「己を律する」「律する力を養う」といった表現を自己啓発本などで見かけることがあります。本記事ではこの「律する」という言葉について、意味と使い方を例文で解説します。また、「律する」と似た意味を持つ類語や四字熟語に加え、英語訳も紹介します。
「律する」意味や読み方とは?
「律する」の意味は”一定基準で統制・管理する”
「律する」の意味は、“一定の規範や基準を設け、それに照らし統制・管理する”ことです。「ある基準に照らして処理する・特定の基準で判断する」という意味でも使用されます。
「律する」の「律」は、「法律」「規律」などの単語から推測できるように「ルール」を意味しますが、具体的な法律だけでなく、一般常識と呼ばれるような不文律やマナーのほか、様々な規範・独自の基準に則って統制・管理する場合にも、「律する」と使うことができます。
「律する」の読み方は”りっする”
「律するの読み方は、“りっする”です。
「律する」の使い方と例文とは?
「自らを律する」とは”自分を制御する”こと
「律する」は、”己を律する・自らを律する”とよく使用されます。この場合、「自分で自分に課したルールに則って、自分を制御する」という意味になります。また、「自分に厳しくする」というニュアンスでも用いられ、やる気や向上心を見せる際にも好まれる表現です。
- 目標達成のためには、もっと自らを律する必要がある
- 自分自身を厳しく律することで高みを目指す
「行動を律する」は”してはいけないことを諭す”の意味
「律する」は「行動」に対しても使うことができます。この場合、「(誰かの)行動を制御し、たしなめる」あるいは「してはいけないことを諭す」という意味になります。特に、親や教師など上の立場にいる人間が、下の立場の者(子供・生徒など)に対して「律する」と使うことの多い表現です。
- もっと親が子供の行動を律するべきだ
- 教師が厳しく律することで校内の秩序が保たれる
「律する」は一般常識から個人の好みまで幅広く使える
「律する」は、「自らを律する」と使う場合は、自分で決めた「マイルール」に従って自分を管理・統制することを指すことが多いですが、上に立つ人の管理・統制の基準に言及する際には、様々な形で使用されます。
たとえば、「好みで人を律する」というと、「個人的な好みで人を管理する」という意味です。たとえば、上司が自分の好き嫌いを基準として部下を管理することを意味します。また、「一般論で律する」というと「一般論に合った行動をとる」あるいは「一般論を基準として(人を)統制する」というニュアンスになります。
「律する」の類語とは?
「律する」と似た意味の言葉は「統制」「管理」
「律する」と似た意味を持つ単語には、「統制」や「管理」が挙げられます。「統制」とは、「一定の計画・意図に従い、取り締まること」を意味する言葉です。「管理」とは、「よい状態を維持するように、必要な手段をとること」または「規則から外れないように監視すること」という意味があります。
「自制する」も「律する」と類似の表現
「自らを律する」という言い回しは、「自制する」と言い換えることができます。「自制する」とは、「自分の気持ちを抑えて制限する」という意味です。
また、同様の意味では「セルフコントロール」というカタカナ語もしばしば目にします。「セルフコントロール」は、「自分の感情や行動を自分で抑えること」を意味し、欲望を抑えたり、自分に厳しい行動をとったりすることを指す単語です。
「己を律する」意味の四字熟語
「己(自分)を律する」と似た意味の表現は、四字熟語にもあります。
- 外柔内剛(がいじゅうないごう):外見は穏やかで優しそうに見えるが、内面はしっかりとした強い意志を持っていること
- 自厳他寛(じげんたかん):文字通り、自分には厳しく、他人には寛容であること
- 不惜身命(ふしゃくしんみょう):修行のためには身命(命)も惜しまないこと。仏教用語
こうした「自分を律する」の意味に近い四字熟語は、「自分に厳しくし、高みを目指す」という向上心・やる気を表明できることから、座右の銘としてもよく選ばれています。
「律する」の英語表現とは?
「律する」の英語訳は”judge”を使う
「律する」を英語で表現する場合には“judge”が用いられます。たとえば、「Do not judge of others by yourself」とは、”己をもって人を律するなかれ(あなた自身の判断基準で人を律することはならない)”という意味になります。
また、「自らを律する」「自分の気持ちを抑える」という意味の表現には、「restrain oneself」も挙げられます。「restrain」とは、「抑制する・抑える」という意味で、「He could no longer restrain himself(彼は自制が効かなかった)」といった使用が可能です。
まとめ
「律する」とは、「一定の基準に従い統制・管理する」という意味の言葉で、「自分(己)を律する」などの形で使われます。自分以外の行動に関して使われることは限定的で、「自らの目標達成のために自分に厳しくする」というニュアンスでの使用が多い表現です。初心表明などにも使えるのでぜひ押さえておきましょう。