「トップダウン」の意味・思考とは?関連語の使い方や反対語も解説

企業の経営体制などを表す言葉のひとつに「トップダウン」というカタカナ語があります。この「トップダウン」の詳しい意味や使用例を紹介します。「トップダウン」の対義語として用いられる「ボトムアップ」や、「トップダウン処理」「トップダウンアプローチ」など関連用語とあわせてみていきましょう。



「トップダウン」の意味とは

「トップダウン」とはどういった意味の言葉なのでしょう。

「トップダウン」は「上層部が意思決定し下部組織に指示する」体制

「トップダウン」は、企業や組織などで「上層部が意思決定を行い、その指示を受けた下部組織が実行する」という体制のことです。経営者や幹部の決断が下部組織に速やかに伝わり、その指示通りにスタッフが行動し業務を進めるのが「トップダウン」と呼ばれる管理体制です。

「トップダウン」は日本語で言うと「上意下達」

「トップダウン」を日本語で表すと「上意下達(じょういかたつ)」という表現が適切です。「上意下達」は、「上の者の意思(命令や考え)を下の者に伝達する」という意味の四字熟語です。

ただし、「トップダウン」がカタカナ語として定着していることもあり、「トップダウン」という言葉を耳にすることが多いかもしれません。なお、「じょういげたつ」という読みは誤りで、「じょういかたつ」というのが正しい読み方です。

「トップダウン」の使い方や使用例文

「トップダウン」という言葉は、どう使うのが正しいのでしょう。その使い方を例文とともに紹介します。併せて、心理学や投資運用、ソフトウェアなど会社経営以外の使用例も記載します。

「トップダウン」は会社の経営体制・営業体制に対して使う

「トップダウン」は会社の経営や営業方針などを表す言葉として用いられます。たとえば、

  • あの会社は、トップダウンで決定スピードが速いのが特徴だ
  • トップダウンで成功を収める会社も少なくはない

といった表現が可能です。また、社長など経営陣からの指示だけでなく、「上司からの指示で行動する」というニュアンスで現場の体制においても使うことができます。たとえば、

  • 当社では、入社一年目はトップダウンで仕事をしてもらう

といった使い方です。

経営手法として「トップダウン方式」と称することも

経営方針・体制を表す表現では、「トップダウン方式」という使い方もよく用いられます。例えば、次のような使い方です。

  • トップダウン方式の経営手法が功を奏し、短期間で大幅な利益を生み出した
  • 中小企業ほど、トップダウン方式が多い

いずれも、経営陣や上層部に決定権があるような経営システム・体制を意味します。

「トップダウン処理」は心理学用語のひとつ

「トップダウン」という言葉は、経営以外でも心理学用語として用いられることがあります。それが「トップダウン処理」です。

「トップダウン処理」とは、物後をと見た際に、知識や期待に応じて「見当をつける」ような情報処理・認知的処理を意味します。たとえば、何か動くものを見た際に、「今横切ったのは猫だろう」と自らの知識や期待をもとに見当をつけるのが「トップダウン処理」と呼ばれる認知的処理です。「トップダウン処理」は「概念駆動型処理」とも呼ばれます。

「トップダウンアプローチ」は投資・運用手法の一種

投資信託などでは、ポートフォリオ(資産配分比率、またはそれに応じた具体的な金融商品内訳)を構築する際の手法のひとつとして「トップダウンアプローチ」という言葉があります。

「トップダウンアプローチ」では、個別の銘柄を選択する前に、経済動向の分析などマクロな視点から入り、まず、どのような国・地域の資産に配分するかを決定します。その後、その資産配分の中で業種を絞り、最終的に個別銘柄を絞る、というのが「トップダウンアプローチ」です。

マクロな視点から順にミクロな視点へと移るアプローチであることから、「トップダウン」の名がついています。

「トップダウンテスト」はソフトウェアのテスト手法

「トップダウンテスト」とは、ソフトウェアやシステムのテスト方法のひとつです。最上位のモジュールから順にテストしていく手法で、システムの中枢部にバグがある場合などに早期発見できるというメリットがあります。

「トップダウン」と「ワンマン」の考え方(思考)の違い

経営手法を表す言葉として用いられる「トップダウン」には、、似た意味の言葉に「ワンマン」が挙げられます。この二つの言葉にはどのような違いがあるのでしょう。

「ワンマン経営」は自分の思考にとらわれた独裁的経営

経営に関して「ワンマン」という場合は、主に、一人の経営者が他の人の意見を聞かず、一人の判断で経営を行う、いわば「独裁的経営」を意味します。「ワンマン経営」では、営業や業績だけでなく、人事異動や人事考課などにも関与し、独断的な意見を述べるケースも多いようです。

そのため、経営者に社員全員が振り回され、従業員の不満がたまりやすいのも特徴です。また、経営者以外の管理職や上層部の権限も限定的という特徴もあります。

「トップダウン」は権限に見合う判断力が前提

一方、「トップダウン」の場合は、経営者など上層部が支持を出すという点では変わりありませんが、上に立つ人の常識的な判断能力を前提としています。

「ワンマン経営者」はその人の思考や考えにのみ基づく判断であるのに対し、「トップダウン」は経営者としての筋の通った判断・支持であるというのがポイントです。裏を返せば、「トップダウン方式」のつもりでも、経営者のひとりよがりな考えが先行すると、「ワンマン経営」と称されることもあります。

「トップダウン」は常識的判断、「ワンマン」は自分勝手な判断と例えると、分かりやすいかもしれません。

「トップダウン」の反対語

続いて、「トップダウン」の反対語を紹介します。

「トップダウン」の対義語「ボトムアップ」

「トップダウン」の対義語は、「ボトムアップ」です。「ボトムアップ」とは、「下位組織から上位職への発議を受けて意思決定が行われる体制」のことです。もう少し端的に言うと、上に立つ人(上長・管理職)が判断を下す際に、実務担当者や現場のスタッフの声を聴き、意見や要望を反映させるやり方が「ボトムアップ」です。日本語では「下意上達」とも表現されます。

その柔軟な姿勢や個々の意見を大切にする姿勢は現代社会で好まれる一方で、判断までに時間がかかること・責任の所在が不明瞭になりがちなことがデメリットとして挙げられます。

両者のバランスをとった「ミドルアップダウン・マネジメント」

「トップダウン」と「ボトムアップ」にはそれぞれメリット・デメリットが存在するため、一概にどちらがよいとは言い難いものです。そこで唱えられたのが、両者のバランスをとった経営手法「ミドルアップダウン・マネジメント」です。

経営者の判断(トップダウン)を部下に的確に伝える一方で、現場の意見や提案を経営陣に進言するのが「ミドルアップダウン・マネジメント」のポイントで、いわゆる「中間管理職」の手腕が問われるやり方でもあります。

まとめ

「トップダウン」とは、「社長など上層部の意思決定を下位組織が速やかに実行する」という経営方針・管理体制のことです。対義語の「ボトムアップ」とともに、しばしば企業体制に関する話題で用いられます。ビジネスワードとしてはこの意味での使用が最も多いのですが、「トップダウン」を使った言葉はほかにもあります。これを機に併せて覚えておくのもおすすめです。