ビジネス用語の「アウトバウンド」は、業界によって異なる意味で使われています。対義語の「インバウンド」も、それぞれ意味が違います。
この記事では、コールセンター用語、マーケティング用語、観光用語としての「アウトバウンド」の意味について解説します。それぞれの対義語「インバウンド」の意味もあわせて紹介します。
「アウトバウンド」の意味と対義語とは?
「アウトバウンド(outbound)」の意味は”外に出る”
「アウトバウンド」の意味は、“内から外へ出ていく”です。英語「outbound」を語源とするカタカナ語(外来語)です。
「アウトバウンド」の呼称は、マーケティング用語、コールセンター用語、観光用語としてそれぞれ違う意味を持って使われています。次の章では業界ごとの意味や使われ方を紹介します。
「アウトバウンド」の対義語は”インバウンド”
「アウトバウンド」の対義語は、“インバウンド(inbound)”です。意味は「外から中に入る」となります。インバウンドについては別の記事でも解説していますので、参考になさってください。
■参考記事
「インバウンド」の意味とは?インバウンド需要・消費なども解説
コールセンター用語の「アウトバウンド」とは?
「アウトバウンドコール業務」は顧客に電話をかけること
電話対応業務を専門に行う施設のことをコールセンターと呼びます。コールセンターの業務における主要な二つの業務は、「アウトバウンド」と「インバウンド」と呼ばれる業務です。アウトバウンドは「架電業務」「発信業務」、「インバウンド」は「受電業務」とも言います。また電話をかけることをアウトバウンドコール、電話を受けることをインバウンドコールと言います。
「アウトバウンドコール」は、セールスを目的とした電話営業だけでなく、顧客へのフォローのための電話や市場調査などの目的で行う業務もあります。相手にとっては突然の電話であるため、嫌がられないようにするためのトークマニュアルや、効果的に業務を行うための事前準備が大切になります。
顧客から電話を受けるのは「インバウンドコール業務」
顧客からの問い合わせやクレーム対応などを行うのが「インバウンド」です。インターネットの発達にともない、電話とあわせてインターネットメールやチャットなどでのインバウンド対応も行います。
マーケティング用語の「アウトバウンド」とは?
「アウトバウンドマーケティング」はプッシュ型のマーケティング
マーケティング用語としての「アウトバウンド」とは、見込み客や顧客に対して「プッシュ型」の営業やアプローチを行うマーケティング施策のことです。アウトバウンドマーケティングとも称します。
プッシュ型アウトバウンドマーケティングとは、テレビやラジオのCMや、DM(ダイレクトメール)での販促、テレマーケティングでの営業など、企業主体でユーザーに情報を届ける手法です。双方向ではなく、企業側からの一方的な情報発信が特徴です。
反対の「インバウンドマーケティング」はプル型のマーケティング
アウトバウンドとは反対に、「プル型」のマーケティング手法を「インバウンドマーケティング」と呼びます。検索エンジンやソーシャルメディアなどから自社メディアへ誘導するプル型のWebマーケティングが、現在は不可欠になっています。
「アウトバウンド」「インバウンド」双方を効果的に施策することが大切
「プル(Pull)」とは「引く」、「プッシュ(Push)」とは「押す」という意味です。マーケティングでは、どちらか一方だけでなく、双方を効果的に施策することが大切です。
観光用語の「アウトバウンド」とは?
海外への旅行客や海外旅行のことを「アウトバウンド」と呼ぶ
観光用語としての「アウトバウンド」とは、「アウトバウンドツーリズム」の略語で、日本国内から海外への旅行客、または海外旅行のことを言います。観光事業におけるアウトバウンドのターゲットは日本人です。
海外からの訪日外国人旅行客は「インバウンド」
「アウトバウンド」とは逆に、海外からやってくる「訪日外国人旅行者」や「訪日外国人向けの観光事業」のことを「インバウンド」と呼びます。「インバウンドツーリズム」の略語です。観光事業におけるインバウンドのターゲットは訪日外国人観光客です。
訪日観光客は近年増え続けており、海外旅行に行く日本人数を訪日観光客数が超えた2015年以降から、メディアで「インバウンド」の言葉がよく聞かれるようになりました。
まとめ
「アウトバウンド」とは、外に出ていくという意味の英語「outbound」を語源とするカタカナ語です。対義語は、外から中に入るという意味の「インバウンド」です。業界によって、違う意味で使われています。
「アウトバウンド」は主にマーケティング用語やコールセンター用語で使われます。アウトバウンドマーケティングは、以前はユーザーに一方的に電話をかけるテレマーケティングやダイレクトメールが主流でしたが、近年はユーザーから見つけてもらい、選択を促すインバウンドのWebマーケティングと組み合わせて行うことが主流となっています。
訪日外国人観光客を意味するインバウンドの言葉が多く使われるようになった2015年前後からは、市場を比較する際などに対義語として「アウトバウンド」の観光用語も使われるようになりました。本来は「アウトバウンドツーリズム」であるところを略して使われています。
略語の「アウトバウンド」にはいろいろな意味がありますが、日本独自のカタカナ語として使われているため、英語の「outbound」とは意味が異なります。特に、外来語は略したり、違う意味に発展していくことも多いため、新しい外来ビジネス語は積極的に意味を調べるようにするとよいでしょう。