「元の木阿弥」の意味と使い方とは?類語・英語表現も解説

「元の木阿弥」は舞台のタイトルとしても使われたことがありますが、ことわざとしてはどのような意味を持つのでしょう。「元の木阿弥」の意味と使い方について、例文を交えながら解説します。類語や英語表現も参考にしてみてください。



「元の木阿弥」とは


「元の木阿弥」は「もとのもくあみ」と読みます。まずはその意味やことわざの由来からみていきましょう。

「良くなったものが元の状態に戻ること」という意味のことわざ

「元の木阿弥」は、「一度は良くなったものが、元の状態に戻ること」という意味です。「元の状態に戻る」という意味が特徴的で、単に「悪い状況に陥る」という意味ではありません。

また、「一度よくなったものが元に戻る」という意味から転じて、「これまでの行い(努力)が無駄に終わる」という意味でも使われています。

語源は戦国大名の逸話にあり

「元の木阿弥」の語源には諸説がありますが、そのひとつには、戦国大名の逸話も残っています。

とある戦国大名が病死した際に、後継ぎであるその子が幼かったため、その子が大人になるまで、当主の死を隠すべく、声の似た「木阿弥」という名の人物を替え玉とし、生きているように見せかけたという話があります。このエピソードのうち、「木阿弥」は身代わりとして暮らす間は贅沢な「当主」としての暮らしをしていましたが、その役目が終わると同時に、生活も庶民のそれに戻ってしまった、という話が、「元の木阿弥」という慣用句の由来と言われています。

「元の黙阿弥」は誤字、正しくは「木阿弥」

ことわざの由来としても紹介したように、「元の木阿弥」の「木阿弥」は人物名です。

歴史的には、幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作家の「河竹黙阿弥」という人も存在しますが、ことわざとして使う場合は、「元の木阿弥」とします。「元の黙阿弥」は誤表記です。

「元の木阿弥」の使い方と例文


「元の木阿弥」は実際にはどういった使われ方をしているのでしょう。具体的な例文とともに解説します。

「元の木阿弥になる」が一般的な使い方

「元の木阿弥」は、「元の木阿弥になる」という言い方をされるのが一般的です。たとえば、次のような表現が可能です。

  • 「失恋から立ち直りかけていたのに、偶然再会してしまい、元の木阿弥になった」
  • 「せっかくのダイエットも正月休みでリバウンドしてしまい、これでは元の木阿弥である」

「一度はよい状態まで至ったのに、~のせいで元の状態に戻ってしまった」と嘆くような場面でよく使われます。

ビジネスでは「無駄に終わる」の意味でよく使う

ビジネスシーンにおける「元の木阿弥」は、苦労した事柄や手間がかかった事柄が「無駄になる」という場面でよく使われています。たとえば、

  • 「このままでは元の木阿弥になってしまう」
  • 「取引先から変更の連絡が入り、せっかくの資料も元の木阿弥になった」

という風に、「努力が無駄に終わった」という場合に「元の木阿弥になる」という言い方をすることが多いでしょう。

「元の木阿弥」の類語


「元の木阿弥」と似た意味を持つ慣用表現・ことわざはほかにもあります。「元の木阿弥」の類語をいくつか紹介します。

「水泡に帰す」などが同じ意味の慣用表現

「元の木阿弥」と似たような意味を持つ慣用表現には、「水泡に帰す」「徒労に終わる」などが挙げられます。

「水泡に帰す」とは、努力した事が無駄になる・計画が途中でなくなる、といった意味のことわざです。似た表現には、「水の泡(水の泡になる)」もあります。「徒労に終わる」も同義で、それまでの行いが無駄に終わることを意味します。直接的な表現では、「台無しになる」と言い換えることも可能です。

また、「最初の状態に戻る」という意味では、「白紙になる」という表現も、「元の木阿弥」の類語と言えるでしょう。

似た表現では「元の木椀」も類語

「元の木阿弥」と似た言葉には、「元の木椀」があります。「元の木椀」もまた、「元の木阿弥」と同じ意味の表現で、類語のひとつです。

「元の木椀」は、「元の木阿弥」の語源とも言われる表現で、お椀の朱塗りがはげてしまい、元の木地があらわになった状態を指します。よく見えていたお椀が、(色が剥げ)貧弱な見た目に戻った、という意味で、「元の木阿弥」と同じ意味で使用可能です。

「元も子もない」は異なる意味の表現、類語ではない

「元」という感じを使った慣用句には、「元も子もない」という言い回しがあります。同じ字を使った表現ですが、「元の木阿弥」と「元も子もない」の意味は異なります。

「元も子もない」とは、何もかもすっかりなくなる・(利益だけでなく)元手までも失う、という意味です。「良い状態から悪い状態になる」という意味では、「元の木阿弥」と似たニュアンスがありますが、「元の木阿弥」には「すっかりなくなる」という意味はありません。類語ではないので、言い換えに使う場合は前後の文脈に注意が必要です。

「元の木阿弥」の英語表現


「元の木阿弥」は英語ではどう表現するのでしょう。

英語にも「元の木阿弥」に相当する慣用句がある

「元の木阿弥」と似た表現は英語にも存在します。英語では、「車輪が一周回って元の場所に戻る」という意味の「the wheel comes full circle」が「元の木阿弥」に相当しうる表現です。

また、「初めの状態に戻る」という意味で「end up right back where one started」や「be right back where one started」という言い回しをすることもあります。たとえば、「If you stop here, you’ll be right back where you started(ここでやめたら元の木阿弥だ)」といった表現が可能です。

まとめ

「元の木阿弥」は、「一度は良くなった事柄が、元の状態に戻る」という意味の表現です。また、「(努力などが)無駄に終わる」という意味でも使用することができます。ビジネスでは特に後者での使い方が多いのが特徴です。「元の木阿弥」にならないためにも、ビジネスでは様々な注意・配慮が必要と言えるでしょう。