ビジネスでは結果が求められることも多く、よく「期待に応える」という言い方をすることがあります。この「期待に応える」という言葉、どう使うのが正しいのでしょう。類語とのニュアンスの違いにも注目しながら、「期待に応える」の正しい使い方を解説します。
「期待に応える」の正しい意味は?
「期待に応える」とは、そもそもどういった意味なのでしょう。まずはその意味から解説します。
意味は「相手の願う通りの結果を出すこと」
「期待に応える」とは、相手の願う通りの結果を出すことを意味します。「期待」の中身はその時々で異なりますが、相手の望む「期待」通りの状況を作ることやそれに近い状態にするよう努力することを「期待に応える」と言います。
何気なく使う方も多いですが、本来の意味でいうと、相手の期待ありきの表現です。
仕事においては、業績アップを意味することも
相手の「期待」があってこその言い方ではありますが、その一方で、ビジネスにおいては、具体的な「期待」が示されなくても、暗に、売上向上や業績アップを意味して使うこともあります。
仕事では、常に業績や売上の向上が求められるものです。上司の期待=売上や業績における成果というのは暗黙の了解と言えます。そのため、「期待に応える」とは、仕事の前提ともいえる売り上げアップを約束する・コミットするような意味合いとして、使われることもあります。
「答える」or「応える」?正しい漢字は?
「期待に答える」ではなく「応える」
「期待に応える」と文字にする際、答える・応えるの2つの漢字表現で迷うことがあるかもしれません。「答える」は、返答する・回答するといった使い方からも分かるように、呼びかけや質問にこたえる際に使用する漢字です。
一方の「応える」は、何らかの働きかけ(要望や期待)にそった行動をすることを意味します。つまり、「期待に応える」という言い方をする場合には、「応える」のほうが、漢字の意味が合うということになります。
「答える」という書き方が必ずしも誤りというわけではありませんが、「応える」が適切です。
「期待に応える」は使い方・類語
上司や取引先に意欲を示す際にも使える「期待に応える」という表現。その具体的な使い方について解説します。言い換えに便利な類語表現や、間違いやすい類語も紹介していますので、参考にしてみてください。
一般的な使い方は「期待に応えられるよう頑張ります」
先にも少し触れましたが、「期待に応える」という言葉は、「期待に応えられるように頑張ります」という言い方が最も一般的です。「ご期待に応えられるよう精進します」や「期待に応えられるよう尽力します」といった言い方をすることもあります。
ビジネスシーンでは「一生懸命頑張ります!」と言うと、どこか幼稚で頼りなげな印象を与えることもあるため、意欲を示す際の定型句としても、覚えておくと便利です。
類語は「貢献する、力になる」
「期待に応える」という言葉を用いずに意欲を示したいのであれば、貢献する・力になるといった表現が使えます。
たとえば、「売り上げに貢献できるよう尽力します」や「チームの力になります」というような使い方が可能です。いつもの表現とは差をつけたい場合などにも便利な言い方です。
「期待に応える」と「期待に添う」は別物
「期待に応える」と似た言い方に「期待に添う」という表現があります。両者は似ているようですが、微妙にニュアンスが異なります。
「期待に添う」とは、文字からも分かるように、先方の期待に対してぴったりと寄り添うような意味の言葉です。先方の期待に合わせる・従う・受け入れるといった意味合いがあります。
一方の「期待に応える」とは、相手の期待に対してこちらから働きかける、影響を与えるというような積極的な意味合いを含む言葉です。やる気を示すのであればやはり、「期待に応える」という言い方がベターです。
より丁寧な言い方は「ご期待に添えるように」
応えると添うでは厳密にはニュアンスが異なるものの、かしこまったシーンでは「添える」という言葉が使われます。「期待に応えられるように」という言い方は、「ご期待に添えるように」と言い換えるのが丁寧です。
また、丁重な断り方の表現として「ご期待には添いかねます」という言い方をすることもあります。
日本語の紛らわしい部分ではありますが、改まった場では「ご期待に添える」や「ご期待に添う」といった言い方になることは覚えておきたいポイントです。
期待に応える人って実際どんな人?仕事の考え方
「期待に応えられるように」と何気なく使っている人も多いかもしれませんが、実際に「期待に応える人」にはどんな共通点があるのでしょう。仕事に対する考え方について少し触れておきます。
相手の期待値を理解できている人
期待に応えるためには、当然ながら、期待そのものを知る必要があります。相手の望むものが分からないと動きようもありません。
今何を求められているのかという相手の「期待値」や、それに対する自分の役割を理解できている人は、期待に応えることができます。
期待に応えるためには段取りも大切
求められているものが分かったら、次は「段取り」です。期待に応えるためにはどうすればよいのか、やるべきことをリスト化するなどして、段取りよくこなしていくことが大切です。身近なものから始めると、効率よく進めることができます。
期待に応えることに疲れたという人も
ビジネスにおいて期待に応えることは大切ですが、相手の期待に固執することはあまりいいことではありません。期待に押しつぶされてしまったり、過度にストレスに感じたりして、疲れを感じる人もいます。
相手の期待を意識しすぎないことも、期待に応えるための第一歩となります。
まとめ
「期待に応える」とは、相手の求めるモノ(期待)を知り、それに見合った行動をし、結果を出すことです。ビジネスにおいて、期待に応えるとはそう簡単なことではありません。期待に固執しすぎないことも、仕事をしていく上では大切です。