「コンセプチュアル」「コンセプチュアルアート」の意味とは?

「コンセプチュアル」とは「コンセプト」の形容詞です。「コンセプチュアルな作品」という表現や「コンセプチュアル・アート」という言葉を聞くことがありますが、これらはどのような意味なのでしょうか?

この記事では、「コンセプチュアル」の意味や使い方を紹介した上で、「コンセプチュアル・アート」について解説します。ビジネスで注目される「コンセプチュアル・スキル」についても触れています。



「コンセプチュアル」の意味とは?

「コンセプチュアル」とは「概念上の」という意味

「コンセプチュアル」とは、「概念上の」という意味です。「概念」とは、「…とは何か」ということについての考え方や受け取り方を意味する言葉です。少しわかりにくいですが、「理論で裏付けされた抽象的・観念的な(=概念的な)」という意味でとらえるとわかりやすいかもしれません。

例えば、「平和という言葉はコンセプチュアルだ」とは「平和という言葉は概念的だ」と同じ意味です。

英語の形容詞「conceptual」が語源で、名詞は「concept(コンセプト)」

「コンセプチュアル」の語源は英語の形容詞「conceptual」です。名詞では「concept」となり、カタカナ語「コンセプト」として日本にも定着している言葉です。

「コンセプト」とは、「概念」「基本的な観点・考え方」という意味です。「この作品のコンセプトは…」などと企画を貫く基本的な考え方を示すときなどに使われます。「コンセプト」は「構想・発想」という意味でも使われます。

作品などが「基本的な構想に基づいている」という意味で使う

「コンセプチュアル」は、企画や作品などがコンセプト(基本的な観点・考え方・構想)に基づいて作られていることを示すときに便利に用いられる表現です。次の例文のような使い方です。

  • 日本のアニメはコンセプチュアルな作品作りをしていることで定評がある
  • メイド喫茶はそれまでにないコンセプチュアルなカフェとして海外に紹介された
  • 多様な価値観を反映したコンセプチュアルな志向へと消費者が変化している
  • 一見するとその意図がよくわからないが、解説を読むと納得できるのがコンセプチュアル芸術だ

「コンセプチュアル・アート」とは?

「コンセプチュアル・アート」とは「芸術とは何か」と問いかけるアート

美術の分野である「コンセプチュアル・アート(Conceptual art)」は、1960年代中頃から1970年代前半にかけて頂点を迎えた前衛芸術運動です。コンセプトを重視した芸術という意味で「概念芸術」と訳されます。

既存の絵画の意味や価値を否定し、発想自体を作品に表現した芸術が「コンセプチュアルアート」です。つまり、作品の物質的側面である形態や図像ではなくコンセプトや思想が作品であるとした発想です。

コンセプチュアル・アートの創始者の一人ソル・ルウィットは、「コンセプチュアル・アートはアイデアやコンセプトが作品において最も重要である」と述べています。

コンセプチュアル・アートにおいては、美しさや技術的な技巧、感動の創出といった価値観は不問に付され、形態もさまざまに表現されます。それまで称賛され、敬意を払われてきた伝統的な芸術に疑問を投げかけ、「芸術とは何か」という問いかけがコンセプチュアル・アートの定義です。

「コンセプチュアル・アート」の原点となったデュシャンの『泉』

(出典:Wikimedia Commons User:Piero~commonswiki)

最初のコンセプチュアル・アートはマルセル・デュシャン(1887年~1968年)の「レディメイド(既製品)」の作品として現れました。「レディメイド」はデュシャンが発案した言葉で、大量生産された物品でありながら美術品だとして提出されるデュシャンは美術市場への皮肉として、既成品に架空の作家の名前を入れた作品を芸術と称して発表したのです。ものを指します。

レディメイドの中でも特に悪評を買い、またデュシャンの代表作品ともなったのが1917年に制作した『泉』(Fontaine)です。雑貨店で購入した磁器の男性用小便器に署名を入れ、タイトルをつけたものです。

デュシャンの『泉』は、この便器が美術品だろうか、という問いかけを表明し、美術界に波紋を投げかけました。

「コンセプチュアル・スキル」とは?

コンセプチュアル・スキルとは複雑な事象を概念化する能力

ビジネスパーソンに重要なスキルとして「コンセプチュアル・スキル」が提唱されています。コンセプチュアル・スキルとは、ハーバード大学教授のロバート・カッツが論文で用いた言葉で、「物事の本質を把握し、問題解決する能力」という意味を持ちます。「概念化能力」と訳されます。

具体的には、ビジネスにおいて複雑にからみあう事象を概念化することにより、物事の関係性を捉えたり、本質を把握することができる能力のことです。

カッツ氏は、ビジネスパーソンに必要な3つの基本的な能力を示しています。仕事を遂行するために必要な専門スキル「テクニカルスキル」と、対人関係の構築に必要なスキル「ヒューマンスキル」、そして概念化するスキル「コンセプチュアル・スキル」です。

複雑な事象をひもとき、物事の本質を把握するためには、コンセプチュアル(概念化)能力が大切だということです。

まとめ

「コンセプチュアル」とは、「概念上の」という意味です。「コンセプチュアルな作品だ」の意味が「概念上の作品だ」と説明されてもわかりにくいですが、「概念」を「理論で裏付けされた抽象的・観念的な考え」との意味で捉えるとわかりやすいです。

美術史上の運動としての「コンセプチュアル・アート」は、既存の絵画の意味や価値を否定し、発想や考え方(コンセプト)自体を作品に表明した美術の革命でした。コンセプチュアル・アートについて知っておくと、「コンセプチュアル」の言葉の使い方にイメージが持ちやすいかもしれません。

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趣味は読書とヨーロッパ旅行です。ドイツには5年余り滞在経験があります。某大学の人間科学部とデザイン学部を卒業。心が豊かになる知識の探索を人生の糧にしています。