「見識」の意味や使い方は?「識見」「知見」との違いや例文も紹介

「見識を持つ」や「見識を深める」とは、どういった意味の言葉なのでしょう。「見識」の詳しい意味やよくある使い方を例文で紹介します。

また、「見識」には類語が多いため、似た意味の言葉の「識見」や「知見」「有識者」などとの違いについても解説します。

「見識」の意味とは?

「見識」の意味は”優れた判断力・確かな考えや意見”

「見識」の意味は、“物事を見通し、本質をとらえるような優れた判断力”です。また、「優れた判断力から得られるしっかりとした考え・意見」という意味も持ちます。周囲の人を納得させるような意見・結論を導き出すのが「見識」です。

「見識」には”みえ・気位”という意味も

「見識」には上記以外にも、「みえ」「気位(きぐらい)」という意味もあります。「気位」とは、わかりやすく言うと「プライド」のことで、自分をよく見せようとしたり、自分の品位を保とうとする気の持ち方のことです。

一般に、「優れた判断力」の意味で使われることが多いですが、「みえ」「気位」という意味も抑えておきましょう。

「見識」の使い方と例文とは?

「見識のある人」「見識を備える」がよく見る表現

「見識」という言葉は、「見識のある人」「見識を備えた人」という風に、褒め言葉としてよく用いられます。たとえば、

  • 若いのに見識のある人だ
  • 彼のように見識を備えた人に任せておけば安心だ

といった使い方が可能です。具体的に言うと、問題解決能力がある人・経験豊富な人・判断力がある人を指して「見識がある人」と表現することが多いでしょう。

また、「見識を持つ」というと、経験や知識に基づいた判断力を身に着ける、という意味になります。

「見識が広い」「見識が狭い」と表現する

「見識」の程度は、広い・狭いと表現します。「見識が広い人」というと、「経験や知識が豊富で、それに基づいた考え・判断力が優れている」という意味になります。

一方、「見識が狭い人」とは、知識や経験が浅く、モノの見方も狭い人のことです。同じ意味では、「見識が浅い」「見識がない」という表現もあります。

「見識を広める」「見識を深める」もよく使う

「見識を広める」「見識を深める」もよく使われる表現で、自らを高めることを意味します。たとえば、

  • 異業種の人と交流して見識を広める(様々な事柄に触れ、知識や判断力を身に着ける)
  • 一人前のビジネスパーソンとなるには、見識を深めることも大切だ(現状よりもさらに、判断力・洞察力を深める・極める)

といった使い方が可能です。「広める」に対して「深める」の方がより一層長けている、というニュアンスを含みます。

「見識を疑う」は非難のニュアンスを含む

「見識を疑う」という表現は、「(相手の)常識を疑う」という批判的なニュアンスを持つ表現です。

  • 今回ばかりは上司の見識を疑ってしまう

というと、上司の判断や意見に対して、疑問に思う様を表します。

「見識が高い」と「高い見識」は違う意味になることも

「見識」を「高い」という言葉とともに使う場合には、その意味に注意が必要です。「高い見識のある人」というと、優れた判断力をも持つ人・知識や経験に基づいたしっかりとした考えの人、という褒め言葉になります。

一方で、「彼女は見識が高い」と使った場合、「みえ」「気位」のニュアンスになることがあり、「彼女はみえっぱりだ」「プライドが高い」といったやや批判的な意味にもとらえることができるため、注意が必要です。

「見識」の類語とは?

「見識」の類語は”知見”や”見解”

「見識」と似た意味の言葉には、「知見」「見解」が挙げられます。

「知見」とは、「実際に見て得た知識」「調査や研究に基づいて知った事柄」といった意味があります。「研究によって得られた知見」や「世界中を旅して知見を広げる」といった使用が可能です。「見識」に比べ、実際にこの目で見た事柄に対して使うのがポイントです。

一方、「見解」には、「物事に対する考え方・意見」という意味の言葉です。「見解」は人によって異なるものですが、「見識」は知識に基づくためゆるぎないのが特徴です。

「識見」も類語のひとつ

「見識」の類語では、「識見(しきけん・しっけん)」も挙げられます。意味は「見識」に同じく、「物事を正しく判断する力」を指しますが、一般には「識見」よりも「見識」の方がより優れた判断力を意味することが多いのが特徴です。

「見識」と「知識」はニュアンスが異なる

「見識」と「知識」も似た語感の言葉ですが、「知識」が単に「知っている内容」「理解している内容」を指すのに対し、「見識」はそうした知識に基づいた判断力という点で異なります。

「見解」は公的な意見に対して使う表現

「見解」とは、知識や経験をもとに公表された、公的な意見という意味の言葉です。「見識」は様々な対象・シーンで使用されるのに対し、「見解」は公なものに限られるのが特徴です。そのため、「見解」は社会問題などでよく用いられます。

「有識者」も類語のひとつ

「有識者」とは、高い見識を持つ人のことです。「有識」とは、知識が広く学問があり、優れた判断力をもつことを意味します。

たとえば、ニュースでよく耳にする「有識者会議」とは、経済界や文化人、関連団体を代表する識者・実務経験者を集め、様々な観点から検討・議論する会議です。「有識者会議」は、国や各自治体の諮問機関として設置されるため、ニュースでもしばしば耳にします。

「見識」の英語表現とは?

「見識」は英語で”insight”

「見識」を英語にすると“insight”となります。「insight」には洞察力・識見といった意味があり、たとえば、「a man of insight」で「見識のある人」という意味で使用することが可能です。また、似た意味の表現として、「judgement(優れた判断力)」や「discernment(洞察力)」を使用することもあります。

まとめ

「見識」は「知識や経験に基づいた確かな判断力・しっかりとした考え」という意味の言葉です。「見識がある人」という風に褒め言葉として使うこともあれば、「見識を深める」と自己研鑽の意味で使うこともできます。ただし、「彼女は見識が高い」というと「見栄っ張り」のニュアンスとしてもとれるので、注意が必要です。