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「宛」の意味と使い分けを解説!宛名の書き換えや訂正・消し方も

封筒の宛名に使用される「宛」はどういった場合に使用するのが正しいのでしょう。本記事では、「宛」の意味とほかの宛名(様・御中・行など)との使い分けについて詳しく解説します。また、「宛」を訂正して他の宛名(敬称)に書き換える際のマナーも紹介します。

「宛」の意味と読み方とは?

「宛」の意味は”届け先”

「宛」の意味は、“送り先・届け先”のことです。「A社宛」というと、送り先(届け先)が「A社」ということになります。

「宛」は口語表現として、「Aさん宛にお客様です」と使うほか、「自分に連絡が欲しい」という場合に「わたくし、山田宛にご連絡の程お願いいたします」などと使うこともあります。また、返信用封筒の宛名書きでもよく用いられます。自分のところに戻ってくる封筒の宛名欄に「〇〇宛」と記す形で用いるのが通例です。

「宛」の読み方は”あて”

「宛」の読み方は“あて”です。

「宛ら」と書いて”さながら”の読み方も

「宛ら」と書いて“さながら”という読み方をすることもあります。「宛ら」とは、”物事・状態が似ている様子”を表す言葉で、「そっくりそのまま・まるで」という意味です。

たとえば、「宛ら滝のような雨」というと、「まるで滝のように激しい雨」という意味になります。「さながら」とひらがなで表記することも多い表現です。

「宛」の使い方と例文とは?

「宛名」や「宛先」などと使う

「宛」という漢字は、「宛名」「宛先」の熟語でよく用いられます。

例文

宛名を記入する
宛先はこちらです
宛先は正確に記入してください

厳密に言うと、「宛名」は名前、「宛先」は住所を意味しますが、実際に使う場合には、名前と住所を併せて「宛名」あるいは「宛先」と呼ぶことも珍しくありません。

「宛てに送る」ではなく”宛に送るが正

「~あてに送る」という場合、「宛て」という表記が使われることもありますが、正しくは「宛に送る」です。この場合の「宛」は名詞として用いられているため、送り仮名を記載しないのが適切な表記です。

例文

弊社、山田宛にご連絡ください
田中さん宛に部長から連絡がありました
どなた様宛にご連絡すればよろしいでしょうか

なお、「宛てる(あてる)」という動詞として用いる場合には、送り仮名の「て」が表記します。たとえば「卒業生に宛てた文章」「株主に宛てた通知」などといった使用例が挙げられます。

「宛」とその他の敬称の使い分けとは?

「宛」は自分に対して使う

「宛」は、単に「届け先・送り先」を意味するため、「自分」に対して使います。その最たる使用例が「返信用封筒」です。
書類を送付し、記入の上、相手に送り返してもらう場合には、「返信用封筒」を同封します。この返信用封筒には、書類の返信先に自分の名前が入るため、「様」などの敬称は用いずに、単に「届け先」を意味する「宛」という単語を用いるのです。

〒***-*****
東京都新宿区西新宿**ー***
田中 一郎 宛

「様」は個人名に続けて使うもの

封筒の宛名で最もよく用いられるのが「様」です。「様」は個人を宛先とする場合に用いられる表現で、目上・目下など立場に関わらず使用できる表現です。ただし、企業や学校などの組織・団体に対しては使用しません。

株式会社△△ 営業部 鈴木一郎様
株式会社△△ 営業部 ご担当者様

また、役職に続けて「様」と使用することもできません。たとえば、「株式会社△△ 鈴木一郎営業部長 様」は誤りです。この場合、「営業部長 鈴木一郎様」という表記が適切です。

「御中」は企業・組織に対して使用する

企業や組織に対しては、「様」ではなく「御中」を使用します。企業や学校、官庁などあらゆる団体に使用できる表現です。部署に宛てる場合にも「御中」を使用します。

株式会社△△ 御中
株式会社△△ 営業部 御中

なお、「株式会社△△ 御中 鈴木一郎様」のように、「御中」と「様」を併用することも本来はマナー違反です。

「各位」は複数の人に対する敬称

「各位」は、複数の人に宛てる場合に用いられる敬称です。「様」という漢字は用いられていませんが、「皆様」「皆様方」のように、複数の人に敬意をはらう場合に使用します。つまり、「各位」を使った場合、文書の宛先は複数人存在することになります。

株主各位
関係者各位
ご担当者各位

なお、「各位」にはすでに「様」の意味が含まれていますので、「株主様各位」「各位の皆様」というような表記は誤りです。ただし、「お客様各位」「お得意様各位」の場合に限り、「各位」は「様」と併用することがあります。

「行」は自分に使うもの、「宛」と同じ

「行」は「送り先・届け先」を意味する表現で、「宛」と同じ意味があります。主に「返信用封筒」に使用されます。返信用封筒では、「宛」と「行」に厳密な使い分けがあるわけではありませんが、「宛」が主に個人に対して使われ、「行」は企業・団体に宛てた文書に使用されるのが通例です。

〒***ー****
東京都新宿区***ー***
株式会社△△ 営業部 行

〒***ー****
東京都中央区***ー***
株式会社〇〇 お客様相談センター 行

「宛」の書き換えマナーとは?

「宛」は二重線で消すのがマナー

返信用封筒に「営業部 行」や「鈴木一郎 宛」と記載されていた場合に、そのまま投函しては失礼に当たります。必ず、敬称に書き換えて送付します。

宛名を書き換える場合には、まず、「宛(行)」を二重線で消します。縦書きの場合は縦の二重線で消したのち、その下あるいは左側に「御中」や「様」と正しい敬称を書きます。同様に、横書きの場合は横の二重線で消し、その右側に「御中」あるいは「様」と書くのがマナーです。

担当者印がある場合は「様」を付け足す

返信用封筒には、「お客様センター行」などの印字の脇に担当者の印鑑が押してある場合があります。この場合、印鑑を消す必要はありません。印鑑の下(横書きの場合は右側)に「様」と書き足して送付します。

まとめ

「宛」は「届け先・送り先」を意味する単語で、「佐藤宛」のように名前に続けて使うことができます。主に、個人に宛てた返信用封筒の表書きに使用されるほか、「佐藤宛にご連絡ください」のように、文章中で使用することもあります。自分に対して使う宛名ですので、文書を返信する場合などは適宜正しい敬称に書き換えるのがマナーです。