「十人十色」の意味とは?座右の銘としての使い方や類語・対義語も

「十人十色」は誰もが一度は耳にしたことのある四字熟語ではないでしょうか。映画など幅広いシーンで使用される「十人十色」について、詳しい意味と使い方を解説します。類語や英語表現のほか、「座右の銘には使えるのか?」といった疑問についても回答しています。併せて参考にしてみてください。

「十人十色」の意味や読み方とは?

「十人十色」の意味は”人それぞれ”

「十人十色」の意味は、”性格やものの考え方、とらえ方などは人によってそれぞれ異なること”です。「十人いれば十通りの色がある」とそれぞれが違うことを色を用いて表した四字熟語です。意見や行動、感情なども人それぞれで、一律ではないことを表す際に使う言葉です。

「十人十色」の読み方は”じゅうにんといろ”

「十人十色」の読み方は、“じゅうにんといろ”です。「十」には「とお」「と」という二つの訓読みがありますが、「十人十色」では「と」を使うのがポイントです。「じゅうにんとおいろ」と読むのは誤りで、「じゅうにんといろ」と発音します。

「十人十色」の使い方と例文とは?

「十人十色」を使った例文

「十人十色」は、人の嗜好や行動、感性などあらゆる事柄に対して使える表現です。たとえば、次のような使い方ができます。

  • ライフスタイルが多様化している現代では、働き方も十人十色である
  • ファッションには流行もあるが、何が着たいと思うかは十人十色だ
  • 人の好みは十人十色だが、あのお店のスイーツは誰に食べさせても評判が良い
  • 子どもの作品展を見に行ったら、まさに十人十色、様々な感性の作品が並んでいた

「十人十色」は座右の銘に使うには不向き

採用面接などで「座右の銘」を問われることがありますが、「十人十色」は「座右の銘」として回答するのはおすすめできません。

そもそも、「座右の銘」とは、一般に、教訓や戒め、励ましなどのために常に心に留め置いている言葉を指します。しかし、「十人十色」は、「戒め」や「教訓」となるような意味合いの言葉ではありません。

「互いの個性を尊重する人でありたい」という思いで「座右の銘」として使う人もいますが、とりわけ採用面接や上司・取引先などとの会話となると、もう少しビジネスに対する姿勢や信念を表すような言葉がベターといえるでしょう。「座右の銘」とすることが誤りではありませんが、できればほかの言葉を選ぶことをおすすめします。

「十人十色」は座右の銘よりも「好きな言葉」がベター

採用面接では、「座右の銘」だけでなく「好きな言葉」を聞かれることも多いものです。この「好きな言葉」に対する回答であれば、「十人十色」も問題なく使えるでしょう。

ビジネスで重視される能力は職種・業種によって異なりますが、周囲との協調性はどの仕事にも共通する大切な項目です。「人はそれぞれ違うもの」という意味の「十人十色」を好きな言葉として挙げることは、決してマイナスなイメージにはならないでしょう。

「十人十色」の類語とは?

十人十色の類語①「多種多様」

「十人十色」を別の言葉に言い換えると、「多種多様」と言うことができます。「多種多様(たしゅたよう)」とは、「種類が豊富で、それぞれが異なる様」という意味です。また、単に別の言葉に置き換えたい場合には、「人それぞれ」「その人次第」なども使える表現です。

十人十色の類語②「三者三様」「千差万別」

「十人十色」と同じように、「数」を使った類語もいくつかあります。

たとえば「三者三様(さんしゃさんよう)」は、「三人いれば三通りのやり方・考えがある」という意味で、転じて「人それぞれ考えややり方は異なる」という意味で使用されます。「百人百様(ひゃくにんひゃくよう)」も同様の意味の表現です。

さらに数が大きくなると、「千差万別(せんさばんべつ)」という四字熟語もあります。こちらも「様々な違いがあること」「人それぞれ」という意味で、人だけでなく物に対しても使える点が特徴です。

十人十色の類語③「蓼食う虫も好き好き」

とりわけ好みや嗜好について「人それぞれ」という場合には、「蓼食う虫も好き好き(たでくうむしもすきずき)」という慣用句もあります。

「蓼(たで)」とは辛みが特徴的な植物で、「この辛い蓼を好んで食べる虫がいるように、好みは人によって違う」という意味で使用されます。「十人十色」と似た意味の表現ですが、食べ物の好き嫌いや恋愛対象となる人について話題にする際などに使うのが特徴です。

「十人十色」の対義語とは?

十人十色の対義語①「尋常一様」

「各々違う」という意味持つ「十人十色」の対義語は、「同じ」「同一」「一律」といった意味の言葉が該当します。中でも、「尋常一様(じんじょういちよう)」は、「十人十色」の対義語にふさわしい四字熟語です。

「尋常一様」は、「他と違うところがなく、ごく当たり前であること」「普通であること」という意味です。「あの若さで管理職とは、尋常一様な人にはマネできない」などと使います。

十人十色の対義語②「異口同音」

「十人十色」の対義語には、「異口同音(いくどうおん)」も挙げられます。「異口同音」とは、「複数の人が同じことを言う」「人々の意見が一致する」という意味の四字熟語です。たとえば、「その場に居た者達は異口同音に賛成した」という風な使い方ができます。

「十人十色」の英語表現とは?

「十人十色」は、英訳も様々

「十人十色」は英語でも様々な表現方法があります。

例文
  • So many men, so many minds.
  • Many men, many minds.

他にも、「いくつかの」という意味の「several」を使った「Several men, several minds」や、「多様な」という意味の「diverse」を使った「Diverse men, diverse minds」という表現も「十人十色」の意味で使用されます。

また、「No snowflakes fall in the same spot.(雪片が同じ場所に落ちることはない)」も「十人十色」と同じ意味でつかわれる表現です。

まとめ

「十人十色」は「人によって考えややり方は異なる」「それぞれの人は異なる」という意味の四字熟語です。性格や行動、意見や感性など、互いの違いを肯定するような場合によく使われています。日常的にも使える表現ですので、これを機にぜひ覚えておきましょう。