「施行」の意味と読みは?「施工」との違いや類語・例文も解説

「4月1日より新しい法律が施行された」という場合の「施行」にはどのような意味があるのでしょう。また、「しこう」なのか「せこう」なのか、その読み方もあやふやという人も多いものです。「施行」の正しい読み方と意味、また「施工」など間違い易い類語との違いを例文とあわせて解説します。

「施行」の意味や読み方とは?

「施行」の意味は”法令の効力を発生させる・実際に行う”

「施行」の意味は、“(法令などの)効力を発生させること”です。簡単に言うと、「法令を実行すること」を意味し、法律を話題にする際によく用いられます。また、法律に限らず、「実際に行う」という意味も持ちます。

「施行」の読みは”しこう”、”せこう”でも可

「施行」の読み方は、“しこう”が一般的です。ニュースでも「法律をしこうする」という風に発音されることが多いでしょう。

ただし、「せこう」という読み方も誤りではなく、他の単語と聞き分けやすいように敢えて「せこう」という読みを使用することもあります。たとえば、法律関係では「刑の執行(しっこう)」と明確に区別するために、法学者の間では敢えて「せこう」と読むことも多いようです。

「せぎょう」の読み方は仏教用語

「施行」には、「しこう」「せこう」以外に「せぎょう」という読みもあります。主に「仏教」において用いられる読み方で、善行のために僧侶や貧しい人に施しを与えることを指して「施行(せぎょう)」と言います。

また、法律の読み合わせなど、聞き間違いを厳密に防ぐ場合にも「せぎょう」という読みを使用するケースもあります。これらはあくまでも限られたシーンでの読み方ですので、一般的には「施行=しこう」と覚えておいた方が無難です。

「施行」の使い方と例文とは?

「施行」はどういった使い方をするのでしょう。よくある使い方を例文とともに紹介します。

「施行する」という使い方が一般的

「施行」は「施行する」「施行された」といった表現がよく使われます。たとえば、

  • 今日から施行される法律
  • 今期の目玉ともいえる新規案件が施行された

という風に使います。

先述したように、「施行」には、「実際に行う」という意味もあるため、「新規案件が施行された」という風に「実際に行われた」というニュアンスでの使用も可能です。実際のビジネスシーンでも使用されます。

法律では「施行規則」という言葉もある

法律関連の表現では、「施行規則」や「施行細則」といった表現もあります。一般に、法律を施行する際には、細かい取り決めが成されます。そうした細かい規則や、その法律に基づいた規定を記したものが「施行規則」や「施行細則」です。

医療現場では「手術を施行する」とも

「施行」は医療の分野でも使われる言葉です。主に、「手術を施行する」のように使われます。この場合、「手術を行う」という意味です。「手術施行のガイドライン」という表現もできます。

「施行」と間違えやすい言葉とは?

「施行」と読みや意味が似ていて、間違えやすい言葉がいくつかあります。

最も紛らわしいのが「施行」と「施工」

同じ読みを持つ「施行」と「施工」は、最も間違えやすい表現と言えるでしょう。

「施工」は「せこう」と読むのが一般的で、「工事を行う」という意味で建築関係で使われます。「施工」は「しこう」と読むこともできますが、「施工主(せこうぬし)」「施工図(せこうず)」のように「せこう」としか読めない場合もあります。

一方、「施行」は、先述したように「(政策や法令を)実行する」という意味ですが、「工事を行う」という意味で「工事を施行する」と使うことはできません。「工事が施工される」が正しい表現ですので、しっかり覚えておきましょう。

「施行」と「公布」の違いは拘束力の有無

「施行」は法律に関してよく使用する言葉ですが、同じく法律によく用いられる言葉には「公布」があります。

「公布」とは、簡単にいうと、「周知させること」です。国民に対して、「○○に関する法律ができます」と広く知らしめるのが「公布」で、その法律に効力を持たせるのが「施行」です。

「公布」の段階では、効力はありませんが、「施行」されると違反による罰則が発生します。「施行」によってはじめて拘束力が発生するのがポイントです。

「施行」と「適用」の違いは対象の範囲

「法律を適用する」という表現もよく耳にします。「適用」とは、「(法律などを)当てはめて用いる」という意味です。つまり、特定の人や事柄に対して実際にあてはめ、効力を働かせることが「適用」です。

一方、「施行」も「効力を発生させる」という点では同じですが、対象を特定しない点が異なります。法律そのものに「効力を持たせる」というのが「施行」です。

「施行」の類語とは?

「施行」と似た意味の言葉にはどういったものがあるのでしょう。「施行」の類語を紹介します。

「施行」の類語は”実行・実施・挙行”

「施行」の類語には、”実行・実施・挙行”などが挙げられます。「実行」や「実施」には、実際に行う・執り行うといった意味があります。「挙行(きょこう)」もまた、執り行うという意味の言葉で、儀式や行事に対して用いる言葉です。

他にも、「実践(主義・理論を実際に自分で行う)」や「遂行(すいこう:任務をやり遂げる)」なども「施行」と似た意味を持つ表現です。

「施行」の英語表現とは?

ビジネスで英語を使う人も多いことでしょう。「施行」の英語表現を紹介します。

「施行」は英語で”enforcement”

「法律を施行する」という場合の「施行」は、英語では“enforcement(名詞)”“enforce(動詞)”を使います。

たとえば、

  • to enforce the law(法律を施行する)
  • enforcement regulations(施行細則)

といった使い方が可能です。また、「enforce」を用いずに「It was enacted in 1995.(1995年に施行された)」や「put the law into operation(法律が施行される)」といった表現を使用することもあります。

一方、医療の分野で「手術を施行する」という場合には、「perform」や「conduct」を使うのが一般的です。たとえば、「The number of surgical procedures performed(手術の施行件数)」などと表現します。

まとめ

「施行」は「しこう」と読むのが一般的で、「法律に効力を発生させる」「実際に行う」という意味の言葉です。一方の「施工」は、同じ読みを持ちますが「工事を行う」際に使う表現なので、明確な使い分けが必要です。法律に関しては「施行」「公布」「適用」な混同しやすい表現がいくつかあるので、これを機にしっかり区別しておきたいものです。