「顕著に現れる」「顕著になる」とはどういう意味なのでしょう。「顕著」の正しい意味をはじめ、その使い方を例文で紹介します。似た意味の言葉「如実」との違いや、類語や対義語、英語表現などの関連用語もまとめておさえましょう。
「顕著」の意味や読み方とは?
「顕著」の意味は”誰が見ても明らかなこと”
「顕著」の意味は、“誰が見ても明らかなこと”です。
「顕」「著」のいずれの漢字にも、「あらわれる」「明らかになる」という意味があります。同じ意味の漢字を重ねることで、「誰が見ても分かるほどはっきりとあらわれている様」「際立って目につく様子」というように、強調した意味合いを持つのが特徴です。
「顕著」の読み方は”けんちょ”
「顕著」の読み方は、“けんちょ”です。
「顕著」の使い方と例文とは?
「顕著」という言葉は、文章や会話ではどう使うのでしょう。使用例を紹介します。
「顕著である」「顕著だ」が一般的な使い方
「顕著」は、目に見えて明らかな様子に対して「顕著である」「顕著だ」という表現で使われます。ビジネスでは、売り上げなどの数字に対してよく使う他、人の表情や動作に対しても使える言い回しです。たとえば、
- 残念ながら、両者の力の差は顕著である
などという風に使うことができます。ただし、目に見えないものには使いません。目で確認できる事柄に対して使います。
「顕著になる」「顕著に現れる」は”はっきりと現れる”の意味
「顕著になる」「顕著に現れる」という表現も、よく用いられるものです。
「なる」という表現は、今までとは違った状態に変わる、という意味も持つ言葉で、「顕著になる」とすることで、「よりはっきりとあらわれる」「目立って現れるようになった」というニュアンスを持たせることもできます。
「顕著」という言葉には、元々「現れていること」という意味が含まれていますが、「顕著に現れる」としても、二重表現ではありません。この場合は、「明らかに」「はっきりと」という意味として使用されていて、「顕著に現れる=はっきりと現れる」という意味になります。以下に例文を記載します。
- プロモーションの成果が顕著に現れた
- 入社後3か月も立つと、仕事への姿勢も顕著に現れるころだ
「顕著に見て取れる」という表現も使える
「顕著に見て取れる」もまた、ビジネスではよく見聞きするものです。「見て取れる」とは、「判定できる」「わかる」「読み取ることができる」などといった意味の表現で、「顕著に見て取れる」とすることで「はっきりとわかる」「明らかに判定できる」というニュアンスになります。
たとえば、
- このデータから、今回のプロジェクトの成功が顕著に見て取れた
などという使い方が可能です。
「顕著」の類語・言い換え表現とは?
「顕著」にはどういった類語があるのでしょう。同じ意味の言葉や言い換えに使える表現を紹介します。
「顕著」の類語は”明瞭”や”明確”など
「顕著」の類語には、「明らかである」という意味の言葉が該当します。たとえば、「明瞭(明らかであること)」や「明確(明らかで確実であること)」などが「顕著」の類語といえるでしょう。ほかにも、「はっきりしている」「明白だ」という風にも言い換えることができます。
「顕著に現れる」は「歴然と現れる」にも言い換えられる
「顕著」の類語には「歴然」も挙げられます。特に、「顕著に現れる」は「歴然と現れる」と言い換えが可能です。
「歴然(れきぜん)」とは、「一目で明らかにわかる様」という意味の言葉で、はっきりと区別がつく様を表します。「歴然とする」という表現でもよく使用されます。
「如実に現れる」はニュアンスが異なる
「顕著に現れる」と似た表現に、「如実に現れる」という言い回しがあります。「如実(にょじつ)」とは、「事実の通りであること」「実際の通りであること」という意味の言葉で、「如実に現れる」は「ありのままの状態が現れる」という意味です。
「顕著」の持つような「はっきりと」や「明確に」といったニュアンスはないので、混同しないようにしましょう。
「顕著」の対義語とは?
一方、「顕著」と反対の意味の言葉となると、どういった言葉が該当するのでしょう。対義語を紹介します。
「隠微」「不明瞭」「漠然」などが「顕著」の対義語
「顕著」の対義語は、「隠微」とされています。「隠微(いんび)」とは、「かすかでわかりにくいこと」という意味で、「簡単にはうかがえないこと」「表だっておらず微妙な様」を表す言葉です。
もう少し一般的な言葉では、「不明瞭」や「漠然」などが「顕著」の対義語といえるでしょう。「不明瞭」は「はっきりしないこと」、「漠然」とは「(考えや気持ちが)ぼんやりしていること」という意味です。ほかにも、「曖昧(あいまい)」も対義語のひとつとして使用することができます。
「顕著」の英語表現とは?
資料の英訳を作成したり、英文メールを送ったりという場合など、英語で「顕著」を表現したい場合はどうすればよいのでしょう。
「顕著」の英訳は”remarkable”を使う
英語で「顕著」は、“remarkable”を使用します。「remarkable」には「注目すべき」や「目立った」「顕著な」といった意味があります。「It is remarkable ~」などいう使い方が一般的です。
また、「顕著に」は、「prominently」を使うことも可能です。たとえば、「appear prominently in~(顕著にみられる)」、「be prominently visible in~(~で顕著に現れる)」などと表現します。
まとめ
「顕著」とは、「誰が見ても分かるほど明らかな様」「はっきりと現れていること」という意味です。「顕著に現れる」や「顕著になる」という使い方が一般的で、ビジネスでもよく用いられます。「明瞭」や「明確」、「歴然」と同じような意味ですが、「如実」とは若干ニュアンスが異なります。使い分けるようにしましょう。