「溜飲が下がる」の意味と語源とは?使い方・例文と類語も紹介

「溜飲が下がる」とは、「溜飲」と呼ばれる胃液が下がるとすっきりすることを比喩的に用いる表現で、不満が解消されたときなどに用います。しばしば耳にしますが、使い方がいまひとつはっきりしないという方も多いかもしれません。

語源の「溜飲」を知っておくと使いやすい表現ですので、今回は「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」の意味とともに語源の意味も解説します。あわせて使い方と例文や類語、英語表現も解説しています。



「溜飲が下がる」の意味と語源とは?

「溜飲が下がる」の意味は「不満などが解消されて気が晴れる」

「溜飲が下がる(りゅういんがさがる)」とは、「不満や恨みなどが解消されて気が晴れる」という意味です。

「上司に思いをぶちまけて溜飲が下がった」などと用いたり、応援するスポーツチームや選手などが宿敵に勝った時などに「試合に勝って溜飲が下がった」などと使います。相撲などでは、応援していた力士が負け越して不満だったが、やっと勝てたときなどに「白星を挙げて溜飲が下がった」などと使われます。

「溜飲が下がる」の語源は胃液を意味する「溜飲」

「溜飲」とは、消化不良で食物が胃にたまったときの酸性の胃液のことです。それが下りるとすっきりすることから、「溜飲が下がる」の表現が生まれました。身体的な不快感が解消される感覚が語源であることを知っておくと、使い方がイメージしやすいといえます。

「溜飲を下げる」も同じ意味だが意識的に下げるというニュアンス

「溜飲が下がる」の他に「溜飲を下げる」という表現もあります。どちらも同じ意味ですが、少々ニュアンスの違いがあります。

たとえば、「相手を論破して溜飲が下がった」は「溜飲」に重きが置かれているのに対し、「相手を論破して溜飲を下げた」は「下げた」という行為に重きが置かれています。「溜飲を下げる」の方が「溜飲が下がる」よりもより意識的にその行為を行っているというニュアンスになります。

違う表現で説明するなら、「相手を論破して気持ちがすっとした」と「相手を論破して気持ちをすっとさせた」との違いのように、「~を」の表現では行為に重きが置かれています。

「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」の使い方と例文

「不満が解消されて気持ちが晴れること」を表す使い方

「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」は、不満や不平が何かのきっかけで晴れてすっきりすることを表現するときに使います。次のような例文があります。

  • 嫌いな相手を論破したら溜飲が下がったような気持ちになった
  • 疑惑の政治家を鋭く追及した記者の発言に人々は溜飲を下げた
  • 事件の犯罪者をネットで叩いて溜飲を下げているだけでは、問題解決にはつながらない
  • 宿敵が謝罪する姿を見て溜飲が下がった
  • 権力者を揶揄するコメディやパロディに庶民は溜飲を下げてきた
  • その政策は不満を持つ反対派の溜飲を下げることを狙ったものだった

単に気分がすっきりするという意味では使わない

「溜飲が下がる」は、不平や不満などが解消され、すっきりする気持ちを表現する言葉であるため、緊張状態にある状況から開放されて気分が晴れたときなどに、すっきりした気持ちを「溜飲が下がる」と表現するのは本来の使い方ではありません。

たとえば「面接の間は緊張していたが、終わった瞬間にほっとして溜飲が下がった」などの使い方は誤りです。

「溜飲を晴らす」の表現は間違い

「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」は、不愉快な気分を晴らす「憂さ晴らしをする」「憂さが晴れる」という意味も含まれるため、両者が混ざって「溜飲を晴らす」と表現されることがありますが、これは間違いです。

しかし、文化庁が毎年行っている「国語に関する世論調査」平成29年度版においては、「溜飲を下げる」を使う人が37.4%で、「溜飲を晴らす」を使う人が32.9%という結果となっており、本来の使い方でない「晴らす」を使う人も多いことがわかっています。

またそれにさかのぼる平成20年度の調査においては「下げる」が39.8%で、「晴らす」を使う人が26.1%であり、誤った使い方をする人が増えていることがわかります。「溜飲を下げる」の言葉を「憂さを晴らす」の意味で使う人が多くなっていることの表れかもしれません。

「溜飲が下がる」の類語とは?

心配ごとが解決してほっとする意味の「胸のつかえが下りる」

あることをきっかけに気持ちがすっきりするという意味を持つ表現に「胸のつかえが下りる」があります。下ろすものがどちらも身体的な不快感である「溜飲」と「胸のつかえ」なので、全く同じ意味かといえば、少々ニュアンスが違います。

「胸のつかえが下りる」とは、心配していることが解決して安心する、ほっとするという意味です。「溜飲が下がる」は、不平や不満が解決してすっきりすることなので、ほっとするというニュアンスとは異なります。

しかし、心配していたことが不満につながっていた場合には、「不満が解消されて胸のつかえが下りた」と表現することもあるため、近い意味で用いられることもあります。

気持ちをすっきりさせるという意味の「カタルシスを得る」

「溜飲が下がる」と似た意味の表現に「カタルシスを得る」があります。「カタルシス」とは「浄化」を意味するギリシャ語を語源とする言葉で、心の中でもやもやしていた気持ちが何かをきっかけにして一気に解消することを指します。

「負け続けていた試合に大勝して溜飲が下がった」は「負け続けていた試合に大勝してカタルシスを得た」と同じ意味で用いることができます。

しかし、不平や不満などに加え、「悪意」のような感情をある出来事によってすかっとさせることを「溜飲が下がる」と表現することが多いのに対し、「カタルシスを得る」ことによって解消されるのは悪意の感情というより精神的な葛藤から生まれるもやもやを表現することが多いということが違いとして挙げられます。

「溜飲が下がる」の英語表現とは?

満足したという意味の英語は「I feel satisfied」

「溜飲が下がる」と同じ表現は英語にはありませんが、「満足した(すっきりした)」という意味の近い表現でよく使われるものに「I feel satisfied」があります。「satisfied」は「満足した」という意味です。

  • 上司に不満をぶつけて気持ちがおさまった
    I felt satisfied after complaining to my boss.
  • 嫌いな相手を論破して気分がすっきりした
    I felt satisfied after refuting an opponent I don’t like.

いらいらや鬱憤をすっきりさせるという意味では「get rid of one’s frustration」などもあります。

まとめ

「溜飲が下がる」の語源は、消化不良のときにたまる胃液を意味する「溜飲」という言葉です。溜飲を下げるとすっきりすることから転じて、不平・不満などが解消されて気分がすっきりすることを意味する言葉として「溜飲が下がる」が使われるようになりました。

胸の中につかえていたもやもやした気持ちが何かのきっかけで解消されたときに使う表現であるため、「暑い日はビールを飲んで溜飲を下げる」などのようにたんにリフレッシュするという意味では使われません。

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趣味は読書とヨーロッパ旅行です。ドイツには5年余り滞在経験があります。某大学の人間科学部とデザイン学部を卒業。心が豊かになる知識の探索を人生の糧にしています。