「慮る」の意味や読み方とは?使い方や類語・言い換え表現も紹介

「周囲を慮る」「事情を慮り、決断を改める」などと使う「慮る」は、その意外な読み方がフィーチャーされることも多い単語です。本記事では、この「慮る」の読み方と意味、その使い方について、例文を交えて解説します。また、「忖度」などの類語との違い、英語訳についても紹介します。

「慮る」の意味と読み方とは?

「慮る」の意味は”思いを巡らせ、よく考える”

「慮る」の意味は、“あれこれと思いを巡らせ、よく考える・周囲の状況などをよく考える”ことです。そもそも、「慮る」の”おもんぱかる”という読みは、「おもいはかる(思い量る)」という意味に由来します。相手のことや周囲の状況に「思いをめぐらせる」「深く考える」というのが「慮る」なのです。

「慮る」の読み方は”おもんぱかる”、音読みでは「りょ」

「慮る」の読み方は、“おもんぱかる”です。「慮る」の”慮”という漢字は、「配慮・遠慮」などに使われてることから、音読みの”りょ”という読み方がよく知られています。訓読みで使用する場合は、「おもんぱかる」と読み、その意外な読みから難読漢字として紹介されることも少なくありません。

なお、「慮る」は”おもんばかる”と呼んでも間違いではありません。どちらの読みでもよいのですが、音の読みやすさを理由に、「おもんばかる」から「おもんぱかる」へと変化していったとされています。一般には、「おもんぱかる」と読むことが多いと覚えておきましょう。

「慮る」の使い方と例文とは?

「慮る」は”思いやり”を表現する際に使う

「慮る」は単に”よく考える”というだけでなく、「周囲の状況に思いを巡らせ、行動に移す」場面で用いられます。そのため、頭の中だけで考えるというよりは、行動を伴う文章で用いられることも多いでしょう。

例文
  • 周りの人を慮ることのできる人でありたい
  • 部内の事情を慮って、親睦会を延期した
  • 他人を慮るだけでなく、自分の意見を述べることも大切だ

「慮ってのこと」もよくある使い方

また、気遣いを表す表現として「~なのは、〇〇を慮ってのことだ」という使用例もよく見聞きします。この場合、「~したのは、〇〇のことを深く考えた結果である(良かれと思ってそうした)」というニュアンスになります。

例文
  • 曖昧な回答しかできなかったのは、君を慮ってのことだ
  • 部長の発言は彼を慮ってのことに違いない

「慮るあまり」と否定的な文章でも使われる

「慮る」は、「~を慮るあまり」という使い方をすることもあります。この場合、「考えすぎるあまり~してしまった(~できなかった)」という文脈で使われることが多く、結果に言及する際にもよく用いられます。

例文
  • 将来のことを慮るあまり、安易に声をかけることができなかった
  • 部下を慮るあまり、異動の件をなかなか言い出せなかった

「慮る」の類語・言い換え表現とは?

「慮る」と似た意味の言葉は「忖度」

「慮る」と似た意味の単語に「忖度」が挙げられます。「忖度(そんたく)」は、「相手が心にとめている本音を察する」という意味です。政治家の使用によって世間に広められた言葉ということもあり、やや硬い表現として知られています。

「慮る」と「忖度」は似た意味がありますが、「慮る」が周囲の状況に対して使われる一方で、「忖度」は「特定の人物」を対象とする点が大きく異なります。

「思いやる」「推し量る」も似た意味の表現

「慮る」と似た意味の単語には、「思いやる」「推し量る」も挙げられます。「思いやる」とは、「人の心を察し、配慮する」という意味で、「思いやり」という言葉でもよく知られています。友人間・家族間など親しいフランクな間柄でも用いられる表現です。

「推し量る」は、「物事の見当をつける」という意味の単語で、「評価する」というニュアンスも持ちます。相手の心情などに対しても使うことはできますが、「慮る」の方がより心情に特化した表現と言えるでしょう。

「慮る」の英語表現とは?

「慮る」は英語で”consider”を使う

「慮る」を英語で表現する際は“consider”を使います。「consider」は”考慮する・熟考する”という意味の単語です。「思いやる」という意味でも使用できます。

また、「思いやる」には”care about”という表現もあります。「We care about each other」で「互いにおもいやる」という意味になります。

英語「慮る」を使った例文

「慮る」を使った英語例文をご紹介しましょう。

  • You must consider the feelings of others.(他人の気持ち考慮しなければならない)
  • Consider carefully.(慎重に考えなさい)

まとめ

「慮る」は「思いを巡らせ、よく考える」という意味の言葉です。周囲や相手の状況を考慮し、思いやりのある行動をとることを「慮る」と言います。似た意味の「忖度」が特定の人を対象とした言葉であるのに対し、「慮る」は状況・事情など幅広いものを対象として使えるのが特徴です。「おもんぱかる」という独特な読みが話題に上ることもあるので、読み・意味ともにしっかり押さえておきたい単語です。