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「派遣社員」とは?その特徴・種類と給料・契約期間の実態も

「派遣社員」とは、「派遣会社と契約し派遣先企業で働くスタッフ」のことです。不況のあおりを受けた「派遣切り」がニュースとなったこともありますが、「派遣社員」としての働き方にはどのような特徴があるのでしょう。「派遣社員」として働くことのメリット・デメリットと併せて、給料や契約期間などの実態にも迫ります。

「派遣社員」とは?

「派遣社員」の意味は”派遣会社と契約し派遣先企業で働く労働者”

「派遣社員」の意味は、“派遣会社と労働契約を結び、派遣先企業で働く労働者”のことです。たとえば、雇用契約は派遣会社Aと結び、就業先は商社B(商社Bに派遣されて働く)というのが派遣社員です。

「派遣社員」は、派遣会社に登録し、仕事を紹介してもらうという「登録型派遣」が一般的です。

正社員やアルバイトとは雇用元が違う

「派遣社員」の雇用元は労働契約を結んだ「派遣会社」です。一方、正社員やアルバイト・パートはいずれも勤務する会社と雇用関係にあるのが通例です。「派遣社員」の場合は勤務先ではなく、「派遣会社」と雇用関係にあるという点が大きく異なります。

「派遣社員」の特徴とは?

「派遣社員」の仕事は一般事務・システム開発など

「派遣社員」の仕事は、工場勤務から事務、システムの開発まで多岐にわたります。東京都産業労働局の「平成30年度 派遣労働に関する実態調査」によると、「派遣社員」(派遣労働者)の受け入れで最も多いのが一般事務(55.8%)と半数以上を占めています。さらに、情報処理システム開発(9.5%)、財務処理(6.7%)と続きます。

派遣契約期間は6か月~1年未満が多い

「派遣社員」として働く場合、有期雇用契約となるため、原則として契約期間に定めがあります。中でも多いのが半年~1年未満とする契約で、中には1年以上とする例もあるようです。

「派遣社員」としての契約は、契約満了で終了となる場合もあれば、契約更新としてさらに勤務を続けるケースもあります。ただし、法律で「同一の企業で3年以上勤務できない」と定められていますので、同じ組織で働けるのは最長でも3年となります。

専門性が高いほど時給・年収も高い

「派遣社員」は時給制が一般的です。先の調査によると、「一般事務」の平均時給は2105円との結果が出ています。ただし、これはあくまでも平均で、1200円程度のものから、1600円程度のものも目立ちます。

また、派遣社員の経験やスキル、求められる業務によっても時給は異なります。特に、システム開発などの専門性の高い業務に関しては、さらに時給が高い傾向にあるのが特徴です。

副業は「派遣社員」としての業務に支障がなければOK

「派遣社員」の場合は、副業をする人も中にはいます。派遣会社との契約で「副業」が禁止されていなければ、問題はありません。ただし、「派遣社員」としての就業に支障がない範囲にとどめるのがマナーです。

参考:東京都産業労働局「平成30年度 派遣労働に関する実態調査」

「派遣社員」のメリットとは?

メリット①ワークライフバランスを重視しても働きやすい

「派遣社員」はライフスタイルに合った働き方、理想に合う働き方が実現しやすいのが大きなメリットです。
「派遣社員」の仕事内容は、派遣会社と派遣先企業の間で細かく定められているため、契約にない業務をすることはまずありません。そのため、仕事内容が事前に吟味しやすく、理想の職場が探しやすいのです。残業時間も概ね契約通りに管理されるので、ワークライフバランスも重視しやすいのも特徴です。

メリット②未経験の仕事にもチャレンジしやすい

「派遣社員」にはごく限られた業務のみ依頼するのが一般的です。そのため、未経験者を歓迎する求人も多く、販売職から事務職へとチャレンジしたいという人でも就業しやすいというメリットが挙げられます。

メリット③派遣会社からのサポートが得られるのもポイント

「派遣社員」として就業すると、派遣会社から「担当者」が付きます。勤務初日の同行や派遣先企業での困りごとや働き方の相談といった様々なサポートをしてくれます。

派遣会社によっては、スキルアップのためのセミナー・研修制度を用意するところもあります。未経験からチャレンジしたい人は特に、こうした制度・サポートがメリットとなります。

「派遣社員」のデメリットとは?

デメリット①雇用・給料が不安定である

「派遣社員」の一番のデメリットは、雇用が不安定であるという点でしょう。「派遣社員」は、契約が更新されず、契約期間の満了をもって終了となることもあります。もちろん、派遣会社は次の仕事を紹介してはくれますが、すぐに決まるとも限りません。

また、契約のたびに給料が変わる可能性もあります。特に、間をあけずに働きたいという場合は、給与を妥協せざるを得ない場合もあるでしょう。

こうした「仕事がなくなる」という不安や「給与が途絶える」というリスクは「派遣社員」にはつきものです。

デメリット②交通費・ボーナスがないのが一般的

「派遣社員」の場合、通勤交通費が支給されない、あるいは部分的にしか支給されない、というケースも多々あります。また、ボーナス(賞与)もありません。これは、業務の専門性を問わず、登録型派遣の通例です。そのため、正社員に比べ月給・年収は下がります。

「派遣社員」の種類とは?

「登録型派遣」が一般的

一般に「派遣社員」と呼ばれるのは、「登録型派遣」のことです。「登録型派遣」とは、まず求職者が派遣会社に登録し、その登録者の中から派遣先企業に合う人を紹介するというシステムです。

「登録型派遣」では、登録者の派遣先が決まり「派遣契約(派遣会社と派遣先企業間の契約)」が成立した後に、雇用契約を締結します。登録者・求職者の段階では、雇用契約が発生していないのが特徴です。また、派遣先企業での就業期間が終了すると、雇用契約も解消となります。

正社員として直接雇用を目指す「紹介予定派遣」

「登録型派遣」で扱われる求人のうち、派遣会社と派遣先企業の契約が終了した後に、派遣社員がそのまま正社員(契約社員)として直接雇用となることを前提とした求人を「紹介予定派遣」と言います。「紹介予定派遣」の派遣期間は最長6か月で、派遣先企業・派遣社員(労働者)の双方の同意をもって直接雇用となります。

企業・労働者ともに見極めの期間があること、また「派遣社員」という不安定な状況から抜け出せるチャンスとして「紹介予定派遣」は人気を集める求人です。

期間に定めのない「無期雇用派遣」

「無期雇用派遣」とは、派遣会社と労働者が無期雇用契約を結ぶ仕組みのことです。「あらかじめ派遣会社の基準で試験に通った人物を採用し、派遣先企業に派遣する」というのが「無期雇用派遣」です。

無期雇用派遣の大きな特徴は月給制で、派遣先企業の有無にかかわらず毎月給料が支払われるという点です。派遣先企業を探している間は、派遣会社での仕事に当たることもあり、「仕事がない」といった事態を防げるのが大きな特徴です。

「労働契約法」の「5年ルール(同一の使用者の下で通算5年を超えて勤務した場合に無期雇用への転換の申告が可能)」などを経て「無期雇用派遣」となるほか、派遣会社の「無期雇用派遣」の求人に応募することでも可能です。

まとめ

「派遣社員」とは、派遣会社と雇用契約を締結し、派遣先企業で就業する人の総称です。その仕事内容・期間は様々で、ワークライフバランスに合った働き方として「派遣社員」を選ぶ人もいます。一方で、契約期間には定めがあるのが原則で、契約終了と同時に職を失う可能性がある、という不安定さを伴うのも特徴です。ライフスタイルに合わせたメリット・デメリットの熟考が求められます。