「大なり小なり」の意味と使い方を例文で解説!不等号の読み方も

「大なり小なり」という言葉は物事の程度を表す際に用いられる表現のひとつです。その詳しい意味と使い方について、例文を用いて解説します。また、「大なり」「小なり」と言えば、不等号の読みでもあります。いまさら聞けない不等号の読み方・覚え方も、これを機にしっかりおさえておきましょう。

「大なり小なり」の意味や読み方とは?

「大なり小なり」の意味は”多かれ少なかれ”

「大なり小なり」の意味は、“多かれ少なかれ・大きくても小さくても”です。「程度の大小にかかわらず・程度の差こそあれ」という意味で使える表現で、”(大きさや強さなどの)程度”を問題にしない場合に用られる表現です。

「なり」とは、「~である」「~だ」という断定の意味を持つ助動詞ですが、「大なり小なり」と二つの言葉をつなげて慣用句として使う場合には、上記のように「多かれ少なかれ」「程度の差こそあれ」という意味になります。

「大なり小なり」の読み方は”だいなりしょうなり”

「大なり小なり」の読み方は、“だいなりしょうなり”です。

「大なり小なり」の使い方と例文とは?

「大なり小なり」はどう使うのが正しいのでしょう。例文と併せてみていきましょう。

「その傾向がある」と示唆する場合に用いる

「大なり小なり」は、程度はわからないものの、「その傾向がある」「そのような見込みがある」という風に示唆する表現で使用します。
たとえば、以下のような文章が可能です。

  • 今回の法改正は、大なり小なり、当社にも影響を及ぼすだろう
  • 大なり小なり、子供たちの成長の糧となるような教師でありたい

このように、影響・変化など目に見えない事柄に対して使うことが多い点も「大なり小なり」の特徴です。

「仕方がない」という場合にもよく使う

「大なり小なり」は、「仕方がない」「当然のことだ」という文脈でもよく使われます。たとえば、

  • 大なり小なり、誰にでも悩みはあるものだ
  • 結婚生活では大なり小なり、妥協は付き物だろう

といった使用です。いずれも、「多かれ少なかれ」「程度の差こそあれ」という意味であるのには変わりありませんが、「しょうがない」という意味を強調するようなニュアンスで使用されています。

「大なり小なり」の類語とは?

「大なり小なり」と似た意味の言葉・表現を紹介します。言い換えにも使えるので、「大なり小なり」とともに活用してみてください。

「いくらかは」や「ある程度は」などが類語

「大なり小なり」と似た意味の言葉には、「いくらかは」「ある程度は」といった表現が挙げられます。ほかにも類似の表現には、

  • 幾ばくかは
  • 多少は
  • 少しは

などがあります。また、程度の差をより明確にしたい場合は、「大小の違いはあっても」「濃淡はあっても」という表現も可能です。

「大なり小なり」は”若干”に言い換えられることも

「大なり小なり」と似た意味の言葉には「若干」もあります。「若干(じゃっかん)」とは、「はっきりはしないがそれほど多くはない」という意味の言葉です。

「程度」があいまいな点では「大なり小なり」と共通していますが、「若干」は、比較的少ないと予想が立てられる場合に使うのが特徴です。

「大なり小なり」の英語表現とは?

ビジネスでは英語でやり取りをするという人も多いものですが、「大なり小なり」を英語にするとどうなるのでしょう。

「大なり小なり」は英語で”more or less”と表現

「大なり小なり」を英語にすると“more or less”となります。たとえば、「Everybody has a problem, more or less(大なり小なり、誰もが問題を抱えている)」という風に使います。他にも、「to a greater or lesser degree」も同じ意味の表現です。

記号の向きはどっち?不等号の読み方・覚え方

「大なり」「小なり」という言葉は、慣用句以外にも、不等号の読みとしても使われます。どっちが「大なり」で、どっちが「小なり」なのか、読みに自信がない人も多いのではないでしょうか。いまさら聞けない不等号の読みと覚え方のポイントを紹介します。

「<」は”小なり”、「>」は”大なり”と読む

不等号の「<」「>」の読み方と意味は次の通りです。

  • <:読み「小なり」、意味「A<B(AはBより小さい)」
  • >:読み「大なり」、意味「A>B(AはBより大きい)」

「<」は不等号の前が「小さく」なるので「小なり」と読み、「>」は不等号の前が「大きく」なるので「大なり」と読むと覚えておきましょう。

イコールが付くと、以下・以上の意味になる

不等号には、記号の下に「=」が付き、「≦」や「≧」となることがあります。これらは、「等しい状態を含む」という意味になり、日本語でいうところの「以下」「以上」を意味します。たとえば、「A≦10」は、「10以下(10を含み、それより小さい数)」という意味です。

なお、記号の読み方は「≦」は「小なりイコール」、「≧」は「大なりイコール」となります。

パソコンの入力・変換では読みが活躍

不等号の読みは、PC入力で役立つ場合があります。キーボード上で記号を探すよりも、読みを入力し変換した方がタッチタイピングの場合は早いことがあるからです。

一般に、「小なり」と入力すると、「<」「≦」のどちらも変換候補として表示されます。これを機に、読み方を覚えて活用してみてください。

まとめ

「大なり小なり」とは、「多かれ少なかれ」「程度の差こそあれ」という意味の慣用表現で、影響や変化などその程度が不確かな場合によく使います。ビジネスシーンでも見通しが不透明な場合などに「大なり小なり、影響はあるはず」という風な表現が可能です。慣用句としてはもちろん、「大なり(>)」「小なり(<)」という不等号の読みもこれを機に活用してみてください。