「懲戒処分」とは?その種類と基準・処分後の対応について解説

遅刻や無断欠勤が重なると「懲戒処分」の対象となることがあります。この「懲戒処分」とは、具体的にどういった処分を意味するのでしょう。「懲戒処分」の内容や種類をはじめ、「懲戒処分になったらどうなるの?」といった疑問についても、詳しく解説します。



「懲戒処分」とは?

「懲戒処分」とは、そもそもどういった意味の言葉なのでしょう。まずは言葉の意味から紹介します。

「懲戒処分」の意味は「義務・規律違反に対する制裁処分」

「懲戒処分」とは、「本来果たすべき義務や規律に違反したことに対する制裁処分」のことです。犯罪行為をした場合はもちろん、無断欠勤が続くなど本来の職務上の義務に違反した場合には、「懲戒処分」が下されることがあります。

「懲戒処分」とは就業規則で定めるもの

「懲戒処分」は一般企業の場合、就業規則で定められるべきものです。就業規則では、「第〇条(懲戒の種類と懲戒事由の適用)」として、次のように記載します。

懲戒事由は、以下のとおりとし、情状に応じ、訓戒、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨退職、懲戒解雇に処する。

無断もしくは正当な理由なく欠勤、遅刻、早退を重ねたとき
出退勤時刻にかかる情報の不正をしたり、不正を依頼した場合
刑事事件で有罪の判決を受けたとき
経歴を偽り、採用されたとき
正当な理由なく、業務上の指示・命令に従わなかったとき
(中略)
その他前各号に準ずる程度の不都合な行為のあったとき

上記は一例にすぎず、他にも様々な事由が記載されます。なお、公務員の「懲戒処分」については、国家公務員法や地方公務員法に規定されています。

英語で「懲戒処分」は「disciplinary action」

「懲戒処分」を英語にすると「disciplinary action」となります。「disciplinary 」は、「規律上の」「懲戒の」という意味の言葉です。

「disciplinary action」はやや形式ばった表現で、「disciplinary punishment」とすることもあります。たとえば、次のような表現が可能です。

  • She was subjected to disciplinary punishment.(彼女は懲戒処分を受けた)

「懲戒処分」の種類

「懲戒処分」というと真っ先に「懲戒解雇」、つまり「クビ」をイメージされることも多いですが、事案の程度により「懲戒処分」にも段階があります。

戒告(かいこく)・譴責(けんせき)

「懲戒処分」の中でも、最も軽いのが「戒告」や「譴責」です。いずれも「労働者に反省を求め、将来に向けて戒める処分」を指します。

「戒告」は口頭での注意にとどまりますが、「譴責」は書面での反省が求められる点で異なります。「始末書」が「譴責」の代表例といえるでしょう。

減給

「減給」とは、給料が減額されることですが、もう少し詳しく言うと、「本来受け取るべき給料の一部を差し引く処分」のことです。この「減給」に関しては、「平均賃金の一日分の半額を超えてはならない」などといった法律上の規制があります。

ただし、欠勤や遅刻における給与控除は、働いていない分を差し引いたにすぎず、「減給」には該当しません。

出勤停止

「出勤停止」は、「一定期間、就労を停止する処分」のことです。出勤停止期間は、一週間から一か月程度ということが多く、その間の賃金の支給はありません。また、労働契約は維持されますが、勤続年数にはカウントされないことが多いのも特徴です。

なお、同じ「出社しない」措置でも、「自宅待機」は業務命令に該当し、懲戒処分には該当しません。

降格

「降格」とは、役職や職位を引き下げる処分のことです。「懲戒処分」としての「降格」では、就業規則の懲戒事由に該当するだけでなく、懲戒権や人事権の乱用に当たらないかどうかの審査が行われます。

