「好き」の類語は?ビジネスや敬語で使える「好き」の例文を紹介

「好きです」という表現は、ビジネスシーンでは稚拙に感じることがあります。「好き」を意味する言葉は非常に多く、「好む」「愛している」「好感を持つ」など言葉選びで印象は大きく変わります。本記事では、ビジネスシーンでも使える「好き」の類語について解説します。併せて、「好き」の敬語表現や「好き」の対義語である「嫌い」の上手な言い回しなどについても紹介します。

「好き」の類語とは?

「好意」を示す言葉:好む・愛する・愛おしむ・慈しむ

「好き」の類語は、“好む・愛する・愛おしむ(いとおしむ)・慈しむ(いつくしむ)”が挙げられます。「〇〇が好きです」という風に、親しみや好ましく思う気持ちを表します。
それぞれ以下のような使い方が可能です。

例文
・私は読書を好みます
・故郷を愛する
・子猫を愛おしむ
・慈しむように温かいまなざしでみつめる

「好む」には、「味わい楽しむ」という意味の他「心に望むものを求めて喜ぶ」といった意味もあります。また、「愛する」「愛おしむ」「慈しむ」はいずれも、「かわいがり大事にする」「大切にする」といった意味の言葉です。

「好み」「楽しさ」を表す言葉:好き好む・嗜む

「好き」の類語の中でも、好みや楽しいと思うことについて言及する際に用いられるのが「好き好む(すきこのむ)」や「嗜む(たしなむ)」といった表現です。

「好き好む」には「特に好きになる」といった意味があります。また、「嗜む」は、「好んで親しむ」という意味の他にも、「芸事を好み、身につけている」という意味でも使われる表現です。

例文
・世話焼きな彼は、呼ばれたら好き好んで手を貸している
・祖父が長年嗜んできた酒もたばこもやめた
・彼女はお花を嗜んでいるそうだ

「好感」を示す言葉:「好感を持つ」「好ましく思う」

「好感」には、「よい印象」という意味があり、「好感を持つ」というと「親近感を持つこと」を指します。他にも、「好感が持てる」「好感を示す」などといった表現も可能です。また、「好ましく思う」というと、積極的に良いと評価する姿勢を表します。

例文
・彼のさわやかな態度に好感を持つ人は多いはずだ
・新しい市長には多くの人が好感を示している
・若くて粗削りだが、礼儀の良さには好感が持てる
・彼女の仕事ぶりを好ましく思わない人は少なからずいるはずだ

「好ましく思う」ことは、「心を惹かれる」「心が惹きつけられる」と表現されることもありますが、「好感が持てる」にはその物(人)との間に一定の距離感が含まれているのが特徴です。

恋愛感情を表す類語:好意を抱く・愛している・恋い慕う

「好き」を恋愛感情を意味する表現として使う場合には、「好意を抱く」「愛している」「恋い慕う」といった表現に言い換えることができます。「好意」は、「好意的な態度」として親切心・友情の意味でも使用しますが、「好意を寄せる」や「好意を持つ」とすると恋愛感情を想起させます。

例文
・彼女が好意を寄せる相手は誰だろう
・恋い慕う彼にはどうしても気安く話しかけることができない

他にも、「心を寄せる」「恋心を抱く」のほか、「想う」という漢字表記も恋愛感情を連想させる表現です。

「好き」の敬語表現とは?

「好き」の尊敬語は”お好きです”

「好き」を尊敬語にすると、「お好きです」が一番シンプルな表現です。何かを勧める際にも「お好きなものを」といった表現をよく使用します。

例文
・A社の社長は甘いものがお好きです
・お好きなものをどうぞ

「好きです」は”好んで・好みます”がベター

自分が好きなものに言及する際には、「好きです」という表現でも丁寧語として問題はありませんが、ほかにも「好んで」や「好みます」といった表現を使用するとスマートな印象になります。

例文
・読書を好みます
・推理小説を好んで読んでいます

「お慕い申し上げます」は恋愛感情にのみ使う

「好き」の敬語表現(謙譲表現)として、「お慕い申し上げます」という表現がありますが、これは恋愛感情の「好き」を告げる表現です。そのため、通常、会話ではまず使用しません。

たとえば、「かねてよりお慕い申し上げておりました」というとどこかの映画にあるようなセリフですが、「犬をお慕い申し上げます(犬が好きです)」と使うことはできません。

「好きですか?」の言い換え表現とは?

「お好きですか」「お好きでいらっしゃいますか?」

「好き」かどうかを相手に問う場合には、「お好きですか」や「お好きでいらっしゃいますか?」といった表現が一般的です。

例文
・部長は甘いものはお好きですか?
・辛いものはお好きでいらっしゃいますか?

「お気に召しましたか?」は”気に入りましたか?”の意味

「お好きですか?」と同じくらいよく使われる表現に「お気に召しましたか?」があります。これは、「気に入りましたか?」というニュアンスの表現です。たとえば、次のような使い方をします。

例文
・お料理はお気に召しましたでしょうか?
・お気に召していただけたでしょうか?

「お気に召す」を使った表現には、以下のようなフレーズもあります。

例文
・お気に召したようで光栄です
・お気に召すとよいのですが…(贈答品を手渡す際の添え言葉)

「好き」を強調した表現とは?

「好き」を強調した表現は”愛おしい”や”愛している”など

単に「好きです」というだけでなく、「とても好き」「非常に好き」という場合にはどういった表現があるのでしょう。たとえば、「愛している」が「好き」を強調した表現としてよく知られていますが、ほかにも、「愛おしい」「惚れ惚れする」「目がない」なども「好き」を強めた表現です。

他にも、「好き」を修飾する言葉としては次のようなものが挙げられます

例文
・たまらなく好きである
・どうしようもなく好きだ
・この上なく好きである
・何よりも愛おしい
・何にもまして愛おしい
・狂おしいほど好きだ(気が違ってしまいそうな気持ち)

「好き」の対義語「嫌い」の類語とは?

「好き」の対義語は「嫌い」です。ただし、「嫌い」には強い否定のニュアンスがあるため、ビジネスシーンでは使用しないのが通例です。「嫌い」という言葉は「苦手」や「不得手」などに言い換えた方がよいでしょう。

「嫌い」の類語は”苦手”や”不得意”

例文
・私は生ものは苦手です
・早口でまくし立てるような人はどうも不得手だ

また、相手に「嫌いかどうか」を訪ねる場合には、「お嫌いでなければ」「お嫌でなければ」といった問いかけをすることもありますが、次のような言い換えも可能です。

例文
・もしよろしければ、この後食事でもいかがですか
・お邪魔でなければ、ご一緒してもよろしいですか
・ご面倒でなければ、お願いできますでしょうか

まとめ

「好き」の類語表現には実にいろいろな単語・言い回しがあります。「好きです」という表現が不適切というわけではありませんが、いくつかの言い回しをバリエーションとして持っておくと、ビジネスで知的な印象を与えたり、コミュニケーションが円滑になったりとよい効果も期待できます。ただし、中には「好意を抱く」のように後に続く単語によって恋愛感情を意味する表現となることもあります。単語だけでなく、使い方を併せて覚えておくのがポイントです。