「身元保証書」とは?書式や必要性・身元保証人の選び方も解説

企業に入社する際に「身元保証書」の提出を求められることがあります。「身元保証書」にはどのような役割があるのか、また「身元保証人」は誰にすべきか?本人との関係は?など、「身元保証書」の具体的な記入例・類語とともに解説します。

「身元保証書」とは?

「身元保証書」は社会的に信用できる人物であることを示す書類

「身元保証書」の意味は、「社会的に信用できる人物であることを示す書類」です。一般に、企業が提出を求める「身元保証書」は「人物保証」の目的で提出させる企業が多いです。

一方、「損害賠償」に関しては限定的で、「身元保証人」が請け負う額は部分的と言われています。「身元保証書」に署名した以上、契約上の責任は発生するものの、「身元保証人」からその全額を回収できる可能性は低いというのが通例です。

「身元保証書」は人物保証と損害賠償が目的

企業の入社時やビザの申請時などに提出が求められる「身元保証書」には、「人物保証」と「損害賠償」の主に2つの目的があります。

「人物保証」とは、その人の素性に問題がなく、社員として適切な人物であることの保証を意味します。「損害賠償」とは、その人が会社に損害を与えた場合に賠償するという意味です。いずれの場合も、「身元保証書」にサインをした「身元保証人」がその責任を負うことになります。

「身元保証人」の選び方とは?

「身元保証人」は親や妻が一般的

「身元保証書」に記載する「身元保証人」は、親や妻(配偶者)などの親族が一般的です。この「身元保証人」の範囲については、就業規則で定められていて、誰を認めるかは企業によって異なります。中には配偶者は「身元保証人」として認めないケースもあるため、予め確認が必要です。

「身元保証人」は収入があることが望ましい

「身元保証人」は、収入があり、独立して生計を立てていることが条件とされる場合が多いのが特徴です。また、独立生計であっても、年金のみで生計を立てる人は「身元保証人」として認めない企業もあります。

そのため、親が年金収入のみという場合は、そのほかの親族(祖母や叔父叔母、社会人のきょうだい)に「身元保証人」をお願いすることになるでしょう。

「身元保証人」の「印鑑証明書」が求められることも

「身元保証書」では、「身元保証人」となった人に実印の押印および「印鑑証明」の提出を求める場合があります。これは、「身元保証人」となることを本人が承諾していることを証明するためです。実印を使用していても、「印鑑証明」がない場合は受理されないケースも考えられます。

「身元保証書」は誰が書く?書式と記入例とは?

「身元保証書」の書式

身元保証書

この度、下記の者(本人)が貴社に採用されるにあたり、身元保証人として、本人が貴社の就業規則および諸規則を遵守し、誠実に勤務することを保証いたします。

つきましては、万一本人が貴社の就業規則および諸規則を遵守せず、もしくは規律を乱し、故意又は重大な過失により貴社に損害を与えた場合は、本人にその責任をとらせるとともに、身元保証人として誠実に賠償の責任を負うことを誓約いたします。

令和 年  月  日

<本人>
氏   名:              印
現 住 所:
生年月日:

<身元保証人>
氏   名:              印
現 住 所:
生年月日:
本人との続柄:

身元保証書の日付は提出日に合わせるのが通例

「身元保証書」に記載する日付は、提出日に合わせるのが一般的です。入社日に持参する場合は、入社日を記入しても問題はありません。

「身元保証人」欄は直筆、代筆は不可

「身元保証書」には、提出者本人の署名と身元保証人の署名の2つが必要です。それぞれ、直筆が必須で、代筆することはできません。

「身元保証人」が遠方に住んでいる場合には、郵送の上、署名・押印してもらうようにお願いします。もし、代筆した場合は「文書偽造」の罪に問われることもあります。代筆が発覚した場合は、企業側の心象もよくありませんので、「身元保証人」本人にサインを依頼しましょう。

提出者本人と身元保証人の印鑑は違うものを

「身元保証書」には捺印が必要です。「本人」欄の印鑑は認印でも問題ありません(シャチハタの使用は不可です)。「身元保証人」には、実印および印鑑証明が求められることが多いため、確認の上捺印するようにしましょう。

なお、いずれも認印でよいという場合でも、印鑑の共有は避けるのがマナーです。印鑑には、了承・同意・確認などの意思を示す役割があるため、その共有は不適切です。

「身元保証書」の英語訳とは?

英語で身元保証書は「identification reference」

英語で「身元保証書」を意味する表現は、「identification reference」です。他にも、「fidelity bond」や法律用語として用いられる「letter of guarantee」も「身元保証書」の意味があります。

また、「身元保証人」には「reference」を使用します。たとえば、「Would you be my reference?(私の身元保証人になってもらえますか?)」や「I need references(身元保証人が必要だ)」などといった使い方が可能です。

まとめ

「身元保証書」は入社時に提出する書類のひとつとして広く用いられています。その人物が信用に足るもの者と保証する役割の他、入社後の損害賠償の意味もあります。「身元保証書」に記載する「身元保証人」は親族に依頼するのが一般的ですが、もし該当する親族がいない場合には速やかに企業に相談しましょう。柔軟な対応をしてもらえるはずです。