「労使協定」とは?意味や36協定・労働協約との違いを簡単に解説

労使協定や36協定、労働協約など労働環境を取り巻く協定はいろいろあってわかりにくいですよね。今回は「労使協定」とその他の協定や協約との違いと併せて意味を解説します。また派遣法改定に伴い新しい制度「同一労働同一賃金」の対応策である「労使協定方式」についてもわかりやすく説明しますのでご参照ください。

「労使協定」の意味とは?

「労使協定」とは「労働者の代表と使用者が労働条件に付いて交わす協定」

「労使協定」とは、労働者と使用者が労働条件に付いて交わす協定で、双方の合意のもとに取り交わされます。労働基準法により義務付けられていて、労働者とは労働者の過半数の代表者で、使用者とは労働者を雇用する雇用者(会社側)です。

労使協定で定められる内容は、時間外労働や休日労働などの労働基準法で禁止されている内容も含まれます。

労使協定の種類と有効期限

労使協定の種類は14種類

労使協定には14種類がありますが、大きく分けると労働基準監督署への届け出が必要なものと不要なものがあります。

  • 労働基準監督署に届け出る必要がある労使協定

時間外労働や休日労働に関する労使協定(36協定)、一週間、一か月、一年単位で労働時間を規定する労使協定、労働者の貯蓄金の委託管理する貯蓄金管理協定、事業場外労働に関する協定および専門業務型裁量労働制に関する協定です。

  • 労働基準監督署に届け出る必要のない労使協定

法定控除以外のものを賃金から控除する場合の労使協定、フレックスタイム制、有給休暇に関する労使協定、育児休業や介護休業に関する労使協定、休憩に関する労使協定などがあります。

労使協定の書式は種類に合わせて作成

労使協定は種類が幅広くそれに合わせた書式が作成されます。決まった形式はありませんが必須の記載事項が多いので、厚生労働省のHP等で記載されているテンプレートを参照にするのがいいでしょう。

労使協定の有効期限はあるものとないものがある

労使協定には有効期限のないものがほとんどですが、そのうちの5つの協定では有効期限を決めなくてはなりません。

一か月単位の労働時間に関する労使協定と専門性の高い仕事の待遇を規定する専門業務型裁量労働制に関する協定は3年以内、一年単位の労働時間に関する労使協定と36協定は1年ほどが望ましいとされています。また事業場外労働に関する労働協定は一定の期間で見直されます。

「36協定」とは?

「36協定」とは労使協定の一種で「時間外・休日労働に関する協定」

「36(さぶろく)協定」とは呼称で、正しくは「時間外・休日労働に関する協定届」です。労働基準法第36条をもとに規定されているため「36協定」と呼ばれています。労使協定は労働者と使用者の間で締結される協定で様々な種類があり、「36協定」はその中のひとつです。

「36協定」は法定労働時間を超える労働時間外労働や休日労働に関する協定で、必ず書面で協定を結び労働基準監督署に届け出る義務があります。使用者が労働時間外労働を労働者にさせる場合に取り交わされ、たった一人の労働者に対しても締結されなくてはいけません。

※「36協定」に関しては、下記のページに詳しく解説してありますのでご参照ください。

36協定の特別条項とは?違反にならない手続きの仕方を解説

「労働協約」と「労使協定」との違い

「労働協約」は労働組合と使用者の間で締結される

「労使協定」は労働者の代表と使用者との間で交わされるのに対して、「労働協約」は労働組合または労働団体と使用者が取り交わします。そのため労働組合がない会社では労働協約は締結できない代わりに労使協定が締結できます。

「労働協約」は労働基準法の範囲内の内容のみ

「労使協定」では労働基準法が定めた範囲以外の内容も規定できますが、「労働協定」は労働基準法などの労働保護法令の範囲内の内容のだけが規定されます。

「労働協定」では労働条件と労使間において順守すべき事柄になりますが、労働保護法令内ならば、会社が規定する就業規則とは違う内容も規定できます。また労働協定の効力は、労働組合員だけでなく非組合員にもあります。

優先順位は「労働協約>就業規則>労働契約」

協約や規則の優先順位は、労働契約(労働者と使用者の個別的な契約)よりも就業規則(会社が規定)が優先され、就業規則よりも労働協約のほうが効力は強くなります。

労働協約の有効期限は、情勢の変化に対応するため3年が最長です。有効期限を定めていない場合は、締結後90日以内は解約できます。

「労使協定方式」とは?

「労使協定方式」は同一労働同一賃金の対応策

派遣労働者と派遣先の労働者との待遇差を解消するために派遣労働法が改正されました。改正案は「同一労働同一賃金」と呼ばれ、大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から適用が始まります。

この「同一労働同一賃金」の対応策に「労使協定方式」と「派遣先均等・均衡方式」という2つの方式があります。法改正以前は派遣会社が派遣料金を設定して派遣時給が派遣労働者に支払われていましたが、改正後は派遣先の賃金に合わせた派遣料金が設定されます。

「労使協定方式」は同業種の平均賃金から派遣社員の賃金を決める

「労使協定方式」では、派遣会社(派遣元)が派遣労働者の業務内容と同種の業務で支払われる一般的な労働者の平均賃金の額から、派遣労働者への待遇や賃金を労使協定によって定めます。労使協定なので派遣労働者のうちの過半数の代表者と派遣会社とが賃金等の内容を決定します。

派遣先が変わっても同業務に就いている限り賃金が安定するというメリットがある一方で、一般的な労働者の平均賃金をどのように定義するのかがあいまいなので労使間での交渉が難航することが考えられます。

「派遣先均等・均衡方式」では派遣先の同業種の社員の待遇に合わせる

「派遣先均等・均衡方式」では、派遣先の同業務に就く労働者の待遇や賃金をもとに派遣労働者の待遇などを決めます。そのため、どの派遣会社から派遣されても派遣労働者への待遇は変わらないので均等が保たれるものの、該当の派遣社員がキャリアアップしても派遣先に合わせた待遇となり給与の見直しが行われないというデメリットがあります。

まとめ

「労使協定」とは労働者の代表者と使用者(会社)が労働条件に関して結ぶ協定で、中でも代表的なものに36協定があります。労使協定の締結により、使用者が労働者に一方的に処遇を押し付けるのではなく、労働者も納得のいく労働条件を規定できます。