「金額を訂正する」と「金額を修正する」のニュアンスの違いを知っていますか?本記事では、「訂正」と「修正」の細かい意味の違いをはじめ、使い分けのポイントを具体例を挙げて解説します。また、「訂正」「修正」だけでなく、類語「改訂」などとの違いについても紹介します。
「訂正」と「修正」の違いと意味とは?
「訂正」と「修正」の違いは”間違いかどうか”
「訂正」と「修正」の違いは、“間違いがあるかどうか”です。「訂正」は”間違っている箇所を正す”場合に使うのに対し、「修正」は”不十分・不適切な箇所”に対して使うという点が大きく異なります。
「訂正」の意味は”間違いを改め正しくすること”
「訂正」の意味は、“間違いを改め、正すこと”です。文章や発言などの誤りを正しく直した場合に「訂正」と使います。
「修正」の意味は”不十分な箇所を直し正すこと”
「修正」の意味は、“不十分な箇所を直し、正しくすること”です。間違いとまではいかずとも、「不適当であったり不十分であったりする箇所を正しくすること」、また、「より良いものにするために手を加える」というニュアンスも含むのが「修正」の特徴です。
「文章を修正する」のほか、「行動や考え方についてその方向性を変える」と意味でも使うことができます。また、「軌道修正(うまくいかなくなることが予想されるので、よりよい方向へと直す)」のように熟語として用いられることもあります。
「訂正」と「修正」の使い分けと例文とは?
「訂正」は自分の間違いを正す場合に使う
間違いを改め正す、という意味の「訂正」は、自分の間違いに対して使用する表現です。たとえば、冒頭に書いた「金額を訂正する」の例でいうと、「自分が間違って記入した(伝えた)金額を正しい額に直す」という意味になります。他にも、自らのミスを認め、正す場合に「訂正」は使うことができ、素直な姿勢・真摯な態度を示す表現ともいえるでしょう。
- 訂正してお詫び申し上げます
- 早急に資料を訂正し、改めてご連絡いたします
- 3ページの内容を訂正いたしましたので、再度ご確認の程お願いいたします
ビジネスでは改善を依頼する場合に「修正」とよく使う
ビジネスシーンでは、相手に対して「何らかの改善を依頼する場合」に「修正」と使うことが多いでしょう。不適切あるいは不十分な箇所を改めてほしい場合に「修正」という単語を使用します。
- お手数ですが、該当箇所の修正していただけますか
- 頂いた見積書に誤りがあったので修正をお願いいたします
上記のように、相手のミスに対しても「修正」を使うことは、ビジネスではよくある例です。併せて、事務的な作業に対しても「修正」はよく使われます。冒頭の「金額を修正する」とは、事務的な誤りに対して使用した例ともいえるでしょう。
相手の誤りに「訂正」は使わないのがベター
自らの誤りには「訂正します」という表現を用いますが、相手の誤りを指摘する場合には「訂正」は使わないのがベターです。「訂正してください」というとやや強い表現となってしまうため、「修正してください」という表現にとどめるのが通例です。語気を和らげることができるため、「修正」を使った方が失礼にも当たらないでしょう。
「訂正」や「修正」の類語とは?
「変更」は”ほかの状態に変えること”
「変更」とは、”変え改める”という意味の言葉です。誤りの有無は関係なく、ほかの状態に変えるという意味で使用されます。何かを変えたい場合に「変更をお願いいたします」のような使用が可能です。
「是正」は”悪い点を改め正すこと”
「是正」とは、”悪い点を改め正す”という意味です。規律や仕組み、人の行動などに対して使う表現で、「不公平なことを正す」という意味合いも持ちます。「是正勧告(違反事項を正すよう促すこと)」のように熟語として用いられることも多い単語です。
「改訂」や「改修」も類語
「改訂」とは、「書物や文書の欠点を正すこと」「内容を改めること」という意味の言葉です。「法律などの一部を改め、正す」という意味でも使用されます。「改訂版」といった表現でよく見かけるように、文章や文字に対して主に使う言葉です。同じ読みの単語「改定」は、「従来の決まりを改めること」という意味で「改訂」とは区別されます。
「改修」には「改め直す」という意味があり、建物や道路などの傷んだ箇所、悪い箇所に手を加えなおすこと、あるいは老朽化した部分を手直しする工事を意味する言葉です。「道路を改修する」「改修工事のお知らせ」などとよく使われます。
「訂正」や「修正」の英語訳とは?
「訂正」は英語で”revise”
「訂正」を英語にすると”revise”となります。「revise」には、”変える・見直す・訂正する”といった意味があり、特に書物などの印刷物に対してよく用いられる英単語です。
- He has revised the documents.(彼は資料を訂正した)
- the revised edition(改訂版)
「修正」は英語で”correct”
「修正」を意味する英単語は”correct”が挙げられます。「correct」は、”直す・添削する・修正する”などと訳される単語で、形容詞として「正しい」という意味も持つ単語です。たとえば、「Correct errors, if any.(誤りがあれば修正してください)」といった使い方が可能です。先に説明した日本語の「訂正」「修正」における、「誤りの有無」のような厳密な違いは英語ではあまり意識されないようです。
また、「軽微な修正」や「少し手を加えよい方向へと変える」という意味では「modify」という単語もあります。「計画や意見を修正する」「部分的に変更する」という意味で使用されます。
まとめ
「訂正」と「修正」はどちらも「正す」というニュアンスの言葉ですが、ビジネスシーンでは特に、自分のミスには「訂正」を、相手に依頼する場合には「修正」を使うのが通例です。「訂正」と「修正」は単語を置き換えても意味が通ることが多いですが、誤りを認める姿勢・謝罪の印象を与えることができるのは「訂正」です。微妙なニュアンスの違いをおさえ、より円滑なコミュニケーションに生かしてみてください。