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「掃き溜めに鶴」の意味と使い方!類語・対義語や英語表現も解説

「掃き溜めに鶴」は褒め言葉である一方で、不快な表現にもなりえることわざです。「掃き溜めに鶴」の詳しい意味と使い方について解説します。また、類語や対義語、英語表現など、関連用語についても紹介していますので、参考にしてみてください。

ことわざ「掃き溜めに鶴」の意味とは?

「掃き溜めに鶴」の意味は”つまらない場所に優れたものがあること”

「掃き溜めに鶴」の意味は、“つまらない場所に優れたものがあること”です。「掃き溜め」とは、ごみをまとめ置く場所のこと、「鶴」は、美しいもの(人)や優れたもの(人)の例えです。

「掃き溜めに鶴」という表現のほかに、「ごみ溜めに鶴」「掃き溜めへ鶴が降りる」という言い方もあります。いずれも、「いろいろなものが寄せ集められた場所に、周囲とは不釣り合いなほど素晴らしいものが混ざっている」という意味の表現です。また、見た目の美しさだけでなく、高い志を持つ人を意味することもあります。

「掃き溜めに鶴」の使い方とは?

「掃き溜めに鶴」はどういったシーンで使われる表現なのでしょう。使用例を紹介します。

「掃き溜めに鶴」は褒め言葉として使われる

「掃き溜めに鶴」は、素晴らしい人やものに言及する際に用いる表現です。たとえば、

  • 彼は学生時代、「掃き溜めに鶴」と言われるほど優秀だった
  • 「掃き溜めに鶴」と言えるだけの才能が彼女にはある

という風な使い方をします。「この場所にはふさわしくないほど素晴らしい」と褒める場面で使うのが特徴です。

「掃き溜め」と呼ばれる側への配慮も必要

「掃き溜めに鶴」は、「鶴」とされる側、つまり褒められる側の人にとっては問題のない表現ですが、一方「掃き溜め」と例えられる側には配慮が必要です。

たとえば、

  • 彼女は、うちの会社では「掃き溜めに鶴」のような存在だ

というと、「社内では他に見ないくらい美しい」「うちの会社には不釣り合いなほど優秀だ」といった意味になりますが、「掃き溜め」に例えられた社内の人間が聞くとあまり気分がよい表現ではありません。特定の人を褒める一方で、その他をおとしめるようなニュアンスを持つからです。自分が属する集団以外に使う場合には、配慮をおすすめします。

「掃き溜めに鶴」の類語とは?

「掃き溜めに鶴」をほかの言葉にするとどうなるのでしょう。「掃き溜めに鶴」と似た意味の表現や類語を紹介します。

“鶴”を使った例えでは「鶏群の一鶴」が類語

「掃き溜めに鶴」と同様に、「鶴」を使った表現では“鶏群の一鶴”ということわざが類語として挙げられます。

「鶏群の一鶴(けいぐんのいっかく)」とは、「平凡な人の中に、ただ一人だけ優れた人が混じっていること」という意味です。平凡な人を「鶏」に、優れた人を「鶴」に例えた表現です。

他にも「泥中の蓮」ということわざもあります。「泥中の蓮(でいちゅうのはす)」とは、泥の中のように汚れた環境にあっても、自らは汚れることなく清く正しく生きる様を表すことわざです。

「紅一点」も”掃き溜めの鶴”の類語のひとつ

「掃き溜めに鶴」に似た表現として、“紅一点”が挙げられることもあります。

「紅一点」は、男性の中に混じった唯一の女性を指して使われることが多いですが、「数あるものの中で、ただ一つだけ異彩を放つもの」という意味も持つ表現です。「掃き溜めに鶴」もまた、「男性ばかりのむさくるしい場所にいる美しい女性」を指して使われることがあり、「紅一点」と類語の関係にあるといえるでしょう。

「鶴の一声」は”掃き溜めに鶴”の類語ではない

「鶴」を使った慣用表現では、「鶴の一声」がよく知られていますが、「鶴の一声」は「掃き溜めに鶴」の類語ではありません。

「鶴の一声(つるのひとこえ)」は、「周囲の議論や意見をおさえつけるような権力者・有力者の一言」という意味のことわざです。有無を言わさず従わせるような発言に対して使います。同じ「鶴」を使った表現でも、まったく異なる意味ですので混同しないようにしましょう。

「掃き溜めに鶴」の対義語(反対語)とは?

「掃き溜めに鶴」と反対の意味の言葉にはどういったものがあるのでしょう。対義語を紹介します。

「鶴」を使った対義語は”千石見晴らしの田でないと鶴は下りぬ”

「掃き溜めに鶴」の対義語には、“千石見晴らしの田でないと鶴は下りぬ”という慣用表現が挙げられます。端的に言うと、「優れたもの(人)がそれ相応の場所にある」という意味の表現です。

「千石見晴らしの田」とは、「見晴らしの良い広々とした田」という意味で、大きく美しい鶴が広々とした場所を選ぶことから、「優れた人物はふさわしい場所にいる」という意味で使用されます。

「鳳は藪の中にはいない」も対義語のひとつ

「鶴」以外にも、「鳳」をつかった表現、“鳳は藪の中にはいない”という表現もあります。

「鳳」とは想像上の鳥「鳳凰(ほうおう)」のことです。「鳳凰」は中国神話に登場するなど、古くから崇められた背景があり、「鳳凰(のようなありがたい鳥)が藪の中にいるはずがない」、つまり「優れたものは相応の場所にある」「優れた人は場所を選ぶ」という意味で使用されます。

「掃き溜めに鶴」の英語表現とは?

「掃き溜めの鶴」の英訳を紹介します。

「掃き溜めに鶴」は英語で”a jewel in a dunghill”

英語で「掃き溜めに鶴」という場合は、“a jewel in a dunghill”という表現を使います。直訳すると、「糞の山の中に宝石」という意味で、「ふさわしくない場所(糞の山)」に「素晴らしい物(宝石)」があるという意味で使用されています。

日本語で使う場合も「掃き溜め」と呼ばれる側の人に配慮が必要ということは先述しましたが、英訳もまた使用シーンには注意が必要と言えそうです。

まとめ

「掃き溜めに鶴」は、「つまらない場所に優れたものがある」という意味で使われる表現で、「こんな場所には不釣り合いなほど素晴らしい(美しい)」と称賛する場合に用いられます。「鶴」に例えられる側は褒め言葉として受け取ることができますが、一方で「掃き溜め」と呼ばれる側に属する人にとってはあまりうれしい表現とは言えません。使う場合には、場面や相手への配慮が求められる表現です。