「契約社員」とは?正社員との違いや特徴・無期雇用についても

雇用形態のひとつに「契約社員」がありますが、「契約社員」とは具体的にどういったスタッフを指すのでしょう。「契約社員」の特徴をはじめ、正社員や派遣社員、パートなど他のスタッフとの違いについて詳しく解説します。「契約社員」の「無期雇用(無期転換)」についても触れていますので、参考にしてみてください。

「契約社員」とは?

「契約社員」とは”労働契約に期間が定められた社員”

「契約社員」とは、“労働契約であらかじめ雇用期間が定められた社員”を指します。この「雇用期間」は個々の契約によって異なり、半年の場合もあれば3年(年齢・職種によっては最長5年)という場合もあります。

「契約社員」は雇用期間の満了を迎えると契約の更新が繰り返されるケースも多いのですが、「必ず契約が更新される」という保証はありません。そのため、不安定さが大きな特徴です。

「契約社員」でも「無期雇用」に転換可能

雇用期間に定めがあるのが「契約社員」の大きな特徴ですが、労働契約を更新し通算5年を超えた場合、期間に定めのない「無期労働契約(無期雇用)」に転換することも可能です。ただし、雇用期間が通算5年を超えた場合に自動的に「無期雇用」に代わるのではなく、法律上の「無期労働契約への申込み権利」を得たにすぎません。

「無期雇用」へと転換を希望する場合は、企業側と交渉し、必ず「無期雇用」に転換後の労働条件を確認した上で、雇用契約を結ぶ必要があります。

「契約社員」の特徴とは?

「契約社員」という雇用形態には、契約期間以外にどのような特徴があるのでしょう。給与や賞与、福利厚生などそれぞれの特徴を紹介します。

給与は時給制から月給・年俸制まで様々

「契約社員」の給与体系は、時給制から月給制、年俸制まで様々です。基本的には、企業側が給与体系を決めます。いずれの給与体系でも、時給換算した場合に、都道府県ごとに定められた「最低賃金」を上回っていることが条件です。

ボーナスはあっても少額、退職金はなし

「契約社員」の場合、「正社員」のようにボーナス(賞与)があるわけではありません。仮にボーナスがあった場合でも少額という例がほとんどです。一方、退職金に関しては、「契約社員」で支払われる場合はまずないと言えるでしょう。

「契約社員」は基本的に副業可能

ボーナスや退職金には期待ができませんが、副業は許可されることが多いのが「契約社員」の特徴です。そのため、「契約社員」として働く傍ら、別のアルバイトをすることもでき、経済的理由やスキルアップなどを理由に副業をする人もいます。ただし、本業・副業ともに支障をきたさないようにするのが最低限のマナーです。

社会保険の加入条件は正社員と同じ

「契約社員」として働く場合の社会保険はどうなるのでしょう。

「契約社員」の場合でも、社会保険の加入条件は正社員と同じです。法律上の労働時間などの条件を満たせば、企業側に加入義務が生じます。企業と労働者が相談の上「加入しない」という選択をすることはできず、法律に従うことになります。

「契約社員」のメリットは融通が効くこと

「契約社員」のメリットのひとつが、働く時間の融通が効くという点です。たとえば、育児のために希望する時間でのみ働きたいという場合にも「契約社員」の制度は便利です。また、雇用期間の満了を迎えた場合にはスムーズに退職することができるので、今後のライフスタイルに合わせて働き方を変えていきたいという人にもおすすめです。

他にも、履歴書の職歴欄に記入できるというのも「契約社員」のメリットでしょう。パートやアルバイトは記載しないのが通例ですが、「契約社員」は職歴欄に書くことができます。

雇用期間の定めが一番のデメリット

一方、「契約社員」のデメリットは、やはり、雇用期間に定めがある点です。「契約満了とともに勤務が続けられないかも」という不安は「契約社員」にはつきものです。ただし、契約期間中であれば、よほどの事情がない限り一方的に解雇されることはありません。

「雇用期間」の定めは「無期契約社員(無期雇用社員)」となることで解消されますが、「契約期間がない=正社員」というわけではありません。正社員と違って昇進や昇給がない・正社員と同じ研修制度は受けられないなど待遇面では正社員に劣ることもしばしばです。

「契約社員」とほかの雇用形態との違いとは?

企業での働き方には、「契約社員」のほかにも正社員やパート・アルバイト、派遣社員などが挙げられます。それぞれ、「契約社員」との違いについて紹介します。

「正社員」との違いは雇用期間の有無と安定性

「契約社員」と「正社員」の違いは、労働契約上の雇用期間の定めの有無です。一般に、雇用期間に定めがあるのが「契約社員」で、期間に定めがないのが「正社員」とされています。

また、雇用期間以外にも待遇面が異なります。「正社員」と「契約社員」は、多くの場合、勤務時間や勤務日は同じですが、「契約社員」は昇給や昇進、ボーナスは通常ありません。「正社員」は部下をまとめるような立場を担う可能性があるのに対し、「契約社員」は勤続年数や経験によらず、補佐的な役割を担うのが一般的です。

「パート」「アルバイト」は短時間勤務の雇用形態

「契約社員」が正社員とほぼ同じ勤務日・労働時間であるのに対し、「パート」や「アルバイト」は短時間勤務での雇用者を指します。「パート」や「アルバイト」は好きな曜日に好きな時間働けるのに対し、「契約社員」は正社員と同様に週休2日・8時間勤務などが一般的です。

なお、「パート」は主婦、「アルバイト」は学生と思われがちですが、両者に法律上の用語の違いはありません。ただし、「パート」はとりわけ、1週間の労働時間が正社員の所定労働時間に比べて短い労働者を指して使われることもあります。

「契約社員」と「派遣社員」は雇い主が違う

「契約社員」と似た働き方をするスタッフに「派遣社員」が挙げられます。「派遣社員」もまた、正社員と同じ労働時間・勤務日で働きながらも、決められた範囲内の業務を担うことの多いスタッフです。この「派遣社員」と「契約社員」の違いは、「雇い主」にあります。

「契約社員」は勤務する企業に雇用されていますが、「派遣社員」は「派遣会社」に雇用されています。実際に勤務する「派遣先企業」とは雇用契約がなく、派遣先との関係は業務上の指示命令のみにとどまるのが特徴です。また、給与の支払いも「派遣会社」が担います。

まとめ

「契約社員」は労働契約時に、雇用期間を定められた社員を指します。勤務日や勤務時間(いわゆる定時)は正社員と同じことが多いのですが、ボーナスや退職金はなく、福利厚生なども異なります。安定性で言えば正社員のほうがメリットが高いように思えますが、子育てやスキルアップを理由に「契約社員」を選ぶ人もいます。