諭旨退職・諭旨解雇

「論旨退職(論旨解雇)」とは、労働者に退職届の提出を勧告し、退職届が出された場合に「依願退職」として扱う処分を指します。定められた期間内に退職届が確認できなかった場合には、「懲戒解雇」となるのが通例です。

なお、企業によっては、「論旨退職」と「論旨解雇」を明確に区別する企業もあり、「論旨退職」の場合は退職金を全額支給、「論旨解雇」では減額、あるいは全額カットという例もあるようです。

懲戒解雇

「懲戒処分」の中でも最も重いのが「懲戒解雇」です。「懲戒解雇」は文字通り、「懲戒処分」としての解雇を指し、一般的な「解雇」とは区別して使われます。

「懲戒解雇」では、退職金の一部あるいは全額が支払われないケースが多いでしょう。特に、これまでの会社への貢献を抹消するほどの背信行為があったとみなされた場合に退は、職金にも影響が出るのが通例です。

公務員の「懲戒処分」は?

一般企業のおける「懲戒処分」が就業規則によるものであるのに対し、公務員の「懲戒処分」は法律に定めがあり、その内容も異なります。

公務員の懲戒処分は4種

公務員の「懲戒処分」は、戒告・減給・停職・免職の4種類です。戒告と減給は先述した通りで、「停職」とは、一定期間職務に就くことができず、かつ、給料も支給されない処分を指します。一般企業の「出勤停止」と同等です。

公務員の「懲戒処分」で最も重いのが「免職」で、いわゆる「懲戒解雇」に該当します。公務員としての身分を失わせることが「免職」です。

公務員の「懲戒処分」は細かい指針あり

公務員の「懲戒処分」は、その適用に関して細かい規定があるのが特徴です。たとえば、「休暇の虚偽申請」に対しては戒告あるいは減給、のように、人事院によって「懲戒処分」決定に関する細かい指針があります。

参考:人事院 「懲戒処分の指針について」

「懲戒処分」を受けるとどうなる?

「懲戒処分を受けた」という事実は、場合によっては、退職金やその後の転職活動にも影響を及ぼす懸念があります。

退職金の有無は就業規則による

「懲戒解雇」となった場合の退職金については、就業規則や退職金規定に、「懲戒解雇の場合には退職金は不支給とする」あるいは「減額する」と明記されているはずです。

併せて、「懲戒解雇」となった事由によっても異なります。ポイントは、「これまでの貢献を打ち消すほどの不正があるかどうか」です。たとえば、会社員の万引きは犯罪行為ではありますが、これまでの企業への貢献や業務姿勢を打ち消すものではないので、減額して支給される可能性が高いです。

転職後の影響は?

まず、「懲戒処分」は、履歴書の「賞罰欄」に記載する義務はありません。職歴欄にも、「懲戒解雇」ではなく「会社都合により退職」などと書く人が多いようです。

「懲戒解雇」であることが転職希望先に知られてしまうと、心象を悪くしてしまうため、できるだけ知られたくないのが本音でしょう。しかし、虚偽の申告は「経歴詐称」となることもあります。履歴書では「会社都合により退職」でもよいのですが、面接では「懲戒解雇」であったことを正直に伝えるのがベターです。

警察や教員などの公務員は公表されることも

一般企業の場合は、犯罪行為でニュースにならない限りは公表されることはまずありませんが、公務員の場合は、公表される場合もあります。この「懲戒処分の公表」に関しても、人事院における指針が定められています。

この指針によると、公表する場合でも、「人が識別されない内容のものとすることを基本として」と明記されています。

まとめ

「懲戒処分」とは、「本来果たすべき義務や規律に違反したことに対する制裁処分」のことで、一般企業の場合は、各社の就業規則に従って運用されます。「懲戒処分」と一口に言っても、戒告から懲戒解雇まで段階があり、またどういった事由に適用されるのかも企業の就業規則で定めなければなりません。就業規則に定めのない処分は適用できませんので、企業側はもちろん、労働者もしっかりと目を通しておくことが大切です。