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「お待ちしております」は敬語としてOK?ビジネスで役立つ例文も

「ご来店心よりお待ちしております」というフレーズは、飲食店やスーパー、百貨店などあらゆるところで見聞きします。今回は、この「お待ちしております」という表現の使い方について、例文を用いて紹介します。メールの返信が欲しい時に便利な言い回しや、英語表現もぜひ参考にしてみてください。

「お待ちしております」の意味は?

「お待ちしております」には、文字通り「待つ」という意味があり、ビジネスで幅広く使える表現です。その意味について、もう少しかみ砕いて解説します。

「お待ちしております」は「待っている」の丁寧な表現

「お待ちしております」とは、待っているの丁寧語で「待っています」という意味です。人や物が来ることを望んでいる、という意味を含みます。

「お待ちしております」と似た表現に、「お待ちしています」があります。この「お待ちしています」より、「お待ちしております」のほうが丁寧な言い方です。

「お待ち申し上げております」がなお丁寧

「お待ちしております」をさらに丁寧にすると、「お待ち申し上げております」となります。接頭辞の「お」と謙譲語「申し上げる」、さらに謙譲語「おります」を用いた、敬意の強い表現です。

「お待ち申し上げております」は、謙譲語が2つ続く「二重敬語」ではありますが、ビジネスシーンでは問題なく使用されています。そもそも、二重敬語とは「丁寧すぎる」印象が嫌われタブーとなるわけですが、「お待ち申し上げております」に関しては、慣習的に問題なく使用可能です。

「~申し上げております」という表現は、口頭では仰々しさを感じさせることもあるため、どちらかというと文書やメールを中心に使用されています。口頭では、「お待ちしております」という表現でも十分です。

「お待ち致しております」とは言わない

一方、「お待ち致しております」という表現は誤りです。「お待ちしております」を分解すると、「お待ちする+いる」になりますが、「お待ち致しております」は「お待ちする+致す+いる」となり、言葉の並びが不自然です。

「お待ち致しております」という言い方は、正しい敬語のように聞こえますし、誤りと認識されずに使用されることもあります。しかし、厳密には間違った言い方ですので、使用しないのが無難です。

「お待ちしております」の使い方・例文集

「お待ちしております」という言い方は、使用されるシーンによっても使い方が異なります。代表的な使用例を例文で紹介します。

接客シーンで多い「ご来店お待ちしております」

デパートの閉店アナウンスなどでは「またのご来店をお待ちしております」といったフレーズは常套句です。ほかにも、企業イベントや展示会の案内では、「ご来場お待ちしております」という言い方をすることもあります。

このように、「お待ちしております」の前につける言葉を変えることで、使い方は様々です。打ち合わせの日程確認などでは、日時を付け加えることもあります。

たとえば、「弊社東京オフィスにてお待ちしております」や「6月13日、13時にお待ちしております」という言い方も可能です。この場合、ただ日時を確認するという意味だけでなく、その時を心待ちにしている・楽しみにしているといった歓迎のニュアンスも入ります。

「心よりお待ちしております」も使いやすい

より歓迎の意を強くするのであれば、「心よりお待ちしております」という表現も便利です。

「心より」とは、心の底、つまり、深くそう思っているという意味です。そのため、「ご来店心よりお待ちしております」というのは、「来店してくださることを、深く(強く)望んでいます」といった意味になります。

接客シーンでは好んでつかわれていますので、先に紹介した「ご来店お待ちしております」とセットの表現として覚えておくのもおすすめです。

「ご連絡お待ちしております」はメールでも便利

こちらから何か問い合わせをし、回答がほしい場合には「ご連絡お待ちしております」という使い方ができます。

「ご連絡ください」というと、連絡を義務化するようなニュアンスが含まれますが、「お待ちしております」ではその強制のニュアンスが薄れます。急ぎではない場合には、「ご連絡をお待ちしております」が無難な表現で、相手に不快感を与える懸念も少ないのが特徴です。

「お待ちしております」を英語でいうなら?

「お待ちしております」を使った上記のような表現を英語ではどういえばよいのでしょう。ビジネスでもよく使われる「ご連絡お待ちしております」は、「I’m looking forward to you reply」という表現が一般的です。メールでもよく使用される丁寧な言い方で、幅広く使うことができます。

他にも、メールの文末に使用されるようなフレーズでは、「I await your reply」も少し丁寧な表現です。「We are looking forward to hearing from you」も「ご連絡お待ちしております」という意味です。

「ご来店お待ちしております」とするのであれば、「We look forward to your visit」という表現もよく使われます。直訳すると、「あなたの訪問を楽しみにしています」となり、ご来店・ご来場など幅広く使うことができる便利な表現です。

「心より」と付け足すのであれば、文末に「sincerely」を加えます。「We look forward to your visit sincerely」や「We’ll be waiting for your visit sincerely」といった具合です。

【付録】ビジネスメールで返信を待つ方法

メールのやり取りの中で、「返事がほしい」と依頼する際に使えるフレーズは他にもあります。便利な言い回しですので、ぜひ使ってみてください。

「ご連絡をお願いいたします」という表現を使う

「ご連絡お待ちしております」という表現は、強制のニュアンスは薄いのが特徴ですが、「返事がほしい」という意思を強く示すのであれば、「ご連絡をお願いいたします」という表現がベターです。

語尾に謙譲の表現を持ってきて、「ご連絡くださいますようお願い申し上げます」とすると、より丁寧な表現になります。

「ご連絡」の部分を言い換える

「ご連絡」の部分を、「ご回答」「ご返信」「ご返答」などに変えることで、活用シーンはさらに広がります。

「ご回答」と「ご返答」は似た意味の言葉ですが、厳密には少し意味合いが異なります。「返答」は問いや呼びかけに対する答えで、「回答」は質問や要求に答えるという意味です。そのため、使用シーンにもそれぞれ以下のような違いがあります。

  • ご返答:口頭でのやり取りに使われることが多い
  • ご返信:メールや文書のやり取りに使われることが多い
  • ご回答:問い合わせに使うことが多い

いずれも、「お待ちしております」と一緒に使える言葉ですので、覚えておくと大変便利です。

まとめ

「お待ちしております」はそのままでもビジネス敬語として通用します。人が来るのを待つだけでなく、メールや連絡など、物に対しても使える大変便利な表現です。いくつかのパターンを組み合わせ、マンネリ化しないようにすると、コミュニケーションスキルもひとつレベルアップします。ぜひ参考にしてみてください。