「厭世的」の意味とは?人や思考の特徴から類語・対義語まで解説

「厭世的な人」「厭世的思考」などに使う「厭世的」という言葉にはどのようなイメージがありますか?小説や作家を形容する言葉としても使われる「厭世的」の意味と使い方について、詳しく解説します。「厭世的」の類語や対義語、英語訳など関連用語についても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

「厭世的」の意味とは?

「厭世的」の意味は”生きているのが嫌になる様”

「厭世的」の意味は、”人生や世の中を悲観し、生きているのが嫌になっている様“です。

「厭世的」の「厭」という字は、「いや」「いと(う)」「あ(きる)」とも読み、満足して嫌になる・飽きてうんざりする、といった意味があります。そのため、「厭世的」という言葉も、「人生(世の中)にうんざりして、嫌になる」というニュアンスも持つのが特徴です。「希望を失ったり、期待できずに絶望したりして、生きているのが嫌になった」という場合に「厭世的」といいます。

「厭世的」の使い方と例文とは?

実際に、「厭世的」という言葉はどのように使われているのでしょう。「厭世的」の使用例や使用シーンをいくつか紹介します。

「厭世的になる」「厭世的思考」と使う

「厭世的」という言葉は、「厭世的になる」という使い方が一般的です。また、自分の考えや思うところなどを指して「厭世的思考」ということもあります。たとえば、以下のような使い方が可能です。

  • 毎日上司に叱責されていては、厭世的になるのも当然だ
  • 厭世的になっている彼は、周囲の励ましに耳を傾けてはくれなかった
  • 厭世的思考に支配されて、何も考えることができない

「厭世的な小説」「厭世的な作家」と芸術関連でも使う

「厭世的」という言葉は、「厭世的な小説」「厭世的な作家」などという風に、芸術作品・人物に対して使われることも少なくありません。たとえば、「厭世的な小説」というと、絶望を描いた作品や、主人公の社会に対する虚無感を描いた作品などが挙げられます。一般には、悲劇と呼ばれるものが「厭世的」といわれることが多いでしょう。

「厭世的な小説」をたくさん生み出した作家は、「厭世的な作家」と呼ばれます。小説に限らず、エッセイストなどの場合でも、その思考を指して「厭世的な作家」ということも可能です。

「厭世的な人」「厭世的思考」の特徴とは?

「厭世的」は人や考え方(思考)を表す言葉としても使うことができます。「厭世的」と呼ばれる人(思考)は、具体的にはどういった人を指すのでしょう。その特徴を紹介します。

「どうせうまくいかない」と思い込んでいる

「厭世的」とは、人生を悲観したり、絶望を感じたりして、生きているのが嫌になるという意味です。そのため、「厭世的な人」は、「どうせうまくいかないだろう」と、諦めがちなのが一つ目の特徴です。

「どうせ失敗する」「自分はダメに決まっている」と考えがちな人は、「厭世的」と言えるでしょう。夢や希望がないというのも特徴です。

文句・愚痴など批判が目立つ

「厭世的な人」の「どうせうまくいかない」という思いは、言葉や態度にも表れがちです。その結果、何かにつけて文句や愚痴が多いといった特徴があります。たとえば、「めんどくさい」「こんなこと何の意味もない」「彼女ばかり依怙贔屓(えこひいき)されている」などという風に、批判的な態度を取りがちなのも、「厭世的な人」の特徴といえるでしょう。

被害者意識が強く、誰かのせいにする

「厭世的な人」の愚痴や批判は、最終的には責任転嫁につながることもしばしばです。たとえば、「上司の指示が悪かったからこうなった」という風に、人のせいにしたり、あるいは「会社のやり方が間違っている」「教育が悪い」「社会の制度が自分をだめにした」という風に被害者意識が強かったりという特徴があるといわれています。

「厭世的思考」から抜け出すには自分を褒める癖を

「厭世的思考」を断つには、まずは、「自分自身を褒めるようにすると良い」と言われています。たとえば、「早く作業が終わった」「会話がはずんだ」など、小さなことでも自らを褒める癖をつけると、徐々に、自分の人生もそう悪い物ではないと思えてくるのではないでしょうか。

また、周囲の前向きな人と接したり、苦手なことは忘れて過ごす日を作ったり、と環境を変えることも、厭世的な思考を吹っ切るきっかけになるかもしれません。

「厭世的」の類語とは?

「厭世的」と似た意味の言葉にはどのようなものがあるのでしょう。日常会話でも使いやすいカタカナ語とあわせて紹介します。

「厭世的」の類語は「悲観的・後ろ向き・ネガティブ」

「厭世的」の類語には、「悲観的」「後ろ向き」などといった言葉が挙げられます。「悲観的」とは、世の中を悪いものだととらえたり、悪い結果を予想して気落ちしたりする様を表す言葉です。「後ろ向き」とは、望ましいとされる方向とは逆の考えをすること・消極的なことを表します。

また、日本語でカタカナ語として定着している「ネガティブ」も「厭世的」の類語といえるでしょう。

「厭世主義・厭世観・厭世家」という言い方もある

「厭世的」のように「厭世」という言葉を使った単語はほかにもいくつかあります。たとえば、「厭世的思考」は「厭世観(人生は生きる価値がない、という考えの意味)」と言い換えることも可能です。

同様に、「厭世的な人」のようは「厭世家(厭世的な考えの持ち主、の意味)」や「厭世主義」とも言い換えることができます。「厭世主義」は、厭世的な考えにとらわれた人、という風にやや否定的なニュアンスが濃くなるのが特徴です。

「厭世的」の対義語とは?

「厭世的」の対義語は「楽天的・前向き・ポジティブ」

「厭世的」の反対の意味の言葉は、「楽天的」です。物事や人生、あるいは社会など、「明るい方に考える様」「のんびりしている様」を表します。ほかにも、「前向き」「楽観的」「ポジティブ」など、「物事を良い方向に考える」というニュアンスの言葉が「厭世的」の対義語です。

「おめでたい人」も「厭世的」の対義語のひとつ

「厭世的な人」の対義語としては、「おめでたい人」という表現もしばしば挙げられます。「おめでたい人」は、疑ったり心配したりすることなく、物事を良い方向にとらえる人を指す表現です。

ただし、「おめでたい人」は単に良い意味で使うのではなく、「度の過ぎるお人よし」と皮肉めいた意味合いで使われます。「厭世的」とは反対の意味があるといえますが、使用シーンには気を付けたい表現といえるでしょう。

「厭世的」の英語表現とは?

「厭世的」は英語で「pessimistic」

「厭世的」を英語にすると「pessimistic」という表現を使います。「pessimistic」には「厭世的な」という意味のほかに「人間嫌いな」という意味も持つ単語です。たとえば、「pessimistic attitude(厭世的な態度)」や「pessimistic philosopher(厭世的な哲学者)」などと使用することができます。ほかにも、「misanthropic(厭世的な・人間嫌いの)」という単語もあります。

まとめ

「厭世的」とは、「人生や世の中にうんざりして、生きているのが嫌になる様」を表す言葉です。「厭世的になる」という使い方の他にも、小説や映画のストーリー、あるいは作家などの人物を表す言葉として使うことができます。身近な単語では「ネガティブ」と似たニュアンスで使用できると覚えておくと、わかりやすいかもしれません。ぜひ活用してみてください。