「定性的」の意味や使い方とは?「定量的」との違いや英語表現も

ビジネスでは「定性的な目標」や「定性的調査」という言い方をすることがあります。この「定性的」という言葉の詳しい意味と使い方について解説します。また、「定性的」と一緒に用いることの多い「定量的」との違いについても解説しますので、参考にしてみてください。

「定性的」とは?

「定性的」の意味は”性質に着目して分析する様”

「定性的」の意味は、“性質に着目して分析する様・物事の様子や変化について性質に着目する様”です。数字では表せない様に対して使用します。

「定量的」は「定性的」の対義語、数字で分析すること

「定性的」に対し、「定量的」という言葉もあります。「定量的」とは、「数値や数量で表せる様」という意味で、「定性的」の対義語に当たる言葉です。たとえば、「思ったより進捗が悪い」というのは「定性的」で、「予定していたタスクの7割しか完了できていない」というのが「定量的」です。

ビジネスでは数字が重視されることもありますが、「なぜそうなったのか」というような「定性的」な考え方も重要です。「定性的」と「定量的」の概念は、互いに補完するような関係性にあることは、ぜひとも押さえておきたいポイントです。

「定性的」の使い方とは?

性質に関する言葉である「定性的」は、抽象的なだけになかなか意味がとらえにくいものです。「定性的」の意味を理解するのにも役立つ例文を交えながら、「定性的」の使い方を紹介します。

「定性的に考える」「定性的に説明する」と使う

「定性的」という言葉は、「定性的に考える」や「定性的に説明する」という使い方をします。簡単に言うと、「数字ではなく言葉で説明する」という意味です。

たとえば、売り上げアップのために、「チラシにキャンペーンのお知らせを記載すれば集客が改善される」というのは、「定性的な説明」です。なぜ?どうして?といった切り口で考えることも「定性的」に該当します。

「定性的調査」「定性的研究」という表現も

「定性的」は「研究」や「調査」の特徴を表す言葉としても用いられます。「定性的研究」「定性的調査」とは、物事の様子・変化についてその性質に着目した研究(調査)という意味です。

「定性的研究(調査)」では、観察した研究対象について、本質・特徴などを「言葉」で解説します。

「定性的研究」で扱われるデータは「定性的データ」

「定性的研究」で扱われるデータは、「定性的データ」と呼ばれます。たとえば、インタビューやアンケート調査の回答はその代表例で、「質的データ」とも呼ばれるものです。また、歴史的な資料なども「定性的データ」に該当します。

こうしたデータを前提として、「定性的研究」では推論を行うことになるのです。

「定性的」は物理や化学を語る際にもよく使われる

「定性的」という言葉は、物理や化学を話題にする際にもよく登場します。どちらの分野も性質に関する記述が頻繁に出てくるのが特徴で、例えば次のような表現が「定性的」です。

  • 塩酸と水酸化ナトリウムが反応して塩化ナトリウムができる
  • 物理では物体に力を加えると、加速度が生じる

一方で、「1モル/リットル」「6ニュートン」などといった数字を用いて表現すると「定量的」と呼ばれる説明になります。

ビジネスでは「定性的な目標」も重視される

ビジネスシーンでは「定性的調査」などのほかにも「定性的な目標」という表現を使うことも多いものです。たとえば、「お客様により信頼される営業担当を目指す」というように、「こうなりたい」「こうしたい」といったイメージ象は「定性的な目標」と呼ばれることも多いものです。

これに対し、「新規開拓20件!」というような数値目標が「定量的な目標」と呼ばれます。数字を用いた目標は周囲の目にもわかりやすいのが特徴ですが、単に数字を追うだけでなく、目標達成のためには何が必要か細分化する「定性的な」視点も大切です。

「定性的評価」とは目に見えないものを評価すること

「定性的評価」とは、数字では表しにくい性質を評価することを指し、特にビジネスでは人事分野でよく使われる表現です。人事における「定性的評価」とは、性質・耐性・姿勢・心構え・仕事の進め方などの評価を指し、努力ややる気を評価するのも「定性的評価」です。

たとえば、営業職は契約本数など数字による評価がしやすい一方で、総務や経理などはなかなか「定量的評価」が難しいという特徴があります。そのような場合に特に「定性的評価」が活用されるようです。

ただし、完全な主観に陥らないよう、出勤日数など数値化できるものは数値化し、定性的評価・定量的評価の両者を使った評価体制が望ましい問われています。

「定性的」の英語表現とは?

「定性的」の英訳は”qualitative”

「定性的」を英語にすると“qualitative”となります。たとえば、「定性的説明」「定性的データ」は、次のような表現が可能です。

  • qualitative interpretation / qualitative description(定性的説明)
  • qualitative data(定性的データ)

また、「定性的に説明する」は、「describe qualitatively」と表現します。

●まとめ
「定性的」は物事の性質に着目した分析・調査などに用いる表現で、数字では表せない様に使います。ビジネスでは数値(定量的情報)が重要視されることも多いですが、一方で「なぜそうなったのか」という言葉でしか説明できない「定性的」な考え・情報も重要です。これを機に、しっかりと抑えておきましょう。