君の愚痴には辟易している)」という表現が可能です。

また、「ひるむ」という意味では、「flinch」や「shrink」といった単語も適切です。たとえば、「I flinched from the difficulties(この困難に辟易している[ひるんでいる])」などということができます。

まとめ

「辟易」は、うんざりすること・嫌になることという意味で使われる言葉です。また、相手の勢いに圧倒され、気後れしている様・ひるんでいる様を表す際にも使われます。小説などの書籍はもちろん、話し言葉としても使用される言葉ですので、ぜひ覚えておきましょう。